診療報酬改定の検証調査、歯科医院の準備点

Selectdays CS担当者

2026年6月24日の中央社会保険医療協議会総会で、令和8年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査の実施方針が示されました。歯科では、在宅歯科医療、医療DX、歯科疾患・口腔機能管理、CAD/CAMや3Dプリンタ義歯、歯科衛生士・歯科技工士の業務評価などが調査項目に入っています。

これは、新しい届出や算定要件が直ちに追加されたという話ではありません。ただし、今後の調査では算定状況や連携状況、患者像、院内体制が問われる可能性があります。歯科医院は、調査依頼が来てから記録を探すのではなく、日々の算定・連携・スタッフ業務の記録を整えておくことが実務上の備えになります。

この記事では、歯科医院が今から確認したいポイントを、2026年6月24日の中医協資料に沿って整理します。

3行要約

  • 在宅歯科は令和8年度と令和9年度の2か年で検証予定です。中医協資料では、在宅医療、在宅歯科医療、在宅訪問薬剤管理、訪問看護の実施状況調査が、令和8年度と令和9年度の2か年で実施される予定とされています。
  • 歯科診療報酬の評価調査は令和9年度に予定されています。歯科診療報酬の評価等に関する実施状況調査は、令和9年度調査として整理されています。歯科医療機関と患者が調査客体とされ、歯科疾患管理、口腔機能管理、医科歯科連携、デジタル技工、スタッフ業務評価などが対象に挙がっています。
  • 今すぐの対応は記録の見える化です。現時点で医院が行うべきことは、調査票を推測して回答を作ることではありません。関連する算定項目、対象患者、連携先、スタッフの関与、DX導入状況を、院内で確認できる状態にしておくことです。

今回の中医協資料で示されたこと

第651回中医協総会の資料では、令和8年度診療報酬改定の答申書附帯意見を踏まえた特別調査について、調査項目とスケジュールが整理されました。歯科医院に関係する論点は、在宅歯科、医療DX、歯科診療報酬評価の3つに大きく分けられます。

調査計画であり、算定ルール変更ではない

今回の資料は、改定後の影響を把握するための調査計画です。したがって、資料に項目名が出ているからといって、その項目の算定要件が新たに変わったとは読めません。

歯科医院では、現行の告示、通知、疑義解釈、施設基準に沿って算定を続けます。そのうえで、調査対象になり得る項目の記録が院内で追えるかを確認します。

実施時期は項目ごとに違う

資料では、令和8年度調査として在宅医療・在宅歯科医療等、精神医療等、長期処方やリフィル処方の一部が挙げられています。令和9年度調査には、医療DX、歯科診療報酬の評価等、保険薬局、後発医薬品使用促進策などが含まれます。

スケジュール案では、令和8年度調査は2026年9月から11月に調査設計・調査票等を検討し、2026年12月から2027年1月に調査実施とされています。令和9年度調査は2027年7月から9月に調査実施予定です。

在宅歯科医療で確認したい項目

在宅歯科医療は、令和8年度と令和9年度の2か年で検証予定とされています。訪問歯科を行う医院では、算定件数だけでなく、患者の状態、居住形態、診療時間、診療内容、関係機関との連携状況を説明できる記録が重要になります。

歯科訪問診療料と訪問歯科衛生指導料が中心になる

資料では、歯科訪問診療料とその加算、訪問歯科衛生指導料、歯科疾患在宅療養管理料とその加算、在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料、在宅歯科栄養サポートチーム等連携指導料、小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料が主な調査事項に挙げられています。

医院側では、訪問先、診療時間、患者の状態、口腔機能や栄養に関する評価、歯科衛生士の関与、介護・医療側との連携記録を、カルテや業務記録から確認できるようにしておきます。

関係機関との連携状況も見られる

在宅歯科の調査では、関係機関との連携状況も検証ポイントに含まれています。これは、単に訪問件数を集計するだけではなく、医科、薬局、訪問看護、介護サービス事業所などとの情報共有がどのように行われたかが問われる可能性を示しています。

たとえば、訪問依頼の経路、診療情報提供、サービス担当者会議への関与、摂食嚥下や栄養支援に関する共有記録は、後から探しにくい情報です。日常の記録様式に、連携先と連携内容を残す欄があるかを確認します。

歯科診療報酬評価で見られる論点

令和9年度調査として示された歯科診療報酬の評価等に関する実施状況調査は、歯科医院にとって範囲が広い項目です。継続管理、医科歯科連携、デジタル技工、人材定着に関する評価が一つの調査枠に入っています。

継続管理と口腔機能管理の算定状況

資料では、歯科疾患管理料、小児口腔機能管理料、口腔機能管理料、歯周病継続支援治療等の対象患者と算定状況が調査事項に挙げられています。

医院では、どの患者にどの管理料を算定しているか、管理計画や患者説明がどのように記録されているかを確認します。小児、高齢者、歯周病、口腔機能低下など、患者層ごとの記録が分かれていると、集計や説明がしやすくなります。

医科歯科連携とデジタル技工も対象

医科連携訪問加算、重症化予防連携強化加算、CAD/CAM冠、CAD/CAMインレー、局部義歯の歯科鋳造用コバルトクロム合金の利用状況なども調査事項として示されています。

