
医療機器保険適用相談会、歯科開発の確認点
厚生労働省は2026年8月21日、「医薬品・医療機器等の保険適用に関する相談会」の開催を公表しました。歯科領域では、歯科材料、歯科用医療機器、画像解析や治療計画支援などのプログラム医療機器を開発する企業・大学等に関係し得る案内です。
一方で、これは通常の歯科医院が施設基準を届け出たり、診療報酬の算定方法を変更したりする通知ではありません。歯科医院に直接関係するのは、メーカーや大学と共同研究・共同開発をしている場合、または新しい歯科機器の臨床的な位置づけを確認する立場にある場合です。
この記事では、相談会の対象、京都・福岡会場の期限、保険適用相談とPMDAの薬事相談の違い、歯科開発側が申込前にそろえる確認項目を整理します。
3行要約
- 厚生労働省は2026年8月21日、医薬品・医療機器等の保険適用相談会を京都と福岡で開催すると公表しました。
- 対象は製造販売業者等、開発企業、大学等研究機関で、通常の歯科医院向けの施設基準届出ではありません。
- 歯科材料・歯科医療機器・歯科SaMDの開発では、申込前に保険適用区分、薬事段階、臨床上の使用場面を分けて確認します。
今回の医療機器保険適用相談会で決まったこと
今回の相談会は、地方所在企業にも医薬品、医療機器等の保険適用を相談する機会を設けるものです。歯科領域では、歯科用材料、診療用機器、CAD/CAM関連機器、診断・治療計画支援ソフトなどを開発する側が、保険診療で使われるまでの道筋を確認する入口になります。
対象者は開発側であり、通常診療の歯科医院ではない
厚生労働省の発表では、対象者は「医薬品・医療機器・体外診断用医薬品の製造販売業者等開発に携わる企業、大学等研究機関」とされています。したがって、すでに保険診療を行っている歯科医院が、既存点数の算定可否を個別に質問する場ではありません。
ただし、歯科医院が開発企業や大学と共同で製品評価、臨床研究、使用感の検証に関わる場合は、相談会の内容を連携先と共有しておく価値があります。特に、どの診療行為に使うのか、既存材料・既存機器と何が違うのか、患者説明にどの情報が必要かは、医院側の経験が整理に役立つ部分です。
京都と福岡で日程・対象範囲が異なる
京都会場は2026年10月2日10時から17時まで、京都経済センターで開催予定です。申込期限は2026年9月17日17時です。福岡会場は2026年11月24日9時から13時まで、アクロス福岡で開催予定で、相談会の申込期限は2026年11月4日17時です。
定員は、医薬品、医療機器・体外診断用医薬品について各日それぞれ5社までとされています。福岡会場は、医療機器・体外診断用医薬品の保険適用相談のみの受付です。歯科医療機器や歯科材料の開発であれば、福岡会場の対象範囲に入り得ますが、医薬品の相談は福岡会場の対象外と読めます。
歯科医院に直接関係するケースと対象外のケース
歯科医院がまず確認すべきなのは、「自院の届出や算定の話」なのか、「製品開発側の保険適用の話」なのかです。今回の相談会は後者です。ここを取り違えると、施設基準、レセプト、患者説明の確認先を誤ります。
関係するのは共同開発・実証・評価に関わる医院
例えば、口腔内スキャナー、歯科用CAD/CAM関連材料、インプラント治療計画支援ソフト、画像解析プログラムなどについて、企業や大学から評価協力を依頼されている医院は、相談会の準備項目を把握しておくと連携がしやすくなります。
医院側が確認すべきことは、製品名よりも使用目的です。診断、治療計画、治療材料、技工連携、患者説明、院内記録のどこに使うのかによって、薬機法上の位置づけや保険適用の論点が変わるためです。
既存点数の算定質問は別の確認ルートを使う
すでに保険収載されている歯科材料を使う場合や、施設基準の届出、既存点数の算定可否を確認したい場合は、今回の相談会ではなく、診療報酬改定通知、疑義解釈、地方厚生局の届出案内、必要に応じた疑義照会を確認します。
相談会の案内だけを根拠に、「新しい機器が保険で使える」「患者負担が変わる」と説明することは避けるべきです。保険適用相談は、保険収載や算定可否を保証するものではありません。
保険適用相談の前に見る一次資料
歯科医療機器の開発では、保険適用の資料だけでなく、薬事、診療報酬、臨床上の使用場面を分けて確認する必要があります。相談会へ申し込む前に、最低限の一次資料を同じテーブルに並べておくと、相談内容が具体化します。
保険適用希望書とe-Gov電子申請の対象を確認する
厚生労働省の「医療機器・体外診断用医薬品の保険適用について」では、新たな医療機器や体外診断用医薬品を保険診療で使用するためには、保険適用手続きが必要と説明されています。また、決定区分A1、A2、B1、E1の一部については、2025年4月1日からe-Gov電子申請サービスで受付を開始し、2026年6月1日から原則e-Gov電子申請サービスでの受付とされています。
歯科関連プロダクトでも、どの区分を想定しているのか、プログラム医療機器に該当するのか、既存機能区分で説明できるのかを、開発側が事前に仮置きしておく必要があります。
薬事相談と保険適用相談を分ける
PMDAのRS総合相談・RS戦略相談は、大学、研究機関、ベンチャー企業などを主な対象に、開発初期の試験・治験計画などについて助言する枠組みです。厚生労働省の保険適用相談会は、保険診療上の扱いを相談する場です。
