歯科医療費の令和7年度動向、医院の確認点
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歯科医療費の令和7年度動向、医院の確認点

Selectdays CS担当者

厚生労働省は2026年8月28日、令和7年度の「歯科医療費(電算処理分)の動向」を公表しました。歯科医療費の伸び率は前年度比+4.0%、受診延日数は+0.8%、1日当たり医療費は+3.2%です。医院経営では、単に「市場が伸びた」と読むより、患者数、来院日数、1日当たり単価、診療内容別の構成が自院で同じ方向に動いているかを確認する材料になります。

対象は、保険診療を中心に日次・月次の実績を見ている歯科診療所、事務長、請求担当、院長です。今回の資料は制度改定の通知ではなく統計資料なので、ただちに届出や算定要件が変わるものではありません。一方で、医学管理、在宅、処置、検査・病理診断、補綴、歯科用貴金属の動きは、医院の診療体制や説明の見直しに使えます。

この記事では、厚労省資料で確認できる数字だけを使い、歯科医院が月次会議で見る順番に整理します。まず全国値との差を確認し、次に患者層、診療内容、補綴・材料費、地域差の順で自院データと照合してください。

3行要約

  • 事実:令和7年度の歯科医療費(電算処理分)は前年度比+4.0%、受診延日数は+0.8%、1日当たり医療費は+3.2%でした。
  • 対象:保険診療の月次実績を見ている歯科診療所は、全国値を自院の患者数、来院日数、単価、診療内容の比較軸にできます。
  • 対応:すぐに算定や届出を変える資料ではなく、月次KPI、診療内容別構成、在宅・医学管理・補綴の動きを確認する資料として扱います。

歯科医療費の動向でまず見る数字

今回の中心は、令和7年度の歯科医療費が「件数・日数の大幅増」ではなく、「受診延日数は小幅増、1日当たり医療費は比較的大きく増えた」という構造です。医院では、売上だけでなく、延患者数、延来院日数、1日当たり保険点数を分けて見ないと、全国値とのズレを読み誤ります。

総額、日数、単価を分けて見る

厚労省の年次版PDFでは、令和7年度の歯科医療費(電算処理分)は前年度比+4.0%、受診延日数は+0.8%、1日当たり医療費は+3.2%と示されています。これは、来院日数の伸びよりも1日当たり医療費の伸びが大きかったことを意味します。自院では、月次の保険収入だけでなく、延来院日数と1日当たり点数を並べて確認するのが第一歩です。

全数ではなく電算処理分である点に注意する

この統計は、歯科レセプトデータを集約した電算処理分です。資料上、令和7年度の電算化率は医療費で98.5%まで上がっていますが、名称どおり全数そのものではありません。医院内で説明するときは「保険歯科医療費の実勢に近い速報性のある統計」と位置づけ、個別医院の増減をそのまま全国要因だけで説明しないことが重要です。

令和6年度との違いをどう読むか

前年度との違いは、伸びが続いた一方で、伸び方の中身に差がある点です。令和6年度も歯科医療費は増えていましたが、令和7年度は制度別、年齢階級別、診療内容別に見ると、医院ごとの患者層や診療構成で受け止め方が変わります。

Before / Afterで見る全国値

確認項目

令和6年度

令和7年度

医院での見方

歯科医療費の伸び率

+4.2%

+4.0%

全国では増加継続。自院の保険収入が横ばいなら、患者数・単価・診療内容のどこが違うかを見る。

受診延日数の伸び率

+1.0%

+0.8%

来院日数の伸びは小幅。予約枠、キャンセル、メンテナンス継続率を分けて確認する。

1日当たり医療費の伸び率

+3.2%

+3.2%

単価の伸びは同水準。改定後の点数、処置、管理、検査の構成を確認する。

制度別では高齢者と被用者保険の動きが違う

制度別の伸び率は、被用者保険が+5.0%、国民健康保険が-0.5%、後期高齢者医療制度が+6.1%、公費が+3.3%でした。高齢患者が多い医院、現役世代の予防・補綴が多い医院、国保比率が高い地域の医院では、全国平均との比較だけでなく、保険種別ごとの自院構成も見る必要があります。

診療内容別の歯科医療費は医院KPIに置き換える

診療内容別の数字は、医院の月次会議で最も使いやすい部分です。厚労省資料では、歯冠修復及び欠損補綴、処置、医学管理、検査・病理診断、初診などの伸び率が示されています。自院では、これを「どの診療が増えたか」ではなく「どの業務が増え、誰の体制に影響したか」に置き換えます。

医学管理、在宅、検査はスタッフ体制と一緒に見る

令和7年度の診療内容別では、医学管理が+6.0%、在宅が+6.5%、検査・病理診断が+6.4%でした。これらは、診療時間そのものだけでなく、説明、記録、予約調整、訪問準備、算定前確認に関係します。自院で同じ方向に増えている場合は、院長だけでなく歯科衛生士、受付、請求担当の作業量も確認してください。

補綴と初診は単純な増減だけで判断しない

歯冠修復及び欠損補綴は+1.8%、初診は-0.6%でした。補綴は歯科用貴金属やCAD/CAM、患者説明、技工連携の影響を受けやすく、初診は集患だけでなく再初診、紹介、急患、地域人口の影響も受けます。全国値より低い場合でも、すぐに広告やメニューの問題と決めつけず、患者層、治療完了率、メンテナンス移行率を分けて見ます。

