
歯科医院のチェア稼働率|空き時間の原因を分ける改善手順
歯科医院のチェア稼働率を見直すときは、率の高低だけでなく「なぜそのチェアが使われなかったか」を調べると、次の行動を選びやすくなります。予約がない時間と、予約があるのに診療を始められない時間では、必要な対策が違うからです。
ここでは経営指標の一覧ではなく、チェア単位の空きと中断の見つけ方を扱います。数値はすべて説明用の仮例であり、全国平均や目標値ではありません。
チェア稼働率を何で見るか
比較の前に分母と分子を固定します。院内の確認例として「患者対応に使ったチェア時間÷使用予定だったチェア時間」を使えますが、準備時間を含めるか、休止中のチェアをどう扱うかを文書に残します。定義の違う値を医院同士で比較しないようにします。
仮に使用予定360分のチェアで、患者対応240分なら、この定義での稼働率は約66.7%です。ただし残り120分には、必要な清掃や予約前の準備が含まれるかもしれません。この120分をそのまま「無駄」や「追加予約できる時間」と解釈しないことが出発点です。
空き時間を3つに分類する
最初は、空きが生じた入口で分けます。細かく分類しすぎると記録が続かないので、次のような観察票から始められます。
分類 | 観察する状態 | 次に確かめること |
|---|---|---|
最初から予約なし | 受付可能だったが埋まらなかった | 時間帯・診療区分と希望のずれ |
予約後に空いた | 変更やキャンセルで空いた | 空いた時点と再案内できる条件 |
予約はあるが待ち | 患者がいても開始できなかった | 人・機器・準備のどこを待ったか |
記録には開始・終了、チェア番号、分類、ひと言の理由を残します。氏名を含む別表を作る必要がなければ、集計用の観察票に患者名は載せない方法を検討します。分析のために情報を増やしすぎないことも運用上の工夫です。
中断と段取りの時間を見つける
診療の途中で止まった時間は、来院前の空きとは別に記録します。担当者の到着待ち、器材の準備待ち、説明資料の確認など、現場で実際に起きた状態を書きます。治療上必要な待機や安全確認まで短縮対象にしないよう、臨床側に内容を確認します。
たとえばチェアAとBで同じ担当者を同時に必要とする場面が続いたなら、問題はチェアの台数より開始時刻の重なりかもしれません。担当者を急がせる前に、必要となる時点をずらせるか、準備を前倒しできるかを相談します。
観察は特定の職員の遅さを判定するために行いません。手順や配置を変えれば解消できる状態と、患者ごとに必要な対応を分けるために行います。記録者の推測だけで理由を決めず、短い振り返りで当事者に確かめます。
時間帯別に偏りを見る
1日合計では見えない偏りを、午前前半・後半、午後前半・後半など院内で管理しやすい区切りで確認します。同じチェアでも朝は空き、終業前は待ちが集中するなら、終日の平均から「もっと予約を増やす」と判断するのは早計です。
曜日、担当者の配置、使用できない機器、臨時の欠勤なども添えます。休止チェアを含む週と含まない週では分母が変わるため、率だけを並べないようにします。比べる条件が違うときは、時間そのものを併記すると説明しやすくなります。
改善優先度は頻度と影響で決める
仮に観察した待ちが「器材待ち10分が6回」「担当者待ち20分が1回」なら、記録上の合計は60分と20分です。ただし、前者を全て削減できると約束する計算ではありません。必要な作業を含まないか、対策が診療へ別の負担を生まないかを確認します。
優先順位は、発生頻度、患者の待ちへの影響、実施負担、安全性の4点で相談します。備品の置き場所の変更など小さな対策を一つ試し、同条件で待ちがどう変わったかを確認する進め方です。
厚労省の勤務環境改善の指針でも、定量・定性の両面で現状を把握し、優先的に実施する措置を決める考え方が示されています。稼働率だけを上げる目標より、何の待ちを改善するかを言葉にすることが大切です。
月次で追うチェック表
毎月の確認欄は「対象チェア・観察日数・空きの分類別時間・試した変更・患者待ちの変化・職員の所感」とします。変化がなかった場合も失敗と片付けず、原因の仮説が合っていたかを検討します。
稼働率が上がっても終業が遅くなったなら、改善の完了とは言えません。待ちや超過勤務がどう変わったかも確認し、必要な余裕を維持しながら使える時間を整えます。
よくある質問
チェア稼働率は何%が理想ですか?
この記事では一律の理想値を設けません。診療内容、配置、清掃等の扱いで値が変わるため、同じ定義による自院の推移と原因を見ます。
準備・清掃も空き時間ですか?
患者対応以外の時間に分類しても、直ちに削減対象にはなりません。必要な手順と段取り上の待ちを分けて確認します。
出典
- 厚生労働省「医療勤務環境改善マネジメントシステムに関する指針」(現状分析・評価と改善、2026年10月21日確認)
Selectdays カスタマーサクセス担当
Selectdaysの実運用のサポートを担当しています。店舗のDX化に関するお悩み解決のノウハウを発信します。
