業界情報

介護保険基本指針案、歯科医院の連携確認点

Selectdays CS担当者

厚生労働省は2026年6月29日、第135回社会保障審議会介護保険部会の資料として、第10期介護保険事業(支援)計画の基本指針案を示しました。歯科医院にとっての要点は、新しい算定や届出が直ちに始まるという話ではなく、2027年度から2029年度に向けて地域包括ケア、医療・介護連携、介護予防の体制づくりが改めて整理されていることです。

訪問歯科、高齢患者の口腔機能、義歯、摂食嚥下、介護施設との連携に関わる医院では、自院の連携先と記録の流れを今のうちに見直す材料になります。特に、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所、介護施設、自治体歯科保健担当との接点を整理しておくと、地域計画や介護側の相談に対応しやすくなります。

この記事では、介護保険基本指針案を歯科医院の実務に引き寄せ、どこまでが決まっていて、どこからが今後確認すべき点かを分けて整理します。

3行要約

  • 2026年6月29日の介護保険部会で、第10期介護保険事業(支援)計画の基本指針案が示されました。
  • 歯科医院への新しい届出通知ではありませんが、医療・介護連携、介護予防、高齢者保健事業との接続は訪問歯科や口腔機能支援に関係します。
  • まず確認したいのは、地域包括支援センター、ケアマネジャー、介護施設、自治体歯科保健担当との連絡先と記録の所在です。

介護保険基本指針案で示されたこと

今回の資料は、2027年度から2029年度までの第10期介護保険事業(支援)計画に向けた基本指針案です。歯科診療報酬の告示や疑義解釈ではないため、これだけで歯科医院の算定要件や届出書式が変わるわけではありません。

第10期計画は2027年度から2029年度が対象

資料2-2では、第10期を2027年度から2029年度までと位置付けています。2040年に向けて高齢者人口や介護ニーズの地域差が大きくなることを踏まえ、都道府県と市町村が中長期的な推計を見ながらサービス提供体制を考える流れです。

歯科医院の立場では、地域の高齢者がどこで暮らし、どの介護サービスにつながり、口腔や食事の困りごとがどの窓口に集まるのかを見ておくことが重要になります。

医療・介護連携が計画策定の論点になる

資料2-1では、第10期計画で位置付けを明確化する事項として、医療・介護連携、高齢者向け住まい、人材確保、生産性向上などが挙げられています。介護サービス基盤を考えるときに、医療との連携状況や高齢者向け住まいの状況を踏まえることも示されています。

歯科は資料の中心語ではありませんが、在宅医療・介護連携の現場では、義歯の不適合、口腔清掃、食事中のむせ、口腔機能低下、誤嚥性肺炎の既往など、歯科へ相談されるテーマが出てきます。医院側は、介護側から相談が来たときに誰が受け、どの資料を確認し、どこへ記録するかを決めておく必要があります。

歯科医院に関係する接点

介護保険基本指針案は自治体計画の資料ですが、歯科医院の現場とは地域包括ケア、介護予防、高齢者保健事業を通じて接点があります。ここを整理しておくと、訪問歯科や高齢患者対応が属人的になりにくくなります。

介護予防と高齢者保健事業の一体的実施

資料2-2では、介護予防を進めるに当たり、高齢者保健事業と一体的に実施すること、介護・医療・健診情報等の活用を含めて関係部局と連携することが重要とされています。

歯科口腔保健の基本的事項でも、要介護高齢者、在宅等で生活する要介護高齢者、口腔機能低下対策、医科歯科連携に関する取組が参考指標に含まれています。つまり、介護予防の話は運動や栄養だけで完結せず、口腔機能や歯科受診の機会とも接続します。

地域包括支援センターとの情報共有

地域包括支援センターやケアマネジャーは、高齢者の生活課題を早く拾う窓口です。歯科医院では、患者本人からだけでなく、家族、ケアマネジャー、施設職員から「食べにくい」「入れ歯が合わない」「口の中を見てほしい」と相談されることがあります。

このとき、紹介元、患者の要介護度、主治医、訪問看護や介護サービスの利用状況、連絡方法を記録しておくと、診療後の情報提供や再相談がスムーズになります。

前回との差分をどう読むか

今回の案で重要なのは、2040年を見据える時間軸と、地域ごとの違いを見る地域軸がより明確に示されている点です。歯科医院も、全国一律の高齢者対応だけでなく、自院の地域の高齢化、通院困難、施設入居、在宅療養の状況を見て判断する必要があります。

第9期から第10期へ、地域差の読み取りが重くなる

第9期は2024年度から2026年度、第10期は2027年度から2029年度が対象です。資料では、都市部、中山間・人口減少地域、一般市等といった地域類型を念頭に置き、サービス提供体制を検討する考え方が示されています。

