歯科診療所の遡及指定、9月からの確認点
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歯科診療所の遡及指定、9月からの確認点

Selectdays CS担当者

2026年6月5日、厚生労働省は「保険医療機関等の遡及指定及び機能移転の取扱いについて」を公表しました。原則として2026年9月1日から適用され、歯科診療所では、通知中の「診療所」を「歯科診療所」に、「医師」を「歯科医師」に読み替えて確認します。

今回の通知は、移転や法人化をすれば自動的に保険診療を途切れず続けられる、という内容ではありません。遡及指定や機能移転はあくまで例外的な取扱いで、患者、診療録、標榜診療科、歯科医師の引継ぎ、施設基準の届出などを個別に確認する必要があります。

この記事では、歯科診療所が2026年9月1日以降の移転、法人化、承継、診療機能の移転を検討するときに、どこから確認すべきかを一次資料に沿って整理します。

2026年9月1日から何が変わるか

厚生労働省通知のポイントは、遡及指定と機能移転の対象、手続き、判断基準、施設基準の取扱いを一本の通知で整理したことです。旧通知や旧事務連絡は、2026年8月31日限りで廃止されます。

旧通知の整理と適用開始日

通知では、これまで遡及指定、遡及指定時の施設基準、廃止を伴わない機能移転について、複数の通知や事務連絡で明確化してきた経緯を示しています。そのうえで、2026年9月1日以降の取扱いを新通知で示しました。

歯科診療所が実務で見るべきなのは、9月1日以降に移転や開設者変更を予定しているケースです。とくに複雑な事例では、原則として希望日の3か月前までに予定届出書を出す流れが示されているため、実際の移転日が近づいてから確認を始めると間に合わない可能性があります。

歯科診療所にも読み替えて適用される

通知の留意事項では、歯科診療所について「診療所」を「歯科診療所」に、「医師」を「歯科医師」に読み替えて適用するとされています。

したがって、本文中に「診療所」「医師」と書かれている箇所でも、歯科診療所の移転、歯科医師の雇用継続、歯科の標榜診療科の引継ぎとして読み替える必要があります。医科向けの話として見落とさないことが重要です。

遡及指定とは何か

遡及指定は、旧医療機関を廃止し、新医療機関として新たに指定を受ける場面で、例外的に旧医療機関の廃止日と同日または翌日などへ指定日を遡らせる取扱いです。

通常は申請後の指定日から保険診療になる

地方厚生局の通常案内では、保険医療機関の指定は、地方社会保険医療協議会への諮問を経て行われ、原則として月1回の指定日を前提に運用されています。

歯科診療所を新規開設する場合、保険診療を始めるには、保険医療機関指定申請書や添付書類を管轄地方厚生局へ提出します。遡及指定は、この通常ルールから外れる例外であるため、事前に対象になるかを確認する必要があります。

対象になる主な事例

通知では、遡及指定の対象となる事例として、開設者変更、所在地変更、個人から法人または法人から個人への変更、病院から診療所または診療所から病院への変更が示されています。

歯科診療所では、個人開業から医療法人へ変更する場合、親族承継で開設者が変わる場合、近隣へ移転する場合などが検討対象になり得ます。ただし、対象例に当てはまるだけで足りるわけではなく、診療実態が一連のものとして認められるかが重要です。

歯科診療所が確認したい判断基準

歯科診療所の実務では、まず「至近距離への移転または開設者のみの変更」なのか、「その他の複雑な事例」なのかを分けて考えます。手続きの重さと事前相談の必要性が変わるためです。

2km以内と6km以内を混同しない

至近距離への移転で基本的に認める要件を満たす場合、通知は同一都道府県内の直線距離2km以内への移転を示しています。この場合でも、開設者に変更がないこと、1つの旧医療機関の廃止と1つの新医療機関の開設であること、診療録や患者の引継ぎなどを確認します。