このため、医科からの依頼、糖尿病患者などに関する連携、病院からの訪問歯科依頼、CAD/CAMや3Dプリンタ義歯に関する技工指示・装置・外注先の整理が重要になります。対象項目を算定していない医院でも、なぜ算定していないのか、設備や連携体制上の課題があるのかを把握しておくと、院内の現状整理に役立ちます。

歯科衛生士と歯科技工士の業務評価

資料では、口腔機能実地指導料や歯科技工士連携加算の算定状況、人材定着に関する効果等も主な調査事項に含まれています。

歯科衛生士や歯科技工士の業務は、日々の診療の中で分散して記録されがちです。担当職種、実施内容、患者説明、連携方法、算定した項目を院内で見返せるようにしておくと、調査対応だけでなくスタッフ配置や教育にも使えます。

医療DX調査で歯科医院が見るべき点

医療DXの実施状況調査は令和9年度調査として示され、歯科保険医療機関も調査客体に含まれています。歯科医院では、電子的歯科診療情報連携体制整備加算や、電子処方箋、電子カルテ、情報共有サービス、サイバーセキュリティ対策が確認対象になり得ます。

算定状況と導入状況を分けて整理する

資料では、電子的診療情報連携体制整備加算等の算定状況に加え、電子処方箋、電子カルテ、電子カルテ情報共有サービス、地域医療情報連携ネットワークの導入等の対応状況が主な調査事項に挙げられています。

ここで重要なのは、算定しているかどうかと、システムを導入しているかどうかを分けて整理することです。導入済み、準備中、未導入、算定対象外などの状態を混ぜると、院内でも現状が分かりにくくなります。

サイバーセキュリティ対策も確認対象

医療DX調査の主な調査事項には、救急時医療情報閲覧機能の導入状況とサイバーセキュリティ対策の実施状況も含まれています。

歯科医院では、ベンダー任せにせず、管理者、バックアップ、端末管理、権限管理、障害時連絡先、セキュリティ研修の記録を確認します。調査対応だけでなく、日常の情報管理リスクを下げる意味でも、一覧化しておく価値があります。

今から作る院内チェックリスト

  • 在宅歯科、継続管理、医科歯科連携、CAD/CAM、口腔機能実地指導、歯科技工士連携、医療DXの項目ごとに、記録の所在を決める。カルテ、レセコン、訪問スケジュール、技工指示書、連携文書、院内研修記録、システム契約書、セキュリティ関連記録を、誰がどのタイミングで確認できるかまで整理します。
  • 調査依頼が来たときの担当を決める。特別調査は外部委託で実施され、調査設計や調査票の検討を経て実施される予定です。院長、事務、訪問歯科担当、歯科衛生士、技工連携担当、システム担当の確認ルートを先に共有しておきます。

注意点と今後の確認資料

今回の記事で扱った内容は、2026年6月24日時点の中医協資料に基づく整理です。具体的な調査票、回答期限、抽出対象、回答方法は、今後の検証部会や中医協総会の資料で確認する必要があります。

調査対象になるとは限らない

資料では調査客体が示されていますが、個別の歯科医院が必ず調査対象になるとは限りません。抽出方法や客体数は、調査検討委員会で調査設計を行う流れとされています。

したがって、全医院が今すぐ特別な報告書を作る必要はありません。まずは、日常業務の記録が後から説明できる形になっているかを点検します。

次に見るべき資料

次に確認したいのは、令和8年度調査の調査票決定資料です。資料上は、2026年9月から11月に調査設計・調査票等を検討し、その後、検証部会と総会で調査票を決定する流れが示されています。

歯科医院では、検証部会の資料、中央社会保険医療協議会総会の資料、日歯や関係団体からの調査協力案内を定期的に確認するとよいでしょう。

よくある質問

今回の資料で新しい届出が必要になりますか

資料は結果検証に係る特別調査の計画であり、新しい届出義務を示すものではありません。届出や算定は、令和8年度診療報酬改定の告示、通知、施設基準、疑義解釈に沿って確認します。

訪問歯科をしていない医院にも関係しますか

訪問歯科をしていない医院では、在宅歯科の調査項目は直接関係しにくい可能性があります。ただし、歯科診療報酬の評価等に関する令和9年度調査には、歯科疾患管理、口腔機能管理、CAD/CAM、歯科衛生士・歯科技工士の業務評価など、一般歯科医院にも関係する論点が含まれています。

調査票はもう公表されていますか

2026年6月24日の資料では、調査項目、実施年度、スケジュール、主な調査事項が示されています。具体的な調査票は、今後の調査設計・調査票検討を経て、検証部会と総会で決定される予定です。

まず何を準備すればよいですか

関連する算定項目と記録の所在を一覧化します。在宅歯科、歯科疾患管理、口腔機能管理、医科歯科連携、CAD/CAM、口腔機能実地指導料、歯科技工士連携加算、電子的歯科診療情報連携体制整備加算などについて、誰がどの資料を確認すれば分かるかを決めておくと実務的です。

出典

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Selectdays カスタマーサクセス担当

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