歯科医院が共同研究に関わる場合は、連携先に「薬事承認・認証・届出の段階」と「保険適用希望の段階」を分けて確認しましょう。薬事上の位置づけが未整理のまま保険適用の話だけを進めると、相談内容が抽象的になりやすくなります。
相談前チェックリスト
- 製品が歯科材料、診療用機器、体外診断用医薬品、プログラム医療機器のどれに近いかを整理する。
- 想定する使用場面を、診断、治療計画、処置、技工、患者説明、記録のどこかに分ける。
- 薬機法上の承認・認証・届出、または相談状況を確認する。
- 保険適用希望書の区分候補と、既存機能区分で説明できる点・できない点を分ける。
- 既存の歯科点数、特定保険医療材料、使用歯科材料料との関係を確認する。
- 医院が関わる場合は、研究協力なのか、通常診療での使用なのか、患者説明と記録の責任分界を確認する。
- 京都会場は2026年9月17日17時、福岡会場は2026年11月4日17時の相談会申込期限から逆算する。
歯科材料・機器開発のBefore / After
今回の相談会案内で制度そのものが改正されたわけではありません。変わったのは、2026年度の相談機会、会場、期限が公式に示されたことです。
相談機会を開発スケジュールに組み込む
項目 | 相談会前に起こりやすい状態 | 相談会を使う場合の確認 |
|---|---|---|
対象者 | 歯科医院、企業、大学の役割が曖昧 | 申込主体が製造販売業者等・開発企業・大学等研究機関に当たるか確認 |
相談内容 | 薬事、保険、診療現場の話が混ざる | 薬事相談と保険適用相談を分け、相談会では保険適用上の論点を整理 |
歯科医院の役割 | 評価協力と通常診療での使用が混同される | 共同研究、実証、通常診療、患者説明の境界を確認 |
期限 | 資料作成が申込期限直前になる | 京都は2026年9月17日、福岡は2026年11月4日を起点に逆算 |
歯科医院側の実務価値は、製品の臨床上の使われ方を具体化することです。例えば「診断を補助するのか」「治療計画の説明資料を作るのか」「技工指示や材料選択に関わるのか」を分けるだけでも、相談資料の精度が上がります。
注意点と未確定事項
今回の案内は、相談会の開催情報です。保険適用の可否、価格、算定方法、患者負担、歯科医院の届出要否を決める通知ではありません。読者は、相談会で確認できることと、別資料で確認すべきことを分ける必要があります。
相談会参加は保険収載の保証ではない
相談会は、開発側が保険適用に関する考え方や手続を確認する機会です。相談した製品が必ず保険収載される、既存点数で必ず算定できる、患者に保険診療として提供できる、という意味ではありません。
歯科医院が新製品の導入を検討する場合は、最終的な保険適用通知、材料価格基準、留意事項通知、疑義解釈、メーカーから提供される承認等情報を別途確認してください。
福岡県セミナーの詳細は今後確認が必要
厚生労働省発表では、福岡会場で福岡県主催の医療機器関連セミナーとPMDA戦略出張相談も開催予定とされています。ただし、医療機器関連セミナーは開催時期が近づき次第、福岡県HPで公開予定とされており、具体的なプログラムは現時点では確認が必要です。
FAQ
Q1. 歯科医院は今回の相談会に申し込むべきですか
通常の保険診療や施設基準の確認だけであれば、今回の相談会の主対象ではありません。製品開発に関わる企業、大学等研究機関、製造販売業者等が主な対象です。歯科医院が共同研究や製品評価に関わる場合は、連携先が申込主体に該当するか確認しましょう。
Q2. 歯科材料やCAD/CAM関連機器も関係しますか
関係し得ます。厚生労働省の令和8年度診療報酬改定ページには、医療機器、特定保険医療材料、使用歯科材料料、プログラム医療機器に関する通知が並んでいます。ただし、個別製品がどの区分に当たるかは、製品の使用目的、薬事上の位置づけ、既存機能区分との関係で確認する必要があります。
Q3. PMDA相談と厚労省の保険適用相談は同じですか
同じではありません。PMDAのRS総合相談・RS戦略相談は、開発初期の試験・治験計画など薬事面の助言を受ける枠組みです。厚労省の保険適用相談会は、保険診療上の扱いに関する相談です。歯科系プロダクトでは、両方の論点を混ぜずに準備することが重要です。
Q4. 相談会の案内だけで患者説明を変える必要はありますか
ありません。今回の案内は相談機会の告知であり、患者負担や算定方法を変更するものではありません。患者説明を変えるのは、個別製品の承認等、保険適用通知、算定留意事項などが確認できた後です。
出典
- 「医薬品・医療機器等の保険適用に関する相談会」を開催します|厚生労働省|2026年8月21日
該当箇所: 定員、対象者、申込方法、開催日時、申込期限 - 医療機器・体外診断用医薬品の保険適用について|厚生労働省
該当箇所: 保険適用手続、e-Gov電子申請、必要書類 - 令和8年度診療報酬改定について|厚生労働省
該当箇所: 医療機器・体外診断用医薬品関連通知一覧 - RS総合相談・RS戦略相談|PMDA
該当箇所: 研究成果を医療機器にしたい場合、開発を円滑に進めたい場合の相談導線 - 健康保険法|e-Gov法令検索
該当箇所: 第63条 療養の給付 - 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律|e-Gov法令検索
該当箇所: 第2条 医療機器の定義 - 事業案内|日本歯科医師会
該当箇所: 社会保険関係、器材薬剤関係
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