
歯科外来・在宅ベースアップ評価料とは?2026年6月開始へ4月に進める準備
2026年6月1日から、歯科外来・在宅ベースアップ評価料が見直され、歯科技工所ベースアップ支援料も新設されます。今回の改定は、単に点数が変わるだけではありません。厚生労働省は、評価料IとIIの設計を見直したうえで、届出時の提出資料を簡素化し、毎年8月の見込み報告と実績報告に整理する運用も示しました。
歯科医院が2026年4月のうちに確認したいのは、どの職員を賃金改善の対象にするのか、自院は評価料Iだけで足りるのか、それとも評価料IIまで届け出るのか、歯科技工所への発注分を支援料まで含めて設計するのか、という3点です。九州厚生局は2026年3月25日付の案内で、歯科・歯科技工所向けの届出様式は2026年4月中旬掲載予定としています。様式公開を待つだけでなく、4月のうちに下準備を終えておく方が実務は安定します。
2026年6月から歯科のベースアップ評価はどう変わるか
今回の改定の軸は、継続的な賃上げを歯科でも回しやすくすることです。従来より評価を厚くし、区分も細かくしたことで、自院の人件費構成に合わせて選びやすくなりました。
評価料Iは初診時21点・再診時4点へ見直される
厚生労働省の改定概要では、歯科外来・在宅ベースアップ評価料Iは、従来の初診時10点・再診時2点から、2026年6月以降は初診時21点・再診時4点へ見直されると示されています。まずここで押さえたいのは、評価料Iだけでも原資が一定程度厚くなる点です。
評価料Iは、外来中心の歯科医院でも比較的取り組みやすい入口です。一方で、実際に必要な賃上げ原資がIだけで足りるかは、歯科衛生士、歯科技工士、事務職員などの人員構成によって変わります。単に点数表を見て終わりにせず、月間の患者数と対象職員の賃金改善額を重ねて判断する必要があります。
評価料IIは12区分へ広がり2027年は24区分になる
同じ資料では、歯科外来・在宅ベースアップ評価料IIは、現行8区分から2026年6月以降は12区分、2027年6月以降は24区分へ拡大すると整理されています。これは、職員規模や賃金改善額の違う医院でも、必要な原資に合わせて区分を選びやすくするための見直しです。
ここで重要なのは、評価料IIは「大きい医院向け」と短絡しないことです。歯科衛生士の配置が厚い医院や、外来と訪問を並行している医院では、Iだけでは改善原資が不足する可能性があります。2026年4月の時点で、自院の賃金改善見込みをざっくりでも試算しておくと、様式が公開された後に区分選択で迷いにくくなります。
歯科技工所ベースアップ支援料まで見るべき理由
今回の改定は歯科医院だけの話ではありません。補綴や技工を外部委託する医院では、歯科技工所ベースアップ支援料の要件も合わせて確認しておく必要があります。
1装置15点の新設で歯科技工士の賃上げ原資を確保する
厚生労働省の改定概要では、歯科技工所ベースアップ支援料が1装置15点で新設されました。狙いは、歯科技工士を含む人材の賃上げ原資を確保しやすくすることです。歯科医療の賃上げを医院内だけで閉じず、技工所まで含めて回そうとしている点が今回の特徴です。
このため、医院側の実務では「うちは歯科技工士を直接雇用していないから関係ない」とは言えません。発注している歯科技工所が支援料の対象になるかどうかで、見積りや委託費の説明にも影響が出る可能性があります。補綴物の外注比率が高い医院ほど、4月のうちに取引先と情報をそろえておく価値があります。
算定には自院と委託先の届出状況が関わる
改定概要では、歯科技工所ベースアップ支援料の対象となるのは、歯科外来・在宅ベースアップ評価料または歯科技工士連携加算1・2の届出医療機関からの発注とされています。つまり、技工所だけが単独で動いても完結しません。医療機関側の届出状況が要件の一部になります。
この要件は、現場では見落とされやすいポイントです。医院がベースアップ評価料を届け出る予定なのか、歯科技工士連携加算の届出があるのか、委託先が支援料の準備をしているのかを、少なくとも院内と委託先で共有しておきたいところです。
届出と報告の手続きは何が簡素化されたか
