
歯科用デジタル印象採得装置、6月保険適用の確認点
厚生労働省は2026年5月29日付で「医療機器の保険適用について」を発出し、別紙の医療機器を2026年6月1日から新たに保険適用とすると通知しました。歯科では、歯科用デジタル印象採得装置やデンタルX線関連機器などが掲載されています。
歯科医院にとって重要なのは、「通知に機器名が載った」ことと「自院で関連点数を算定できる」ことを分けて確認することです。機器の販売名、承認・認証番号、施設基準、診療行為の算定要件、レセコン反映を順番に見ないと、6月診療分の請求確認で混乱しやすくなります。
この記事では、2026年6月1日保険適用の歯科用デジタル印象採得装置と歯科用X線関連機器について、歯科医院が最初に確認したいポイントを一次情報ベースで整理します。
2026年6月1日から何が保険適用になったか
今回の通知は、個別の医療機器について保険適用開始日、販売名、製品名、保険適用希望者、特定診療報酬算定医療機器の区分を示すものです。歯科では、デジタル印象採得や歯科用X線に関わる機器が目立ちます。
歯科用デジタル印象採得装置が対象に入った
歯科の区分A2には、歯科用デジタル印象採得装置として「DEXIS IS インプレボ」が掲載されています。区分A2は、特定の診療報酬項目において包括的に評価されているものとして扱われる区分です。
口腔内スキャナーを使う医院では、まず自院で導入している機器の販売名や型番が通知の掲載内容と一致するかを確認してください。似た名称の機器や同じメーカー系列の機器でも、通知上の販売名・承認番号又は認証番号が一致しなければ、同じものとして扱えない可能性があります。
デンタルX線関連機器も複数掲載
同じ歯科の区分A2には、デジタル式歯科用パノラマX線診断装置、歯科用コンビームCT、デジタル式歯科用口外汎用X線診断装置、デジタル式歯科用口内汎用X線診断装置なども掲載されています。
画像診断機器は、装置本体、撮影内容、診療録記載、画像管理、算定項目がつながって初めて実務になります。新規掲載を見たら、単に「新しい機械が保険に入った」と捉えるのではなく、院内の撮影フローと請求フローにどの機器が関係するかを整理する必要があります。
区分A2をどう理解するか
今回の対象機器の多くは、歯科の区分A2として整理されています。ここで誤解しやすいのは、A2掲載がそのまま新しい単独点数の新設を意味するわけではない点です。
機器名掲載と算定可否は分けて見る
区分A2は、特定の診療報酬項目において包括的に評価される機器です。そのため、医院では次の順で確認すると混乱を避けやすくなります。
- 通知に掲載された販売名・製品名と院内機器が一致しているか
- 該当する診療行為や検査・画像診断の算定要件を満たしているか
- 必要な施設基準や届出の対象になっていないか
- レセコンや電子カルテのマスター更新に反映されているか
特にデジタル印象採得装置は、補綴やCAD/CAMの運用と接続して理解されやすい機器です。技工所連携を含む医院では、スキャンデータの取り扱い、技工指示、診療録への記載、請求画面での表示を一連の流れで確認しましょう。
患者説明では診療内容と負担割合を分ける
患者説明では、「新しい機器を使うから必ず追加負担が発生する」といった言い方は避けた方が安全です。患者負担は、実際の診療内容、算定項目、保険適用の範囲、患者の負担割合によって変わります。
説明する場合は、「2026年6月1日から一部の歯科用機器が保険適用の対象として整理されました。実際の費用は診療内容に応じて会計時に確認します」といった表現にすると、機器導入と患者負担を混同しにくくなります。
歯科医院がまず確認すること
6月診療分で大事なのは、通知を読んだだけで終わらせず、院内の機器台帳、施設基準、レセコン設定に落とし込むことです。確認作業は短くてもよいので、担当者を決めて記録に残しましょう。
院内機器台帳と通知の販売名を照合する
最初に、院内機器台帳や保守契約書に記載された販売名、型番、製造販売業者、承認番号又は認証番号を確認します。その上で、厚労省通知の販売名・製品名と照らし合わせます。
照合時は、略称や通称だけで判断しないことが重要です。スタッフ間で「口腔内スキャナー」「パノラマ」「CT」と呼んでいても、通知では個別の販売名で掲載されています。請求や監査時に説明できるよう、正式名称を院内資料に残しておくと確認が早くなります。
施設基準とレセコン更新を確認する
