労働安全衛生調査、歯科医院の職場管理確認点
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労働安全衛生調査、歯科医院の職場管理確認点

Selectdays CS担当者

厚生労働省は2026年8月7日、令和7年「労働安全衛生調査(実態調査)」の結果を公表しました。歯科医院だけを切り出した統計ではありませんが、調査対象には「医療,福祉」が含まれ、常用労働者10人以上の民営事業所におけるメンタルヘルス対策や安全衛生管理の状況が示されています。

歯科医院にとって重要なのは、2028年4月1日から労働者数50人未満の事業場にもストレスチェックが義務化される予定である点です。スタッフ10〜49人規模の医院や複数院展開の法人は、義務化直前ではなく、実施方法、相談先、結果の扱い、休業・復職時の連絡手順を今から確認しておく必要があります。

この記事では、労働安全衛生調査の数値を歯科医院の実績として断定せず、医院が雇用主として院内運用へ落とし込むための確認順に整理します。

3行要約

  • 2026年8月7日公表の労働安全衛生調査では、医療・福祉を含む事業所のメンタルヘルス不調休業・退職、対策実施状況が示されました。
  • 調査は常用労働者10人以上の民営事業所が対象で、歯科医院だけの統計ではありません。小規模医院は読み替えに注意が必要です。
  • 歯科医院は、50人未満事業場へのストレスチェック義務化予定を見据え、対象者、実施方法、相談先、記録管理を棚卸しします。

労働安全衛生調査で歯科医院が見る数字

今回の労働安全衛生調査で最初に見るべきなのは、数字そのものよりも対象範囲です。調査は全国の常用労働者10人以上の民営事業所を対象にしており、産業分類には「医療,福祉」が含まれます。

医療・福祉の数値は歯科医院単独ではない

概況資料では、過去1年間にメンタルヘルス不調で連続1か月以上休業した労働者又は退職した労働者がいた事業所割合は全体で13.5%、医療,福祉では16.8%とされています。これは歯科医院だけの割合ではなく、医療機関、福祉施設などを含む大きな分類です。

したがって、記事や院内共有で「歯科医院の16.8%で発生」と言い換えるのは不正確です。正しくは、医療・福祉を含む職場でメンタルヘルス不調による休業・退職が一定割合で確認されており、歯科医院も雇用主として同じ論点を持つ、と読むべきです。

10人未満医院は調査対象外でも無関係ではない

調査対象は常用労働者10人以上の事業所です。常勤・非常勤を合わせても10人未満の歯科医院は、この調査の事業所側の対象には含まれません。

ただし、人数が少ないほど、院長、配偶者、事務長、チーフスタッフに相談や調整が集中しやすくなります。小規模医院では、統計値を直接当てはめるより、相談先の外部化、勤務シフト調整、休業時の連絡手順を決めておくことが実務的です。

歯科医院のストレスチェック準備

メンタルヘルス対策に取り組む事業所割合は、全体で63.0%、50人以上で93.7%、30〜49人で72.0%、10〜29人で54.6%でした。小規模事業所ほど取組割合が下がるため、歯科医院では「まだ義務ではないから後でよい」と先送りしないことが重要です。

2028年4月1日の義務化予定を前提にする

厚生労働省のストレスチェック制度ページでは、労働者数50人未満の事業場にも2028年4月1日からストレスチェックが義務化されると説明されています。これまで努力義務として扱っていた医院も、制度移行を前提に準備する段階です。

まず確認するのは、自院の人数区分です。常用労働者、パートタイム、受け入れ派遣労働者、複数院での所属関係を整理し、どの事業場単位で実施するかを確認します。個人結果はセンシティブな情報なので、院長や管理者が不用意に閲覧する運用は避ける必要があります。

50人以上医院は報告様式と集団分析も確認する

50人以上の事業者は、ストレスチェックの実施結果を労働基準監督署へ報告することが法令で定められています。厚生労働省は報告様式、実施プログラム、集団分析に関するリーフレット、産業保健総合支援センターなどの支援先をまとめています。

複数院展開で法人全体は大きいが各院は小規模、というケースでは、法人単位と事業場単位を混同しやすくなります。労務担当は社会保険労務士、産業医、産業保健総合支援センターへ確認し、医院ごとの対象者と報告要否を整理してください。

メンタルヘルス不調時の院内対応

歯科医院では、スタッフの休業が診療枠、アポイント、滅菌、受付、訪問歯科の人員配置に直結します。調査結果は、メンタルヘルス対策を福利厚生ではなく、診療継続のための院内リスク管理として見る材料になります。

相談できる相手を院内だけに閉じない

小規模医院では、人間関係や評価者との距離が近いため、院長やチーフだけを相談先にすると相談しにくい場合があります。厚生労働省の「こころの耳」や産業保健総合支援センター、地域産業保健センターなど、院外の相談先もスタッフへ共有しておくと、相談の入口を増やせます。

相談先を共有するときは、院内掲示、スタッフ用チャット、就業規則や雇用契約更新時の説明など、複数の導線を用意します。相談した事実や内容を本人の同意なく院内で共有しないことも、信頼を保つうえで重要です。

休業・復職時の連絡手順を先に決める

休業や復職が発生してから対応を考えると、診断書の扱い、勤務軽減、患者予約の調整、スタッフへの説明範囲で混乱します。あらかじめ、本人連絡の窓口、診断書の提出先、復職前面談の有無、勤務時間や担当業務の段階的復帰を決めておきます。

