
医療機器製品データベース、歯科医院の在庫確認点
厚生労働省は2026年8月18日、新着情報に「医薬品・医療機器等製品データベース」を掲載しました。医薬品や医療機器などの製品情報と、容器・包装のバーコードから取得できる商品コードを結び付ける仕組みで、医療安全、入荷検品、在庫管理、回収対応の効率化につながる基盤として説明されています。
歯科医院では、歯科用セメント、滅菌材料、医療機器、体外診断用医薬品、院外へ持ち出す機器など、商品名だけでは追跡しにくい物品が多くあります。ただし、厚労省ページは登録範囲、登録方法、運用開始時期を「決まり次第」知らせるとしており、現時点で医院側に新しい入力義務が始まったわけではありません。
この記事では、医療機器製品データベースを歯科医院の実務に引き寄せ、今から確認しておきたい在庫台帳、ロット番号、使用期限、PMDA電子添文の見方を整理します。
3行要約
- 厚労省は2026年8月18日、医薬品・医療機器等製品データベースのページを新着掲載しました。
- 歯科医院では、材料・医療機器の入荷検品、在庫管理、回収対応の準備として関係します。
- 運用開始時期は未定のため、まず商品コード、使用期限、ロット・シリアル番号を院内で追えるか確認します。
医療機器製品データベースで何が変わるのか
今回のポイントは、個別製品を正確に特定する情報を、医療機関、薬局、販売業者、製造販売業者などが共通して活用しやすくする方向が示されたことです。厚労省は、製品名、商品コード、有効期限、製造番号・製造記号などを必要時に正確に確認できる必要があると説明しています。
商品コードと製造識別子を分けて見る
2022年9月13日の医療機器等バーコード表示通知では、商品コードはGTINなどの固定的な識別情報、製造識別子は使用期限、ロット番号、シリアル番号、医療機器プログラムのバージョン番号などの可変情報として整理されています。医院の在庫台帳でも、この2つを混ぜずに持つと、後から対象製品を探しやすくなります。
歯科材料にも関係する理由
同日のQ&Aには、粉末と液体から成る歯科用セメントの包装単位に関する例が出ています。これは歯科医院が日常的に扱う材料でも、個装、販売包装、使用期限、ロット番号の確認が実務上の論点になることを示しています。
歯科医院が対象として見るべき物品
医療機器製品データベースは、現時点では歯科医院に限定した制度ではありません。ただし、歯科医院には歯科設備、滅菌関連機器、X線装置、CAD/CAM関連機器、印象採得関連機器、歯科材料など、製品特定が重要になる物品があります。
まずは販売包装で入る材料から確認する
医院で最初に見直しやすいのは、卸から販売包装で入荷する材料です。商品名、メーカー名、規格、使用期限、ロット番号を納品書や包装から転記しているか、回収情報が出た時に院内在庫を検索できるかを確認します。
医療機器は添付文書の確認導線もそろえる
PMDAは、外箱のバーコードを読み取って電子化された添付文書を閲覧する導線を案内しています。機器の導入時や更新時には、添付文書をPDFで保存するだけでなく、PMDAの医療機器添付文書検索や電子添文の確認方法を院内ルールに入れておくと、最新版確認の抜けを減らせます。
現時点で決まっていること、まだ未定のこと
重要なのは、今回のページを「歯科医院のバーコード管理が今日から義務化された」と読まないことです。厚労省は、PMDAでデータベース構築を進める方針を示していますが、具体的な登録範囲、登録方法、運用開始時期は今後の案内事項です。
決まっていること
製品情報と商品コードを結び付ける公的データベースの構築を進めること、医療安全、入荷検品、在庫管理、回収対応、物流DXに役立てる方向性は示されています。2022年通知では、医療機器、体外診断用医薬品、専ら医療機関で医療用に繰り返し使われる消耗材料も対象に含まれています。
まだ未定のこと
医院側がどの画面で検索するのか、どの情報項目が公開されるのか、院内システムと連携できるのか、医療機関に新しい記録義務が課されるのかは、今回ページだけでは断定できません。記事では準備事項に限定して扱います。
院内で確認するチェックリスト
- 材料・機器の在庫台帳に、商品名だけでなくメーカー名、規格、使用期限、ロット番号、シリアル番号を入れられるか確認する。
