
歯科医院の院内掲示、ウェブ掲載の確認点
2026年6月1日から、保険医療機関の院内掲示事項は、原則としてウェブサイトにも掲載する取扱いが始まっています。歯科医院では、施設基準の届出事項、歯初診の院内感染防止対策、明細書発行状況、保険外負担などを、院内掲示とホームページの両方で確認することが重要です。
ただし、厚生労働省通知では、自ら管理するホームページ等を有しない保険医療機関については例外とされています。つまり、すべての歯科医院に新しくホームページを作る義務がある、と短絡的に理解するのではなく、自院が管理するサイトの有無と掲載済みの内容を分けて確認する必要があります。
この記事では、歯科医院が2026年6月時点で確認すべき院内掲示とウェブサイト掲載のポイントを、一次資料に沿って整理します。
2026年6月1日から何を確認するのか
厚生労働省は2026年3月27日付の通知で、掲示事項等告示などの改正に伴う実施上の留意事項を示し、2026年6月1日から適用するとしています。歯科医院にとっての実務上のポイントは、院内掲示の内容を見直すだけでなく、原則としてウェブサイトにも同じ趣旨の情報を掲載することです。
対象は院内掲示事項とウェブサイト掲載事項
通知では、院内掲示事項およびウェブサイト掲載事項として、地方厚生局長への届出事項、明細書の発行状況、保険外負担に関する事項などが整理されています。
歯科医院の場合、まず確認したいのは「自院がどの施設基準を届け出ているか」です。たとえば、歯科点数表の初診料の注1に掲げる基準、歯科外来診療医療安全対策加算、歯科外来診療感染対策加算、電子的歯科診療情報連携体制整備加算などは、地方厚生局の令和8年度施設基準ページで歯科関連項目として確認できます。
ホームページがない医院の扱い
今回の取扱いで注意したいのは、「ウェブサイト掲載」と「ホームページ新設義務」を混同しないことです。厚生労働省通知は、原則としてウェブサイトに掲載する取扱いを示す一方で、自ら管理するホームページ等を有しない保険医療機関については例外としています。
そのため、ホームページを持っている医院では掲載内容を点検し、ホームページを持っていない医院では、まず院内掲示が最新の届出状況と合っているかを確認します。予約サイト、ポータルサイト、SNSなどをどう扱うかは資料だけで一律に断定しにくいため、迷う場合は管轄地方厚生局や顧問先に確認するのが安全です。
歯科医院で優先して見る掲示事項
歯科医院では、患者が受けるサービスや費用に関わる情報から優先して点検します。単に制度名を並べるのではなく、患者が読んで何を受けられるのかが分かる表現にすることが大切です。
施設基準の届出事項
厚生労働省通知は、地方厚生局長へ届け出た事項について、届け出たことにより患者が受けられるサービス等を分かりやすく掲示し、原則としてウェブサイトにも掲載するものとしています。
歯科医院では、令和8年度診療報酬改定に伴って、自院が届け出ている歯科関連の施設基準を洗い出します。近畿厚生局の令和8年度基本診療料届出ページでは、電子的歯科診療情報連携体制整備加算、初診料(歯科)の注1に掲げる基準、地域歯科診療支援病院歯科初診料、歯科外来診療医療安全対策加算、歯科外来診療感染対策加算などが掲載されています。
歯初診の院内感染防止対策
歯初診では、院内感染防止対策を実施している旨の院内掲示が重要です。北海道厚生局の歯科資料では、歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準として、院内感染防止対策を実施している旨の院内掲示を行い、その掲示事項を原則としてウェブサイトに掲載することが示されています。
実務では、滅菌・洗浄の体制、標準予防策や新興感染症対策に関する研修、感染症患者に対する診療体制など、届出資料と矛盾しない範囲で、患者向けに分かりやすい文章へ整理します。
明細書発行状況と保険外負担
明細書の発行状況も、院内掲示とウェブサイト掲載の対象として確認が必要です。会計時に明細書を発行しているか、正当な理由がある場合の取扱いをどう案内しているかを点検します。
保険外負担については、患者から費用を受けるサービスや物の項目、実費、徴収できない費用の扱いが問題になります。歯科医院では、診断書料、文書料、物品販売、キャンセル料などを掲示している場合、保険診療と直接関係する費用を不適切に徴収しているように読めないかも確認します。
ウェブサイト掲載で誤解しやすい点
ウェブサイト掲載は、院内掲示の画像をそのまま載せれば終わり、という作業ではありません。患者が閲覧しやすく、現在の届出状況と合っていることが重要です。
施設基準名だけでは患者に伝わりにくい
施設基準名は、患者には意味が伝わりにくいことがあります。たとえば「歯科外来診療医療安全対策加算」とだけ書くより、緊急時対応、医療安全、院内感染対策など、患者が受けられる体制を補足したほうが実務上の説明として分かりやすくなります。
ただし、出典で確認できない内容を足すのは避けます。掲載文は、届け出ている施設基準と院内の実際の体制に合わせ、過度な広告表現にならないようにします。
院内掲示とホームページの内容差に注意
院内掲示とホームページで、施設基準名、算定開始日、費用、明細書の扱いが異なると、患者説明や監査時の確認で混乱しやすくなります。