一方、2kmを超える所在地移転や、所在地移転と開設者変更を同時に行う場合などは、その他の事例として慎重な判断が必要です。この判断基準の中では、無床診療所について、同一市区町村内または同一都道府県内の直線距離6km以内のいずれかが示されています。つまり、2kmと6kmは同じ場面の数字ではありません。

患者と診療録の引継ぎが中心になる

通知は、過去に診療した患者と現に診療中の患者の引継ぎを重視しています。診療録等を引き継ぐこと、新医療機関で旧医療機関を受診した患者の問い合わせに対応すること、無床診療所では旧医療機関の外来・在宅患者への診療が新医療機関で引き続き行われることが示されています。

歯科診療所では、カルテ、画像、技工指示、訪問診療先、治療途中の補綴・矯正・歯周治療など、患者単位で引き継ぐ情報が多くなります。移転案内だけでなく、診療録管理と問い合わせ対応の設計を先に作ることが実務上の要点です。

歯科医師の引継ぎも見られる

通知の職員引継ぎの項目は、歯科診療所では歯科医師に読み替えて確認します。その他の事例の判断基準では、旧医療機関で診療にあたっていた常勤医師の概ね5割以上、または常勤・非常勤医師の常勤換算を含めた概ね5割以上が、新医療機関で引き続き雇用され診療にあたることが示されています。

非常勤歯科医師が多い医院、分院展開している医療法人、訪問診療チームを移す医院では、誰がどの患者を継続して診るのかを整理しておく必要があります。単に建物を移すだけでなく、診療実態が変わらないことを説明できる資料が必要になります。

施設基準と算定の扱い

遡及指定が認められても、施設基準の届出を何もしなくてよいわけではありません。通知は、旧医療機関で届出済みの施設基準、新医療機関で新たに届け出る施設基準、実績を要する施設基準を分けています。

旧医院で受理済みの施設基準

旧医療機関で受理されていた施設基準については、新医療機関でも当該要件を満たし、地方厚生局ごとに定められた期日までに届出が行われたものについて、遡及指定日から診療報酬を算定できる取扱いが示されています。

歯科診療所では、歯科初診料の注1に掲げる基準、歯科外来診療医療安全対策加算、歯科外来診療感染対策加算、在宅療養支援歯科診療所など、自院で届け出ている施設基準を一覧化しておく必要があります。旧医院で受理済みでも、新医院側で要件を満たすかを確認する作業は残ります。

新たに届け出る施設基準

旧医療機関では届出がなく、新医療機関で新たに届け出る施設基準も、実績要件の有無で扱いが分かれます。実績を要しない施設基準は、要件を満たし、定められた期日までに届出があり、要件審査を終えた場合に限り、遡及指定日の属する月から算定できるとされています。

実績を要する施設基準では、旧医療機関の実績を届出手続き上の実績として扱うことが示されています。ただし、旧医療機関がその実績を持っていない場合は、新医療機関で届出に必要な実績を持つ必要があります。新規の算定予定がある場合は、移転後ではなく計画段階で施設基準ごとに確認します。

機能移転は何が違うか

機能移転は、保険医療機関の廃止を伴わず、施設基準の届出を要する診療機能を別の保険医療機関へ移す場合の例外的な取扱いです。通常の移転や法人化とは別に考える必要があります。

廃止を伴わない診療機能の移転

通知では、移転先医療機関が希望し、移転元医療機関の施設基準の辞退日と原則同日付で施設基準届出を行い、一定の基準を満たす場合は、移転元の実績要件を引き継いで機能移転日から診療報酬を算定できるとされています。

歯科診療所では、単独の一般歯科診療所よりも、医療法人内で訪問歯科診療機能を別施設へ移す、病院歯科から別の保険医療機関へ機能を移す、といったケースで検討対象になりやすい論点です。通常の所在地移転とは書類と判断軸が違います。

