歯科医療DX工程表案、電子カルテ準備の確認点
業界情報

歯科医療DX工程表案、電子カルテ準備の確認点

Selectdays CS担当者

2026年8月27日に開かれた第130回社会保障審議会医療部会で、厚生労働省は医療DXの進捗状況として「歯科の医療DX工程表(案)」を示しました。歯科診療所向け電子カルテの標準仕様、電子カルテ情報共有サービスで扱う歯科情報、診療情報提供書の共有開始時期が、年度単位で整理された点が今回の焦点です。

ただし、これは現時点では会議資料上の工程表案であり、個々の歯科医院に直ちに新しい届出や算定要件を課す通知ではありません。院長、事務長、システム担当者は、今すぐ製品更改やレセコン改修を決めるというより、現在のカルテ・レセコン・電子処方箋・オンライン資格確認の接続状況を棚卸ししておく段階です。

この記事では、歯科医療DX工程表案の読み方、前回議論から具体化した点、歯科医院で確認しておきたい実務項目を整理します。

3行要約

  • 厚労省は2026年8月27日の医療部会資料で、歯科診療所向け電子カルテ標準仕様を2026年度中に策定し、2027年度中から普及開始を目指す工程表案を示しました。
  • 診療情報提供書の共有は2029年度からの開始を目指す一方、歯科の医療情報等の内容は2026年度中に確定し、2027年度中に要件定義と技術解説書の策定へ進む整理です。
  • 歯科医院は、正式通知を待ちながら、現行レセコンのカルテ作成支援機能、クラウド対応、電子処方箋・オンライン資格確認との接続、ベンダー更改時期を確認しておくと判断しやすくなります。

歯科医療DX工程表案で示されたこと

今回の資料では、歯科も電子カルテ情報共有サービスと標準化された電子カルテの流れに入ることが、年度別の工程として示されました。重要なのは、歯科医院全体に「明日から新システム必須」とする資料ではなく、標準仕様、検証、普及、情報共有を段階的に進める案である点です。

2026年度中に標準仕様Ver1.0を策定する案

工程表案では、歯科診療所向けの標準仕様に準拠した電子カルテについて、2026年度中を目途に標準仕様を策定・公表し、2027年度中から普及開始を目指すと整理されています。標準仕様は、クラウドネイティブ型であること、電子カルテ共有サービス等への対応を要件とすることが想定されています。

診療情報提供書の共有は2029年度開始を目指す

歯科の診療情報提供書については、2027年度に電子カルテ情報共有サービスの改修を行い、検証事業を経たうえで、2029年度から開始することを目指すとされています。紹介状や診療情報提供書を紙や個別PDFで運用している医院ほど、将来の送受信方法が変わる可能性を見ておく必要があります。

共有する歯科情報の内容はまだ確定前

歯科の医療情報等の共有については、2026年度中に内容を確定し、2027年度中にシステム改修に向けた要件定義と技術解説書を策定する案です。患者サマリーなど、診療情報提供書以外の文書・情報は2026年度以降に精査・検討するとされており、現時点で共有項目を医院側が断定して運用変更する段階ではありません。

前回議論から具体化したポイント

2026年5月29日の医療等情報利活用ワーキンググループでは、歯科診療に関する情報連携として、歯科医療機関間や医科歯科間での診療情報提供書の送受信、歯科特有の情報を含めた共有項目の検討が議論されていました。8月27日の医療部会資料では、その議論が年度別の工程表として見える形になっています。

医科中心の電子カルテ普及目標に歯科の工程が接続した

医療DXでは、遅くとも2030年には概ねすべての医療機関で必要な患者の医療情報を共有できる状態を目指す流れがあります。今回の資料は、医科診療所・病院向けの電子カルテ普及策とは別に、歯科医療機関について2026年度中に具体的な対応方針を決める流れを示しています。