歯科医院では、診療補助、受付、滅菌、訪問診療同行など業務の負荷が異なります。復職直後にどの業務から戻るかを本人と確認し、必要に応じて主治医や産業医の意見を踏まえる形にすると、現場判断だけに偏りにくくなります。

転倒・薬品管理も安全衛生の確認対象

労働安全衛生調査はメンタルヘルスだけでなく、労働災害防止、熱中症、化学物質のばく露防止も扱っています。歯科医院では、診療室、滅菌室、バックヤード、訪問歯科の移動時に、それぞれ安全衛生上の確認点があります。

転倒リスクは患者導線だけでなくスタッフ導線で見る

歯科医院では、患者の転倒防止には注意していても、スタッフ導線の床濡れ、コード、段差、滅菌物の運搬、訪問バッグの持ち運びが後回しになることがあります。朝礼や月次ミーティングで、ヒヤリハットを患者安全と職員安全に分けて記録すると、対策が具体化します。

特に雨天時の入口、ユニット周辺、レントゲン室前、滅菌室の床、訪問診療車への積み込みは、スタッフ側の転倒・腰痛リスクを見落としやすい場所です。診療室の美観だけでなく、作業導線として点検してください。

消毒薬・歯科材料はSDSと保管場所を確認する

歯科医院では、消毒薬、印象材、レジン、接着材、薬液、清掃用品など、多くの化学物質を扱います。調査の化学物質管理項目は、歯科医院にとってもSDS、安全な保管、換気、手袋・保護具、廃棄方法を確認するきっかけになります。

すべてを一度に見直す必要はありません。まずは使用頻度が高い薬品、濃度の高い消毒薬、スタッフが補充する材料、訪問歯科で持ち出す薬品から、保管場所、ラベル、期限、こぼしたときの対応を確認します。

歯科医院の職場管理チェックリスト

  • 常用労働者数、パート、派遣、複数院勤務者を整理し、ストレスチェックの対象単位を確認する。
  • 2028年4月1日の50人未満事業場義務化予定を院内の労務カレンダーへ入れる。
  • ストレスチェックを内製するか、外部委託するか、相談先をどこにするかを比較する。
  • スタッフへ共有する相談窓口を、院内窓口と院外窓口に分けて一覧化する。
  • 休業・復職時の連絡窓口、診断書の提出先、勤務軽減の判断者を決める。
  • 診療室、滅菌室、受付、訪問歯科のスタッフ導線で転倒・腰痛リスクを点検する。
  • 消毒薬・歯科材料のSDS、保管場所、ラベル、廃棄方法、漏えい時対応を確認する。

人数別に最初の一手を変える

10人未満の医院は、制度対応より先に相談先と休業時の連絡ルールを整えるのが現実的です。10〜49人の医院は、2028年4月1日の義務化予定を見据えて、実施方法と外部支援先を比較します。50人以上の医院や複数院法人は、実施結果報告、集団分析、職場環境改善の流れまで確認します。

どの規模でも共通するのは、個人のストレスチェック結果を人事評価や院内の人間関係に不用意に結び付けないことです。制度はスタッフを監視するためではなく、本人の気づきと職場環境改善につなげるためのものとして共有します。

今後確認すべき資料

次に確認したいのは、50人未満事業場向けの実施マニュアル、労働安全衛生規則の追加改正、労働局説明会、産業保健総合支援センターの案内です。歯科医院向け資料が職能団体から出た場合は、院内規程やスタッフ説明資料へ反映します。

2026年度中に外部相談先を一度使ってみる

制度施行直前に初めて相談すると、実施方法、費用、個人情報管理、スケジュールの確認が重なります。2026年度中に、地域の産業保健総合支援センター、地域産業保健センター、顧問社労士、産業医候補へ一度相談し、自院の規模に合う進め方を確認しておくと実務が軽くなります。

調査数値を院内目標に直結させない

今回の調査は歯科医院だけを対象にしたものではありません。したがって、医療・福祉の数値をそのまま自院の目標値や問題発生率に置き換えるのは避けます。記事で使う場合も、「医療・福祉を含む分類」と明記し、制度準備の参考値として扱ってください。

FAQ

労働安全衛生調査の医療・福祉の数値は歯科医院の数値ですか

違います。医療,福祉という大きな産業分類の数値であり、歯科医院だけを切り出したものではありません。歯科医院では、同じ医療職場として参考にしつつ、自院の人数、勤務形態、相談体制に合わせて読み替える必要があります。

50人未満の歯科医院もストレスチェックが必要になりますか

厚生労働省の制度ページでは、2028年4月1日から労働者数50人未満の事業場にもストレスチェックが義務化されると説明されています。詳細な運用は今後のマニュアルや省令、労働局案内も確認してください。

10人未満の医院は何から始めればよいですか

まずは相談先と休業・復職時の連絡手順を決めます。院長だけに相談が集中しないよう、院外の相談窓口、顧問社労士、地域産業保健センターなどをスタッフへ共有すると始めやすくなります。

薬品管理は医療安全の話で、労働安全衛生とは別ですか

重なる部分があります。患者安全としての薬品管理に加え、スタッフが補充・清掃・廃棄するときのばく露防止、換気、手袋、SDS、漏えい時対応は労働安全衛生の観点でも確認対象になります。

出典

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Selectdays カスタマーサクセス担当

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