原則3か月前の予定届出を意識する

機能移転では、移転先医療機関の開設者が、原則として機能移転を希望する日の3か月前までに地方厚生局へ届出を行い、事前相談を行うことが示されています。

移転元医療機関は、希望する機能移転日に施設基準の辞退届を出す必要があります。移転先だけで準備しても完結しないため、同一法人内であっても、移転元と移転先の届出日、施設基準、実績資料、患者対応を同時に管理することが重要です。

9月前に歯科医院が準備すること

今回の通知は、移転や法人化の直前に読む資料ではありません。該当しそうな医院は、管轄地方厚生局に相談する前に、自院の事例を整理しておくと確認が進みやすくなります。

自院の事例を4分類する

まず、自院の予定が次のどれに近いかを分けます。

  • 至近距離への所在地変更
  • 所在地移転を伴わない開設者のみの変更
  • 所在地移転と開設者変更を同時に行うなどの複雑な事例
  • 廃止を伴わない診療機能の移転

この分類によって、別紙1で足りる可能性があるのか、別紙2の予定届出書と事前相談が必要になるのかが変わります。距離、開設者、廃止・開設の数、患者引継ぎ、歯科医師の継続雇用を一覧にしてから相談するのが現実的です。

施設基準の棚卸しを先に行う

次に、現在届け出ている施設基準を一覧化します。旧医院で受理済みのもの、新医院で新たに届け出たいもの、実績要件があるものを分けると、移転後の算定可否を確認しやすくなります。

とくに、施設基準の届出期限は地方厚生局ごとに定められるため、全国通知だけでは締切日を断定できません。管轄地方厚生局の更新を確認し、必要に応じて早めに相談します。

よくある誤解

今回の通知は柔軟な取扱いを示していますが、無条件に認める通知ではありません。歯科診療所では、誤解しやすい点を先に押さえておく必要があります。

2km以内なら必ず認められるわけではない

至近距離の移転として2km以内が示されていますが、距離だけで判断されるわけではありません。診療録、患者、標榜診療科、管理者、歯科医師の引継ぎなど、診療実態が一連のものといえるかを合わせて確認します。

移転先が近くても、診療体制が大きく変わる、患者対応が引き継がれない、施設基準の要件を満たさないといった場合は、単純に遡及指定できるとはいえません。

旧医院の施設基準を自動で引き継げるわけではない

旧医院で施設基準が受理されていても、新医院で要件を満たしていること、定められた期日までに届出が行われること、必要な審査を終えることが前提です。

歯科医院の移転では、ユニット数、滅菌体制、歯科医師・歯科衛生士の配置、訪問診療の体制などが変わることがあります。届出名だけを引き継ぐのではなく、要件を満たす根拠資料をそろえることが必要です。

FAQ

歯科診療所にも今回の通知は関係しますか?

関係します。通知の留意事項で、歯科診療所は「診療所」を「歯科診療所」に、「医師」を「歯科医師」に読み替えて適用することが示されています。

2026年9月1日より前の事例はどうなりますか?

通知は原則として2026年9月1日から適用されます。ただし、2026年8月31日以前の日を遡及指定等の期日とする事例でも、申請する保険医療機関等の意向を踏まえ、新通知の判断基準に基づく取扱いを行って差し支えないとされています。

2km以内の移転なら事前相談は不要ですか?

通知では、至近距離への移転などで基本的に認める要件への該当性に疑義がある場合は、必要に応じて問い合わせることとされています。距離だけでなく、開設者、患者引継ぎ、診療録、歯科医師の継続雇用、施設基準を確認してください。

施設基準は移転後も同じように算定できますか?

旧医療機関で受理済みの施設基準でも、新医療機関で要件を満たし、地方厚生局ごとの期日までに届出を行うことが前提です。新たに届け出る施設基準や実績要件のある施設基準は、別途確認が必要です。

出典

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Selectdays カスタマーサクセス担当

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