現行レセコンの扱いが明記された

資料では、歯科診療所でカルテ作成支援機能を持つオンプレ型レセプトコンピューターが広く普及している現状にも触れています。そのため、標準仕様準拠の認証電子カルテ製品への更改だけでなく、現行システムの改修等により政府のDXサービスに対応する標準化された電子カルテの普及につなげる考え方が示されています。

歯科医院が今確認すること

  • 現在使っているレセコン・カルテ作成支援機能がオンプレ型かクラウド型かを確認する。
  • 次回のシステム更改時期、保守契約期間、解約・移行条件を一覧化する。
  • ベンダーに、歯科診療所向け標準仕様Ver1.0、電子カルテ情報共有サービス、電子処方箋、オンライン資格確認への対応予定を確認する。
  • 紹介状、診療情報提供書、医科歯科連携文書を現在どの形式で作成・保存・送付しているか確認する。
  • サイバーセキュリティ、バックアップ、ID管理、職種別権限の院内ルールを現行システムに合わせて見直す。

今回の資料だけで購入製品を決めるのは早すぎます。一方で、システム更改は契約期間やデータ移行に時間がかかるため、標準仕様が公表されてから慌てないよう、院内の現状整理は先に始められます。

院長と事務長が見るべき契約項目

院長と事務長は、次回更改時期、保守範囲、データ出力形式、クラウド移行の可否、政府DXサービスへの接続オプションを確認しておくと、標準仕様公表後の比較がしやすくなります。見積書だけでなく、既存データの引き継ぎ条件を確認することが重要です。

歯科衛生士・受付が見るべき運用項目

診療情報提供書や患者サマリーの共有が進むと、入力内容の粒度、患者説明、同意確認、院内で誰が情報を確認するかが実務に影響します。現時点では詳細未確定ですが、医科歯科連携、周術期口腔機能管理、糖尿病と歯周病などの連携場面で、どの情報を誰が確認しているかを棚卸ししておくとよいでしょう。

判断に迷う点と注意点

歯科医療DX工程表案は、歯科医院の将来準備には重要ですが、正式な施設基準通知や疑義解釈とは性格が異なります。算定可否、届出要否、製品認証の詳細は、今後の標準仕様、技術解説書、診療報酬上の取扱いを確認してから判断する必要があります。

今すぐ義務化されたわけではない

資料上は、歯科診療所向け電子カルテの標準仕様策定、普及開始、情報共有サービス改修、検証事業という順番で示されています。したがって、今すぐ全ての歯科診療所が標準仕様準拠の電子カルテへ移行しなければならない、という読み方は避けるべきです。

診療報酬の届出とは分けて考える

令和8年度診療報酬改定では、地方厚生局の届出一覧に電子的歯科診療情報連携体制整備加算などの届出項目が示されています。工程表案は将来の基盤整備の話であり、既存の加算や届出の要件確認とは別に管理するのが安全です。

歯科医療DX工程表案の院内共有メモ

院内共有では、決定事項と未確定事項を混ぜないことが大切です。以下のように整理しておくと、スタッフやベンダーとの会話がぶれにくくなります。

区分

資料で示された内容

医院の確認アクション

2026年度

歯科診療所向け電子カルテ標準仕様Ver1.0の策定・公表を目指す

現行システム、契約、更改時期、データ出力条件を棚卸しする

2027年度

標準仕様準拠電子カルテの普及開始、歯科情報共有の要件定義・技術解説書策定を目指す

ベンダーの対応予定、導入支援策、改修費用の情報を確認する

2029年度

歯科の診療情報提供書共有の開始を目指す

紹介状・診療情報提供書の作成、保存、送付フローを整理する

未確定

患者サマリー等、共有可能とする文書・情報は精査・検討

正式な標準仕様、技術解説書、通知が出るまで断定運用にしない

ベンダーへ確認する短い文例

「2026年8月27日の厚労省医療部会資料で歯科診療所向け電子カルテ標準仕様の工程表案が示されました。現在利用中のシステムについて、標準仕様Ver1.0、電子カルテ情報共有サービス、電子処方箋、オンライン資格確認への対応予定と、データ移行・保守契約上の注意点を確認させてください。」

