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歯科材料の供給不安に医院はどう備える?2026年4月版
2026年4月13日、日本歯科医師会は、4月10日に開かれた厚生労働大臣と医療関係団体との意見交換会で、歯科材料や物資の確保を政府へ要望した内容を公表しました。日歯は、歯科現場ではすでにグローブ不足が深刻で、フェイスガードなどの感染対策物資も入手しにくくなっていると伝えています。
一方で厚労省は、2026年4月10日の意見交換会で、医療機器や医療物資の供給について「直ちに供給が滞る状況にない」ことを前提に、必要量を超える過剰発注を避けるよう医療関係団体へ要請しました。つまり、2026年4月14日時点で歯科医院が取るべき初動は、大量発注ではなく、在庫と使用量の把握、そして不足の兆候が出たときに行政へ伝えられる体制づくりです。
この記事では、日歯の2026年4月13日リリース、厚労省の意見交換会フォトレポート、情報提供窓口、EMIS調査、対策本部設置の資料を基に、歯科医院が今やるべきことを一次情報ベースで整理します。
2026年4月に何が起きたのか
今回のポイントは、供給不安が歯科の現場でも顕在化し始めたことと、厚労省が情報収集の導線を短期間で整えたことです。現場の困りごとと行政の対応が同じ週に並んだため、歯科医院としても様子見だけで終わらせにくい局面です。
日歯は何を要望したのか
日歯は2026年4月13日の公表で、4月10日の意見交換会において、歯科医療現場では中東情勢などに伴う国際物流の不安定化や原材料価格上昇の影響がすでに出ていると説明しました。特にグローブ不足は深刻で、フェイスガードなど感染対策に必要な消耗品も入手困難になっているとしています。
加えて日歯は、歯科医療は感染対策の消耗品だけでなく、治療そのものに材料が多く関わり、海外依存度の高い材料が少なくないことも指摘しました。さらに、多くの歯科医療機関は地域密着型の小規模診療所であり、病院のように大量備蓄や調達先分散をしにくい実情があると説明しています。
この整理は重要です。単に「グローブが足りない」という話ではなく、歯科診療の継続に必要な物資と材料の両方が論点になっているためです。
厚労省はどこまで動いているのか
厚労省は2026年3月31日に「中東情勢の影響を受ける医薬品、医療機器、医療物資等の確保対策本部」を設置しました。2026年4月10日のフォトレポートでは、厚労省が定点観測、情報提供窓口の設置、EMIS活用などの取り組みを医療関係団体と共有したことが示されています。
また、厚労省は2026年4月7日に医療機関向け情報提供窓口を設置し、G-MIS上の専用メールアドレスで情報を受ける運用を案内しました。さらに2026年4月10日には、EMISを活用した供給支障調査フォームの入力を案内しています。
行政の動きとしては、まだ「配給」や「使用制限」の段階ではありません。現場の不足感を早く集め、どこで何が起きているかを把握する段階だと読むのが妥当です。
なぜ歯科は供給不安の影響を受けやすいのか
今回の論点を病院の延長で見ると、歯科の弱さを見落としやすくなります。日歯が政府に伝えたのは、歯科特有の診療環境と、地域の小規模診療所が多いという構造です。
感染対策物資の使用量が多い
歯科医療は、唾液や血液に日常的に接する環境で治療を行うため、感染予防の水準が高く求められます。日歯は、歯科医師だけでなくスタッフも含めて毎日多くのグローブを使うと説明しています。
ここで見落としやすいのは、物資不足の影響が治療の一部ではなく、日常診療全体へ広がりやすい点です。グローブ、マスク、消毒薬、フェイスガードなどの確保が不安定になると、外科処置だけでなく通常診療の運用にも影響が及びます。
小規模診療所は備蓄と調達先分散が難しい
日歯は、歯科医療機関の多くが小規模診療所であるため、病院のように十分な備蓄を持ったり、調達先を複数化したりしにくいと説明しました。これは、同じ不足でも歯科の方が早く影響を感じやすいことを意味します。
さらに、歯科は感染対策物資だけでなく、治療に使う材料の比重が大きい分、物流や原材料価格の影響を受けやすい構造があります。診療室で消費する物と治療の質に直結する材料が同時に揺れるため、発注担当だけの問題にしない方が安全です。
歯科医院が今すぐ進めたい対応
厚労省は過剰発注を避けるよう求めています。したがって、今やるべき実務は「多めに買うこと」ではなく、「不足が起きる前に状況を見える化すること」です。
過剰発注より先に在庫と使用量を見える化する
最初に確認したいのは、感染対策物資と主要材料の在庫日数です。少なくとも次の項目は、今週中に一覧化しておく方がよい段階です。
- グローブ
- マスク
- 消毒薬
- フェイスガードなど感染対策消耗品
- 海外依存度が高いと感じている主要材料
重要なのは、単純な箱数ではなく、通常診療を続けた場合に何日分あるかで見ることです。曜日ごとの患者数や処置内容で使用量が変わる医院では、平均消費量と繁忙日の消費量を分けて把握した方が実態に近づきます。
発注ルールと診療影響の判断基準を決める
次に決めたいのは、誰が不足の兆候を判断し、どの時点で院長や管理者へ上げるかです。供給不安は、発注担当者だけが知っていても院内対応が遅れます。
最低限、院内でそろえたいルールは次の通りです。
- どの品目を重点監視するか