たとえば、院内掲示では明細書を無償交付すると書いているのに、ホームページでは古い「希望者のみ」と読める表現が残っている場合、更新漏れとして見直しが必要です。まずは院内掲示を最新版にそろえ、その内容をホームページへ反映する順番で進めると確認しやすくなります。
歯科医院がすぐ進める確認手順
確認作業は、届出、院内掲示、ホームページの3点を突き合わせると進めやすくなります。レセプト担当者だけでなく、院長、受付、ホームページ更新担当が同じ一覧を見て作業することが重要です。
届出一覧と受理状況を確認する
最初に、管轄地方厚生局の令和8年度施設基準ページで、歯科関連の届出一覧と自院の受理状況を確認します。九州厚生局の令和8年度基本診療料届出ページでは、届出作成にあたり通知欄の基本診療料の施設基準の取扱い等に従うことが案内されています。
確認する項目は、少なくとも次の4つです。
- 自院が届け出ている施設基準
- 院内掲示が必要な項目
- ホームページにも掲載する項目
- 掲載文の更新日と担当者
この一覧を作ると、施設基準の届出変更や保険外負担の改定があったときにも、どこを直せばよいかが分かりやすくなります。
ホームページ更新の担当と記録を決める
ホームページ掲載は、制度担当者と制作会社の間で更新漏れが起きやすい作業です。歯科医院側で掲載文の責任者を決め、制作会社には「どのページのどの文言をいつ更新するか」を具体的に依頼します。
更新後は、公開URL、更新日、反映した掲示事項を控えておくと、次回の施設基準変更時にも確認しやすくなります。スクリーンショットや更新履歴を残す運用も有効です。
今後の確認ポイント
令和8年度診療報酬改定の関連資料は、2026年5月29日にも訂正通知や疑義解釈が追加されています。ウェブサイト掲載の実務も、今後の疑義解釈や地方厚生局の案内で確認事項が補足される可能性があります。
管轄厚生局の更新を追う
施設基準の届出様式、チェックリスト、受理状況の掲載方法は、地方厚生局ごとにページ構成や更新日が異なります。自院所在地を管轄する地方厚生局のページを定期的に確認し、全国共通の通知と地域の実務案内を分けて見ることが大切です。
特に、6月算定開始分の届出後は、受理状況、院内掲示、ホームページ掲載を一度まとめて点検しておくと、患者説明と事務対応の両方で混乱を減らせます。
FAQ
ホームページがない歯科医院も新しくサイトを作る必要がありますか。
厚生労働省通知では、自ら管理するホームページ等を有しない保険医療機関は例外とされています。したがって、資料上は一律にホームページ新設義務があるとは読めません。ただし、院内掲示そのものは最新の届出状況に合わせて整備する必要があります。
予約サイトやSNSに掲載すれば足りますか。
資料だけでは、予約サイトやSNSがどの範囲で「自ら管理するホームページ等」と扱われるかを一律に断定できません。自院サイト以外を主な情報掲載先にしている場合は、管轄地方厚生局や顧問先に確認してください。
施設基準は名称だけ掲載すればよいですか。
厚生労働省通知は、届け出たことにより患者が受けられるサービス等を分かりやすく掲示・掲載する趣旨を示しています。施設基準名だけで患者に伝わりにくい場合は、届出内容と実際の体制に沿って、患者向けの説明を補うのが実務的です。
まず何から確認すればよいですか。
管轄地方厚生局の令和8年度施設基準ページで、自院の届出項目と受理状況を確認します。そのうえで、院内掲示、明細書発行状況、保険外負担、ホームページ掲載文の順に突き合わせると、更新漏れを見つけやすくなります。
出典一覧
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- 厚生労働省「『療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等』及び『保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等』の実施上の留意事項について」の一部改正について(保医発0327第6号、2026年3月27日) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001707280.pdf
- 近畿厚生局「基本診療料の届出様式(令和8年度診療報酬改定)」 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/shinsei/shido_kansa/shitei_kijun/kihon_r08k.html
- 九州厚生局「基本診療料の届出一覧(令和8年度)」 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/shinsei/shido_kansa/shitei_kijun/kihon_shinryo_r08.html
- 北海道厚生局「総括表(歯科)(令和7年8月1日現在)」 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/hokkaido/000410648.pdf
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