今回の制度見直しで実務負担が最も軽くなったのは、届出資料の考え方です。ここを理解しておくと、4月の準備がかなり進めやすくなります。
届出時は賃金改善計画書が不要になる
厚生労働省は、届出時の提出資料について、従来求めていた賃金改善計画書を不要とし、直近1か月の賃金関係必要項目などに簡素化すると示しています。これは、まず届出を通しやすくし、その後の実績把握で継続性を担保する設計へ寄せたものと見てよいです。
この変更は大きく、4月の時点で完璧な年間計画書を作り込まなくても、届出準備を前に進めやすくなりました。ただし、不要になったのは提出書類の一部であって、院内で賃金改善の根拠を持たなくてよいわけではありません。誰を対象に、どの程度改善するのかは、内部資料として整理しておく必要があります。
毎年8月の見込み報告と実績報告が軸になる
改定概要では、毎年8月に当年度の賃金改善見込み額と、前年度8月から当年度7月までの賃金改善実績額を報告する運用へ整理すると示されています。また、評価料Iのみを届け出て2026年度から継続する医療機関については、2027年度の再届出を不要とする扱いも示されました。
実務上は、6月に算定開始した後よりも、4月から給与台帳や対象職員一覧の持ち方をそろえておく方が楽です。8月報告で慌てないためには、どの賃金改善を制度対応として集計するのか、医院内でルールを決めておく必要があります。
2026年4月のうちに歯科医院が進めたい準備
九州厚生局は、歯科・歯科技工所向けの施設基準届出様式を2026年4月中旬掲載予定と案内しています。さらに、届出は電子申請・届出等システムを原則とし、受理通知の郵送は行わないとも示しています。つまり、4月は「様式待ち」ではなく「提出できる状態を作る月」と考える方が合理的です。
対象職員と賃金改善率の整理を先に終える
まずやりたいのは、対象職員の棚卸しです。歯科衛生士、歯科技工士、看護補助者、事務職員など、制度上の対象となる職種を整理し、現在の給与水準と改善予定額をざっくりでも見積もります。この時点で、評価料Iだけで足りるのか、評価料IIまで視野に入れるべきかの当たりをつけられます。
常勤だけでなく非常勤の扱いも含めて、集計単位を先に決めておくと後工程が楽になります。制度の詳細Q&Aは今後も追加される可能性がありますが、職員一覧と賃金改善方針の整理は先に進めても無駄になりません。
電子申請と地方厚生局の様式掲載を待ちながら下書きを作る
次に進めたいのは、提出経路と添付資料の下準備です。電子申請・届出等システムのアカウントや操作担当者、院内承認フロー、委託技工所との確認窓口を決めておくと、4月中旬に様式が公開された後の動きが速くなります。
受理通知の郵送がない点も見落とせません。紙の控えが届く前提で管理していると、提出状況の確認が遅れやすくなります。提出日、受付状況、補正依頼の有無を電子的に追えるよう、院内の管理表を4月中に作っておくのが安全です。
FAQ
歯科外来・在宅ベースアップ評価料は2026年4月から算定できますか
いいえ。厚生労働省の改定概要では、今回の見直しは2026年6月からの評価として示されています。4月は準備期間と考えるのが正確です。
届出ではもう賃金改善計画書を出さなくてよいのですか
厚生労働省は、届出時には賃金改善計画書を求めず、必要項目中心に簡素化すると示しています。ただし、院内で賃金改善の根拠や対象職員を整理しておく必要はあります。
歯科技工所ベースアップ支援料は医院に直接歯科技工士がいなくても関係ありますか
関係あります。外部の歯科技工所へ発注している場合でも、自院の届出状況と委託先の体制が要件に関わるため、補綴物の外注がある医院は確認が必要です。
出典
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」
- 厚生労働省「2.令和8年度診療報酬改定説明資料等について」
- 九州厚生局「令和8年度診療報酬改定について」
Selectdays CS担当者
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