
歯科医院の予約枠設計|診療内容・チェア・配置から見直す手順
歯科医院の予約枠設計は、予約表の空白を埋める前に、診療に必要な時間、使用するチェア、担当できるスタッフを重ねて考えます。枠を一律に短くしても、同じ時間帯に必要な人や機器が重なれば、待ち時間や終業の遅れにつながりかねません。
この記事では、枠の作り方と変更後の確かめ方に絞ります。以下の表や時間の例は院内検討用の仮例であり、処置ごとの標準診療時間を示すものではありません。
予約枠設計で分ける3つの要素
最初に分けたいのは「患者が滞在する時間」「チェアを使う時間」「各職種が対応する時間」です。受付や会計を含む来院時間と、チェアの占有時間は一致するとは限りません。また、担当者が次の患者に対応できても、清掃や準備が終わっていなければ同じチェアは使えません。
予約台帳だけでは見えにくいので、代表的な診療の流れを受付、診療担当、準備担当で書き出します。担当者の感覚が違う部分こそ、実際の開始・終了を確認する対象です。
診療内容ごとの時間を棚卸しする
「再診30分」のような大きな区分をいきなり全廃する必要はありません。まず、同じ区分でも延びやすい条件を分けます。説明に時間を要する、事前資料の確認が必要、特定の機器を使う、といった運用上の違いを記載します。具体的な診療区分と必要時間は歯科医師等が確認します。
設計表の項目 | 記入例・確認内容 |
|---|---|
予約区分 | 医院内で使う診療内容の名称 |
チェア占有 | 案内開始から次患者を受け入れられるまで |
人の制約 | 担当者と、途中で必要になる職種 |
設備の制約 | 専用チェア・機器を同時使用できるか |
延長条件 | 追加説明など、事前に分かる条件 |
承認者 | 例外的な長さへ変更する判断者 |
短かった一例を基準にすると、長めにかかる患者の受け皿がなくなります。複数の実績を見て、通常と例外をどのように受け付けるかを決めましょう。個人を評価するための計測ではないことも共有します。
チェア数とスタッフ配置を合わせる
3台のチェアが空いていても、その時間に対応できるスタッフが1人なら、3件を同時に開始できるとは限りません。枠数を決めるときは、曜日ごとの出勤だけでなく、休憩、会議、担当者の兼務も重ねて確認します。
仮に3台を各60分使える時間帯でも、必要な担当者が重なる予約を同時に入れれば、台数上の180分を使い切れない場合があります。台数を掛けた数値は設備上の上限であって、予約を受けられる時間の確定値ではありません。
確認は「その枠で誰が、どの工程を行うか」まで進めます。受付が独自に診療内容を短い区分へ置き換えず、判断が必要な予約は確認待ちとして管理する方法を決めておきます。
午前・午後・終業前で枠をどう変えるか
午前の開始直後、休憩前、午後の開始直後、終業前を区切り、遅れがどこから持ち越されるかを見ます。午前に延びた予約の影響が午後まで続くなら、午後の枠だけを減らしても原因は残ります。
終業前は「最後の予約開始時刻」と「診療後の片付けが終わる時刻」を分けて確認します。長い枠を受け付ける最終時刻や例外承認者を区分ごとに決めれば、受付がその場で推測せずに案内できます。休憩を遅れの吸収に使うことを前提にせず、配置と業務量の両方を調整します。
バッファ時間を入れる基準
バッファとは、予定どおり進まない場合に備えて確保する余裕です。全枠に同じ余白を足す方法より、延長が集中する区分や時間帯を先に特定するほうが、何のための余裕かを説明できます。
たとえば「午後の開始が遅れる原因を調べるため、午前最後の枠の後に調整時間を試す」と目的を明確にします。急患の受付については別に歯科医師へ相談する手順を設け、バッファが空いていることだけで診療可否を決めません。余白を設けた結果、予約待ちが長くなっていないかも合わせて確認します。
変更後の1週間は何を確認するか
初回の確認期間を1週間とするなら、同じ曜日の変更前実績と比べます。見る項目は、予定開始と実開始の差、枠の超過件数、終了後の片付け時間、予約を案内できなかった件数です。患者構成や欠勤が違う週は、その条件も記録します。
厚労省の勤務環境改善の指針は、現状分析、計画、実施、評価と見直しを一連の活動として整理しています。この考え方を参考に、変更は対象を絞って試し、何を残すかを院内で決めましょう。1週間で結論を急がず、偏りが大きければ観察を続けます。
よくある質問
枠はすべて同じ長さにそろえるべきですか?
表示の単位をそろえることと、受け付ける診療時間を同じにすることは別です。必要時間や担当条件に合わせた区分を設け、受付が選べる条件を明確にします。
空きが出たらバッファをなくしてよいですか?
空きの理由を確認してから判断します。調整時間をなくすことで遅れが戻るなら、別の配置や枠の置き方を検討する余地があります。
何分枠が適切ですか?
一律の値は示せません。診療内容と医院の実績を歯科医師等が確認し、準備・片付けまで含めて設定します。
出典
- 厚生労働省「医療勤務環境改善マネジメントシステムに関する指針」(2014年9月26日告示、2026年10月21日確認)
Selectdays カスタマーサクセス担当
Selectdaysの実運用のサポートを担当しています。店舗のDX化に関するお悩み解決のノウハウを発信します。