- 納品時に販売包装のバーコード、使用期限、ロット番号を誰が確認するか決める。
- 回収情報が出た場合に、対象ロットを院内在庫、使用履歴、患者カルテから探せるか確認する。
- PMDAの医療機器添付文書検索や電子添文の確認方法を、医療機器安全管理責任者と共有する。
- 訪問歯科や院外持出機器について、持出先、戻り日、点検日、製造番号を追えるか確認する。
チェックリストは、すべてを一度に電子化するためのものではありません。まずは回収時に困りやすい材料、使用期限がある材料、高額機器、院外へ持ち出す機器から始めるのが現実的です。
担当者ごとの分担
院長は対象物品の範囲を決め、医療機器安全管理責任者は機器台帳と添付文書確認、事務長または材料担当は納品書と在庫台帳の運用を見ます。レセコンやカルテに連携させる前に、紙台帳や表計算でも検索できる項目をそろえることが先です。
前回までの関連テーマとの違い
過去に扱った歯科技工録のトレーサビリティは、技工指示書、材料、工程、納品確認を中心にした話でした。今回の医療機器製品データベースは、技工委託ではなく、医院内で購入・保管・使用する医療機器や材料を製品単位で特定する話です。
PMDA不具合報告との違い
PMDA不具合報告は、疑われる不具合をどのように報告・確認するかが中心です。今回の記事では、その前段階として、どの製品のどのロットかを院内で特定できる状態にすることを扱います。回収や不具合の情報が出た時に、対象物を探せないと初動が遅れます。
次に見るべき資料
今後は、PMDA側で製品データベースの構築案内、検索画面、登録項目、運用開始時期が公表されるかを確認します。厚労省ページは「決まり次第お知らせ」としているため、医院側では正式運用前に院内台帳の項目をそろえておくのが実務的です。
院内共有文例
院内では「医薬品・医療機器等製品データベースの運用開始日は未定です。先に、材料・機器の在庫台帳で使用期限、ロット番号、シリアル番号を追えるか確認してください」と共有すると、義務化の誤解を避けながら準備を進められます。
FAQ
医療機器製品データベースは、もう歯科医院が使えるのですか。
厚労省ページでは、PMDAで構築を進め、登録範囲、登録方法、運用開始時期などは決まり次第知らせるとされています。現時点では、医院側の具体的な利用手順は今後確認が必要です。
歯科医院はバーコードリーダーをすぐ買うべきですか。
今回資料だけで、すぐ購入が必要とは断定できません。先に在庫台帳の項目、納品時の確認担当、回収時の検索方法を確認し、正式な運用仕様が出てから機器やシステム対応を判断するのが現実的です。
歯科用セメントも関係しますか。
2022年9月13日のQ&Aには、粉末と液体から成る歯科用セメントの包装単位に関する例があります。すべての歯科材料を同じ扱いにするとは限りませんが、包装単位、使用期限、ロット番号の確認は歯科材料でも重要です。
出典
[1] 厚生労働省「新着情報」2026年8月18日掲載
該当箇所: 2026年8月18日掲載「医薬品・医療機器等製品データベース」
[2] 厚生労働省「医薬品・医療機器等製品データベース」2026年8月18日新着掲載
該当箇所: データベースの目的、これまでの経緯と今後の予定、関連情報
[3] 厚生労働省「医療機器、体外診断用医薬品等を特定するための符号の容器への表示等について」2022年9月13日
該当箇所: 対象、用語の定義、表示データ、適用時期、データベース登録
[4] 厚生労働省「医療機器、体外診断用医薬品等を特定するための符号の容器への表示等に関する質疑応答集(Q&A)について」2022年9月13日
該当箇所: Q3 歯科用セメントの包装単位例
[5] PMDA「添付文書の電子化について」2026年8月19日確認
該当箇所: 外箱バーコードから電子添文を閲覧する導線、医療機器添付文書検索
[6] e-Stat「医療施設調査 令和5年医療施設(静態・動態)調査 第186表 歯科診療所数、開設者・歯科設備別」2025年3月13日
該当箇所: 歯科設備保有の背景
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