疾病分類と年齢階級から患者層を確認する

疾病分類と年齢階級は、医院の診療方針そのものを変える資料ではありません。ただし、歯周病管理、う蝕、補綴、超高齢患者の受診動向を院内で説明するときの根拠になります。

歯周炎等、歯肉炎、う蝕の伸びを比較する

歯科疾病分類別では、歯周炎等が+4.5%、歯肉炎が+5.2%、う蝕が+2.4%、補綴関係が-0.9%、根尖性歯周炎等が-0.2%でした。予防・歯周治療を重視する医院では、歯周基本治療、SPT、P重防、メンテナンス継続の患者数を、全国の疾病分類の動きと照らして確認できます。

100歳以上と70歳以上75歳未満の差を見る

年齢階級別では、100歳以上の伸び率が+13.7%と最も大きく、70歳以上75歳未満が-1.6%と最も小さいとされています。訪問歯科、高齢患者の口腔管理、通院困難者対応を行う医院では、後期高齢者だけを一括りにせず、年齢層ごとの予約、家族・介護者連絡、医科・介護連携の負荷を見ます。

院内で使う歯科医療費チェックリスト

  • 月次の保険収入を、延来院日数、件数、1日当たり点数に分ける。
  • 保険種別ごとに、被用者保険、国保、後期高齢者、公費の構成比を確認する。
  • 診療内容別に、医学管理、在宅、処置、検査、補綴、初診の増減を出す。
  • 歯周病関連、う蝕、補綴、根尖性歯周炎など主要分類に近い自院の診療項目を確認する。
  • 歯科用貴金属を使う補綴は、材料費、技工連携、患者説明、見積説明の更新要否を見る。
  • 全国値との差が大きい項目は、診療方針の問題と決める前に、地域、患者層、予約枠、休診日、レセコン集計条件を確認する。

このチェックリストは、全国統計を自院の経営判断に直結させるための入口です。数字の差があっても、それだけで良し悪しは決まりません。重要なのは、全国値との差を「患者層」「診療内容」「運用負荷」「材料費」のどこで説明できるかです。

月次会議では3つの表に分ける

院内では、1枚の売上表にすべてを入れるより、患者数・日数の表、診療内容別の表、材料・補綴の表に分ける方が判断しやすくなります。特に医学管理や在宅が増えている医院では、診療報酬の数字だけでなく、説明時間、記録時間、訪問準備時間も合わせて見ます。

歯科用貴金属と補綴の数字は材料費と一緒に見る

歯科用貴金属は、医院経営では患者説明と原価管理に関係します。令和7年度の資料では、歯科用貴金属医療費のうち、歯科鋳造用金銀パラジウム合金(金12%以上JIS適合品)の伸び率が+10.1%と示されています。補綴関係全体が-0.9%であることと合わせて、補綴の件数、材料選択、説明負荷を分けて確認する必要があります。

補綴売上だけでなく説明と見積の負荷を見る

補綴の医療費が横ばいまたは低下していても、歯科用貴金属の項目が伸びていれば、材料費や患者説明の負荷は別に増えている可能性があります。資料だけから個別医院の原価率は断定できませんが、金属補綴、CAD/CAM、保険外補綴の説明資料を更新するタイミングとして使えます。

注意点と次に確認すべき資料

今回の資料は統計であり、診療報酬改定の通知、疑義解釈、施設基準の届出案内ではありません。医院で使うときは、算定可否や届出要否の根拠にせず、月次実績を読むための比較資料として扱います。

算定判断は通知や疑義解釈で確認する

医学管理や在宅、検査の伸びが示されていても、それは「算定できる範囲が広がった」という意味ではありません。個別項目の算定可否、記録、施設基準、届出は、令和8年度診療報酬改定の告示・通知、疑義解釈、地方厚生局の案内で確認する必要があります。

次回は月次版と年次版の差を見る

厚労省は同日、令和7年度3月号の最近の歯科医療費(電算処理分)の動向も掲載しています。年度集計だけでは見えない季節性や月末の動きは月次版で確認できます。医院では、2026年4月以降の自院実績が令和7年度末の全国傾向からどう変わったかを、次の月次資料と合わせて見るのが実務的です。

FAQ

Q. この資料で自院の算定を変える必要がありますか。

A. いいえ。今回の資料は統計資料であり、算定要件や届出要件を変更する通知ではありません。算定判断は告示、通知、疑義解釈、地方厚生局の案内で確認してください。

Q. 自院の保険収入が+4.0%未満なら問題ですか。

A. それだけでは判断できません。地域、休診日、患者層、診療内容、保険種別、初診・再診の構成が違うため、全国値との差は分解して確認します。

Q. 歯科用貴金属の伸びは患者説明に関係しますか。

A. 関係します。ただし資料から個別医院の原価や負担増を直接断定することはできません。金属補綴の選択肢、保険内外の違い、見積説明の更新確認に使うのが現実的です。

出典

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Selectdays カスタマーサクセス担当

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