- 残量が何日分を切ったら共有するか
- 納期遅延が出た時に誰へ連絡するか
- 診療予約や処置内容へ影響が出る判断を誰が行うか
この手順がないと、現場では「とりあえず多めに頼む」という対応になりやすく、厚労省が避けるよう求めている過剰発注に近づきます。
供給不安が出たときの報告ルート
今回の行政対応で見逃せないのは、医療機関から供給状況を伝える窓口が明示されたことです。歯科医院でも、実際に不足や納期遅延が出たときに、院内だけで抱え込まない体制が必要です。
G-MISとEMISで何を伝えるか
厚労省は2026年4月7日にG-MIS上で情報提供窓口を設け、2026年4月10日にはEMISを活用した供給支障調査フォームを案内しました。報告時には、単に「入りにくい」ではなく、次の情報を整理しておくと伝達しやすくなります。
- 不足または納期遅延が出ている品目名
- いつから影響が出ているか
- 現在の在庫見込み
- 診療継続へどの程度影響しそうか
- 仕入先とのやり取り状況
情報の粒度がそろっていないと、行政側も状況を比較しにくくなります。報告用のメモ様式を院内で一枚決めておくと、G-MISやEMIS入力時の負担を減らせます。
日歯と厚労省の続報をどう追うか
2026年4月14日時点では、どの歯科材料が全国的に厳しいのかという一覧は出ていません。だからこそ、次に追うべきなのは、日歯の続報と厚労省の追加通知です。
特に確認したいのは、供給不安の定点観測がどの品目まで広がるか、歯科向けの追加案内が出るか、EMISや情報提供窓口に集まった情報を踏まえた周知が行われるかです。院内では、発注担当だけでなく院長と事務長にも同じ情報源を共有しておくと判断がぶれにくくなります。
2022年の歯科用金属問題との違い
今回の供給不安は突然ゼロから始まったものではありません。歯科では2022年にも、海外情勢を背景に歯科用金属の安定供給が問題になりました。
共通点は海外情勢の影響
日本歯科医師会は2022年3月16日、ロシア・ウクライナ情勢を受けて、歯科用金属の安定供給を政府へ要望しました。今回も中東情勢と国際物流の不安定化が背景にあり、海外要因が歯科材料へ波及する構図は共通しています。
つまり、歯科医院にとって材料リスクは例外的な一回限りの話ではありません。診療継続計画の一部として扱う方が実務に合います。
今回は感染対策物資まで視野が広い
ただし、2022年との違いは、今回の論点が金属材料だけでなく、グローブやマスク、消毒薬など日常診療を支える感染対策物資まで広がっている点です。ここが広がると、補綴や修復だけでなく、診療室全体の運用に影響が及びます。
そのため、今回は「特定材料の代替検討」より前に、「日常診療を何日維持できるか」「不足時に誰が何を報告するか」を整える方が優先順位として高いと考えられます。
FAQ
2026年4月時点で、全国の歯科医院ですぐ供給停止が起きているのですか
厚労省は2026年4月10日の意見交換会で、直ちに供給が滞る状況ではないことを前提に冷静な発注を求めています。一方で、日歯は同じ会合でグローブ不足や感染対策物資の入手困難を訴えています。全国一律の停止というより、局地的な不足の兆候を早く拾う段階と理解するのが妥当です。
歯科医院もG-MISやEMISの対象になりますか
厚労省は医療機関向け情報提供窓口とEMIS調査を案内しています。歯科医院でも、供給支障が出た場合に必要事項を整理して情報提供できるようにしておくべきです。
今回の供給不安は2022年の歯科用金属問題と同じですか
海外情勢の影響を受ける点は共通していますが、今回は感染対策物資まで論点が広がっています。したがって、材料だけでなく日常診療の運営体制まで含めて確認する必要があります。
出典
- 日本歯科医師会「No.250 日歯、歯科材料や物資の確保を要望 厚生労働大臣と医療関係団体との意見交換会」 https://www.jda.or.jp/jda/release/detail_298.html
- 厚生労働省「フォトレポート(医療関係団体との意見交換会)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/photo_report/2026/ph0410-01.html
- 厚生労働省「医療機関等における医療機器及び医療物資等の供給に関する情報提供窓口を設置します」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_72308.html
- 厚生労働省「医療機関等における医療機器及び医療物資等の供給支障に関する情報収集(EMISを活用した調査)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_72422.html
- 厚生労働省「『中東情勢の影響を受ける医薬品、医療機器、医療物資等の確保対策本部』を設置します」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_72126.html
- 日本歯科医師会「No.152 歯科用金属の安定供給で政府に要望書提出」 https://www.jda.or.jp/jda/release/detail_170.html
Selectdays CS担当者
Selectdaysの実運用のサポートを担当しています。店舗のDX化に関するお悩み解決のノウハウを発信します。