歯科医院では、訪問歯科の移動時間、送迎や付き添いの有無、介護施設との距離、歯科衛生士の訪問体制などが地域差の影響を受けます。患者数だけでなく、実際に連携できる相手と移動・連絡の負担まで見ておく必要があります。

歯科口腔保健計画との接続も確認したい

厚生労働省の歯科口腔保健の基本的事項では、都道府県や市町村が計画を作る際、介護保険事業支援計画など政策的に関連が深い計画との調和や、一体のものとして策定することも可能とされています。

自院の自治体で、歯科口腔保健計画、健康増進計画、介護保険事業計画がどのように接続しているかを確認すると、地域会議や歯科医師会経由の協力依頼が来たときに背景を理解しやすくなります。

実務対応チェックリスト

  • 地域包括支援センター、居宅介護支援事業所、主な介護施設、自治体歯科保健担当の連絡先を一覧化する
  • 訪問歯科の相談経路を、患者本人、家族、ケアマネジャー、施設職員、医科からの紹介に分けて記録できるようにする
  • 口腔機能低下、義歯不適合、むせ、食事量低下、口腔清掃困難の相談をカルテや連携メモで追えるようにする
  • 歯科衛生士が聞き取った生活情報を、歯科医師、受付、訪問担当へ共有する院内ルールを決める
  • 自治体の第10期介護保険事業計画案が出たら、歯科口腔保健、介護予防、在宅医療・介護連携の記載を確認する

歯科医院で作る連携確認表

今回の資料をそのまま院内マニュアルにする必要はありません。医院では、相談が来たときに迷わないよう、連携先、相談内容、院内担当、記録場所を1枚にまとめる方が実用的です。

連携先別に初動を分ける

相談元

よくある相談

院内で確認すること

記録先

地域包括支援センター

通院困難、口腔機能、家族支援

患者の生活状況、介護サービス利用、主治医

連携メモ、カルテ

ケアマネジャー

訪問歯科依頼、義歯、食事の困りごと

要介護度、サービス担当者会議、訪問可能日

訪問歯科受付票、カルテ

介護施設

口腔清掃困難、義歯不適合、むせ

施設担当者、看護職、食形態、服薬情報

施設連絡票、カルテ

医科・訪問看護

摂食嚥下、栄養、誤嚥性肺炎後の相談

診療情報提供の有無、全身状態、共有先

診療情報提供書、カルテ

算定や届出とは分けて管理する

連携確認表は、診療報酬の算定可否を自動判定する表ではありません。算定や届出は、医療保険・介護保険それぞれの告示、通知、疑義解釈を別に確認します。ここでは、連携の入口と記録の所在を見える化することを目的にします。

注意点と今後の確認資料

今回の基本指針案は、現時点では会議資料です。正式な基本指針の文言、自治体ごとの第10期介護保険事業計画、地域の歯科口腔保健計画は今後確認が必要です。

歯科医院の新しい義務とは読まない

今回の資料は、歯科医院に新しい届出や報告を求める通知ではありません。過度に先回りして新しい書式を作るより、既存の訪問歯科、患者説明、連携文書、院内共有の流れを点検する方が現実的です。

次に見るべき資料

次に確認したいのは、介護保険部会の議事録、基本指針案の更新資料、正式な基本指針、都道府県・市町村の第10期介護保険事業計画案です。歯科医院としては、地域歯科医師会や自治体から介護予防、在宅医療・介護連携、歯科口腔保健に関する照会や協力依頼が出たときに、今回の流れと合わせて読むとよいでしょう。

FAQ

今回の基本指針案で、歯科医院の届出が必要になりますか

いいえ。今回確認した資料は介護保険事業(支援)計画の基本指針案であり、歯科医院への新しい届出通知ではありません。医療保険の算定や施設基準は、別途、告示、通知、疑義解釈で確認します。

訪問歯科をしていない医院にも関係しますか

訪問歯科を行っていない医院では直接の影響は限定的です。ただし、高齢患者の通院困難、口腔機能低下、介護施設入居、家族やケアマネジャーからの相談は外来でも起こります。連携先の連絡先だけでも整理しておく価値があります。

患者に説明する必要はありますか

基本指針案そのものを患者に説明する必要は通常ありません。患者には、「食べにくさや飲み込みにくさがある場合は、必要に応じて介護サービス側や主治医とも情報共有します」といった実務に近い言葉で説明する方が伝わりやすいです。

まず何から始めればよいですか

地域包括支援センター、ケアマネジャー、介護施設、自治体歯科保健担当の連絡先を更新し、相談を受けたときの記録場所を決めるところから始めます。次に、訪問歯科や口腔機能相談の受付票を見直します。

出典

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Selectdays カスタマーサクセス担当

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