社会医療診療行為別統計、歯科の点数確認点
厚生労働省は2026年6月26日、令和7(2025)年社会医療診療行為別統計の結果を公表しました。歯科では、1件当たり点数が1,326.9点、1日当たり点数が863.1点となり、いずれも前年を上回りました。一方で、1件当たり日数は1.54日で前年より短くなっています。
この統計は、医院ごとの売上をそのまま示すものではありません。全国の令和7(2025)年8月審査分レセプトを基にした公的統計です。歯科医院では、自院のレセプト構成、補綴・処置・医学管理等の比率、後期高齢者の在宅・補綴ニーズを見直す材料として使うのが現実的です。
3行要約
- 歯科の1件当たり点数は1,326.9点、1日当たり点数は863.1点で、いずれも前年を上回りました。
- 1日当たり点数の構成は、歯冠修復及び欠損補綴、処置、医学管理等が上位です。
- 後期医療では在宅医療と補綴の比重が高く、高齢患者や訪問歯科の体制確認に使える統計です。
歯科の主要数字は何を示しているか
今回の歯科統計でまず見るべき数字は、1件当たり点数、1日当たり点数、1件当たり日数の3つです。点数が上がったかどうかだけでなく、通院日数や診療行為の構成と一緒に読む必要があります。
1件当たり点数と1日当たり点数は前年より増加
令和7(2025)年の歯科は、1件当たり点数が1,326.9点で前年より0.8%増、1日当たり点数が863.1点で前年より3.3%増でした。1日当たり点数の伸びの方が大きいため、1回の診療日に含まれる診療内容や点数構成を確認する入口になります。
1件当たり日数は短くなっている
1件当たり日数は1.54日で、前年の1.57日から0.04日減少しました。点数が増えているからといって、単純に通院回数が増えたとは読めません。自院では、治療完了までの回数、予約枠の長さ、初診から補綴完了までの流れを院内データで見比べる必要があります。
診療行為別では補綴・処置・医学管理等が中心
1日当たり点数の構成割合を見ると、歯冠修復及び欠損補綴、処置、医学管理等が上位です。歯科医院の現場では、この3領域がレセプト構成と診療時間の両方に影響します。
歯冠修復及び欠損補綴は構成割合29.2%
歯冠修復及び欠損補綴は、1日当たり252.1点で構成割合29.2%と最も高い項目です。クラウン、ブリッジ、有床義歯などの補綴診療は、技工連携、説明、試適、セット後の調整まで含めて運用負荷が出やすい領域です。
処置と医学管理等も確認対象になる
処置は1日当たり183.0点で構成割合21.2%、医学管理等は129.9点で15.1%でした。処置が多い医院では歯周治療や根管治療の予約設計、医学管理等が多い医院では説明内容、文書、カルテ記載、継続管理の流れを確認したいところです。
後期医療では在宅医療と補綴の比重が高い
一般医療と後期医療を比べると、後期医療では在宅医療と歯冠修復及び欠損補綴の比重が高いことが示されています。高齢患者が多い医院では、外来だけでなく訪問歯科や義歯管理の体制確認につながります。
後期医療の1件当たり点数は1,465.2点
歯科の1件当たり点数は、一般医療が1,289.3点、後期医療が1,465.2点でした。1日当たり点数は一般医療862.8点、後期医療864.3点で大きく離れていませんが、1件当たり日数は一般医療1.49日、後期医療1.70日です。後期高齢者では、治療期間や来院・訪問の調整を含めて運用を見る必要があります。
在宅医療は後期医療で差が大きい
1日当たり点数で見ると、在宅医療は一般医療5.9点に対し、後期医療108.6点です。後期高齢者の患者が多い医院では、訪問診療の受け入れ可否、居宅・施設との連絡、口腔機能管理、義歯調整の記録を点検する価値があります。
医院での使い方は自院データとの比較
全国統計は、自院の良し悪しを直接判定する資料ではありません。使い方は、全国値を基準にして、自院の患者層や診療内容に偏りがないかを確認することです。
レセプト構成を3領域で棚卸しする
まず、直近数か月のレセプトを、補綴、処置、医学管理等、検査、画像診断、在宅医療に分けて見ます。全国統計との差だけで判断せず、医院の専門性、地域の高齢化、訪問歯科の有無、メンテナンス比率と合わせて確認します。
令和5年以前との比較には注意する
厚生労働省の概況では、令和6年度診療報酬改定から改定施行月が従来の4月から6月になったため、集計対象月が令和5年以前の6月審査分から8月審査分に変更されたと説明されています。長期推移を見る場合は、対象月の違いを踏まえて読みます。
FAQ
今回の統計で歯科医院の報酬が変わりますか
いいえ。これは制度改定や点数変更の通知ではなく、令和7(2025)年8月審査分のレセプトを集計した統計です。患者負担や算定要件がこの公表だけで変わるわけではありません。
1日当たり点数が増えたら自院も増収と考えてよいですか
一律には言えません。全国の集計値であり、自院の患者層、診療内容、予約設計、訪問歯科の有無で結果は変わります。自院のレセプト構成と照合して初めて意味が出ます。
後期医療の数字は何を確認する材料になりますか
後期医療では在宅医療や歯冠修復及び欠損補綴の比重が高いと示されています。高齢患者が多い医院では、訪問対応、義歯管理、口腔機能管理、家族・施設との連絡体制を確認する材料になります。
出典
- 厚生労働省「令和7(2025)年社会医療診療行為別統計の概況」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/sinryo/tyosa25/
- 厚生労働省「報道発表資料 令和7(2025)年社会医療診療行為別統計の結果を公表します」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/sinryo/tyosa25/dl/houdou.pdf
- 厚生労働省「概況全体版」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/sinryo/tyosa25/dl/gaikyou2026.pdf
- e-Stat「社会医療診療行為別統計」 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?tstat=000001029602
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