次に確認すべき一次情報

次に見るべき資料は、2026年度中に公表予定とされる歯科診療所向け標準仕様、歯科の共有情報の確定内容、2027年度中に予定される要件定義・技術解説書です。診療報酬上の扱いは、今後の通知、疑義解釈、地方厚生局の届出案内と合わせて確認します。

確認タイミング

システム更新を2026年度から2027年度に予定している医院は、標準仕様Ver1.0公表時点で必ず比較表を更新してください。更新予定がまだ先の医院でも、電子処方箋やオンライン資格確認の運用、紹介状の作成・保存フローは先に整理しておくと、将来の移行判断がしやすくなります。

FAQ

歯科医療DX工程表案で、すぐ電子カルテを買い替える必要がありますか。

現時点では、会議資料上の工程表案です。標準仕様や認証、支援策、診療報酬上の扱いが今後示されるため、今すぐ購入を決めるより、現行システムと更改時期の棚卸しを優先するのが現実的です。

紙カルテ中心の歯科医院も関係しますか。

将来的には歯科医療機関でも医療情報共有の対象が広がる方向が示されています。ただし、具体的な移行方法や対象範囲は未確定です。まずはオンライン資格確認、電子処方箋、紹介状運用、ベンダー契約の現状を整理しておく段階です。

電子処方箋の記事と何が違いますか。

電子処方箋は処方・調剤情報の管理サービスが中心です。今回の工程表案は、歯科診療所向け電子カルテ標準仕様、電子カルテ情報共有サービス、診療情報提供書や歯科情報の共有時期を扱う点が異なります。

出典

[1] 第130回社会保障審議会医療部会 資料|厚生労働省|2026-08-27
該当箇所: 資料1「医療DXの進捗状況等について(報告)」p.10-14、歯科における医療DX、歯科の医療DX工程表(案)

[2] 医療DXの進捗状況等について(報告) 資料1|厚生労働省|2026-08-27
該当箇所: p.3、p.10-14、電子カルテ情報共有サービスの運用開始、歯科診療所向け標準仕様、診療情報提供書共有

[3] 2026年5月29日 第32回健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報利活用WG 議事録|厚生労働省|2026-05-29
該当箇所: 歯科診療に関する情報連携、電子カルテ情報共有サービスの共有項目に関する議論

[4] 医療DXに関するダッシュボード|デジタル庁|2026-08-14
該当箇所: 医療DXの全体像、電子カルテ・電子処方箋・オンライン資格確認等の進捗指標

[5] 地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律|e-Gov法令検索|現行法令
該当箇所: 医療情報化推進方針、電子診療録等情報の利用等に関する条文

[6] 基本診療料の届出一覧(令和8年度診療報酬改定)|関東信越厚生局|2026年確認
該当箇所: 電子的歯科診療情報連携体制整備加算、歯科初診料関連の届出一覧

Writer Profile

Selectdays カスタマーサクセス担当

Selectdaysの実運用のサポートを担当しています。店舗のDX化に関するお悩み解決のノウハウを発信します。

最新の業界情報を、あなたの医院へ

歯科経営に役立つ最新情報やDXデジタルに関する情報を最速・正確にまとめてお届けします。

理想の予約体験を始めませんか?

実際の管理画面デモや、他院さまでの活用事例を詳しくご紹介します。

お問い合わせ

お申し込みいただくと、歯科専門パートナーが
御院での活用方法をご案内いたします

今すぐ相談する

15分でクイックデモ

15分ですばやくデモンストレーションを行います
実際の機能や利用方法をご確認いただけます

資料請求

Selectdaysの機能や費用感について
簡潔な資料をお送りいたします

資料請求