通知掲載機器を使う診療であっても、関連する施設基準や届出が必要な項目では、その要件確認が欠かせません。地方厚生局は歯科を含む施設基準の届出受理状況を公開しているため、届出済み項目や直近の受理状況を確認する導線として使えます。
レセコンについては、ベンダーの更新案内を確認し、6月診療分からの反映範囲を見ます。マスター更新後は、該当する診療パターンでテスト入力し、算定候補、警告、コメント、診療録連携が想定どおりに動くかを確認しておくと安全です。
導入後に見落としやすい安全性確認
保険適用の確認とあわせて、医療機器としての安全性情報や回収情報を見る導線も用意しておきます。新しい機器ほど、院内の責任者と確認頻度を曖昧にしないことが大切です。
PMDA回収情報を定期確認する
PMDAは医療機器の回収情報ページで、年度別・クラス別の回収情報へのリンクを掲載しています。また、回収される製品による健康への危険性の程度に応じてクラスI、II、IIIに分類されることも説明しています。
歯科医院では、導入直後だけでなく、定期的にPMDAの回収情報やメーカーからの案内を確認する運用が必要です。特にX線関連機器やデジタル印象採得装置は、ソフトウェア更新、撮影・スキャン精度、データ連携の不具合が診療運用に影響する可能性があります。
保守・点検記録を院内ルールに入れる
保険適用機器として請求に関係する場合、機器が適切に保守されているかも院内管理上の重要事項です。メーカー点検、校正、ソフトウェア更新、修理履歴、スタッフ研修の記録を、機器台帳と一緒に管理しましょう。
受付や診療補助スタッフにも、機器トラブル時の連絡先、代替フロー、患者説明の基本文言を共有しておくと、急な撮影不可やスキャン不可の場面で対応がばらつきにくくなります。
FAQ
通知に掲載された機器を使えば自動的に算定できますか
自動的に算定できるとは限りません。通知掲載は医療機器の保険適用情報であり、実際の算定は診療行為、施設基準、算定要件、患者ごとの診療内容、レセコン設定を合わせて確認する必要があります。
区分A2とは何ですか
区分A2は、特定の診療報酬項目において包括的に評価されている医療機器の区分です。新しい単独点数が必ず作られるという意味ではないため、関連する診療報酬項目を確認する必要があります。
口腔内スキャナーの全機種が対象ですか
通知では個別の販売名や承認番号又は認証番号で掲載されています。口腔内スキャナー全般が一律に対象という読み方はできません。自院機器の正式名称と通知掲載名を照合してください。
患者にはどう説明すればよいですか
「一部の歯科用機器が2026年6月1日から保険適用の対象として整理されました。実際の費用は診療内容と負担割合で変わります」と説明すると、機器導入と患者負担を混同しにくくなります。
今後の見通し
今回の通知は、2026年6月診療分の請求確認に直結する情報です。ただし、実務では通知だけで完結しません。マスター更新、地方厚生局の届出受理状況、ベンダー案内、安全性情報を継続して見る必要があります。
次に見るべき一次情報
次に確認したいのは、診療報酬情報提供サービスの歯科診療行為マスター、支払基金の基本マスター変更情報、地方厚生局の施設基準受理状況、PMDAの医療機器回収情報です。6月診療分の請求前に、少なくとも院内機器台帳とレセコン表示の照合は済ませておきましょう。
出典
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について(令和8年4月以降の改正について)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00074.html
- 厚生労働省「医療機器の保険適用について」https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001707973.pdf
- 関東信越厚生局「保険医療機関・保険薬局の施設基準の届出受理状況及び保険外併用療養費医療機関一覧」https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/chousa/kijyun.html
- PMDA「回収情報(医療機器)」https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/devices/0054.html
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