歯科医師の偏在対策はどう変わる?2026年3月報告案で医院が見るべき論点
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歯科医師の偏在対策はどう変わる?2026年3月報告案で医院が見るべき論点

Selectdays CS担当者

2026年3月19日、厚生労働省は「歯科医師の適切な配置等に関するワーキンググループ」の報告書案を公表しました。今回の資料で重要なのは、単に歯科医師が多い地域と少ない地域を話題にしたことではありません。診療所歯科医師偏在指標を初めて公表し、地域偏在だけでなく在宅歯科医療や病院歯科、公衆衛生などの業務偏在も含めて、今後どのように歯科医師の配置を考えるかの土台を示した点にあります。

ただし、2026年4月5日時点で新しい開業規制や義務が始まるわけではありません。現段階は、厚労省が今後の検討会で「歯科医師少数地域・過多地域」をどう整理するか、その基準づくりに進む前段です。歯科医院の院長や事務長が今見るべきなのは、今すぐ禁止や義務が増えるかではなく、開業、承継、訪問歯科、人材配置の判断軸がどう変わりそうかです。

2026年3月の歯科医師偏在対策で何が示されたか

今回の報告案は、歯科の偏在対策がようやく具体的な指標を伴う段階に入ったことを示しています。歯科では以前から都市部への集中や地方部での担い手不足が指摘されてきましたが、公式資料として二次医療圏ごとの診療所歯科医師偏在指標をまとめ、次の制度議論につなげる整理が出た意義は大きいといえます。

診療所歯科医師偏在指標が初めて公表された

報告書案では、診療所歯科医師偏在指標を用いた二次医療圏別の結果が示されました。資料上、平均は58.169で、最も高い区中央部(東京都)は265.5、最も低い下北地域(青森県)は28.0となっており、最大値と最小値の比は約9.5倍です。これにより、単純な都道府県単位では見えにくかった地域差を、より細かい単位で把握する方向が明確になりました。

ここで重要なのは、今回の数値がそのまま開業可否の線引きになると書かれているわけではないことです。厚労省は、まず偏在の実態を可視化した上で、今後の検討会で補完的な指標や地域事情を組み合わせて整理するとしています。

地域偏在だけでなく業務偏在も論点に入った

報告案では、地域偏在だけを問題にしていません。在宅歯科医療、病院歯科、公衆衛生、へき地など、必要な領域に歯科医師が十分配置されていない業務偏在にも留意が必要だと整理しています。つまり、都市部で歯科医師数が多く見える地域でも、訪問歯科や病院歯科の担い手が足りているとは限らないという視点です。

歯科医院の経営では、外来中心の競争環境だけを見ていると、この論点を見落としやすくなります。今後の政策は、単なる開業数の議論ではなく、地域でどの機能を担うかまで含めて整理される可能性があります。

なぜ今この議論が進んでいるのか

今回の報告案だけを見ると突然の新論点に見えますが、流れ自体は2024年から続いています。2024年5月27日の「歯科医療提供体制等に関する検討会 中間とりまとめ」では、人口減少や高齢化、在宅需要の増加、歯科医療機関の役割分化を踏まえ、歯科保健医療提供体制を見直す必要性が整理されていました。

2024年は方向性整理、2026年は指標化の段階に進んだ

2024年の中間とりまとめは、提供体制の再構築や地域連携の必要性を示すものでした。一方、2026年3月の報告案では、診療所歯科医師偏在指標が具体的に示され、議論が「課題の共有」から「どう測るか」へ進んだといえます。

この違いは実務上も重要です。課題共有の段階では、医院ごとに感覚的に商圏を読む余地が大きくありました。しかし指標化が進むと、自治体や国の支援策、将来の配置施策は数値根拠を伴って設計されやすくなります。

高齢化した地域では診療所減少リスクも論点になっている

報告案は、歯科医師の年齢が高齢化している地域で、今後新規参入がなければ診療所の減少がさらに進む可能性に留意が必要だとしています。これは、現在の歯科医師数だけで将来の提供体制を評価できないという意味です。

承継案件が増えやすい地域や、院長の高齢化が進む地域では、表面的には医院数が維持されていても、数年単位で受け皿が急に弱くなることがあります。今回の整理は、その将来リスクを政策側も意識し始めたと読むのが自然です。

歯科医院は何を見直すべきか

今回の報告案を受けて、歯科医院が今すぐ制度対応書類を作る必要はありません。ただし、経営判断の見方は修正した方がよい段階に入っています。開業、承継、訪問歯科、人材採用の考え方を、人口比だけでなく地域機能の不足という視点でも見直す必要があります。

新規開設や承継の判断は「地域の空白機能」を見る

これから開業や分院展開を考える場合、単に人口当たり歯科医院数だけを見るのでは不十分です。訪問歯科の供給、病院歯科との連携、公衆衛生活動の担い手、院長年齢層、承継待ち案件の有無まで含めて見る方が、今回の政策議論に合っています。

例えば都市部でも、外来一般歯科は競争が激しくても、高齢者施設との連携や訪問歯科の受け皿が足りない地域はあります。逆に地方部では、外来需要は大きくなくても、承継支援が入れば診療圏を維持しやすいケースもあります。今後の政策は、こうした空白機能に資源を寄せる方向と相性がよいはずです。

訪問歯科や地域連携を担う体制づくりが重要になる

報告案が業務偏在に触れている以上、今後の支援策や評価の議論では、訪問歯科や地域連携の体制を持つ医院が注目されやすくなります。外来中心の医院でも、在宅療養支援歯科診療所、地域包括支援センター、病院歯科との連携をどこまで作れるかは、経営上の差になり得ます。

現場では、訪問診療をすぐ拡大するかどうかより、まず「紹介を受けた時に対応できる範囲」「外来から在宅へつなぐ動線」「連携先リスト」があるかを確認するのが現実的です。今後制度が具体化した時も、この基盤がある医院の方が動きやすくなります。

何がまだ決まっていないのか

政策議論が進むと、現場では「都市部ではもう開業できなくなるのか」「地方に勤務誘導が始まるのか」といった不安が出やすくなります。しかし、今回の資料だけでそこまで断定するのは早すぎます。未確定事項を切り分けて読むことが重要です。

少数地域・過多地域の正式定義はこれから

報告案は、診療所歯科医師偏在指標をベースにしつつ、AIRの基準を含む補完的指標、歯科医師の年齢構成などを踏まえて、今後「歯科医師の過多地域・少数地域の考え方」を整理するとしています。つまり、公式な線引きはまだこれからです。

そのため、2026年4月5日時点では「この地域は過多地域だから開業不可」のような結論は出ていません。現時点で必要なのは、地域の動向を継続的に確認し、自院の役割をどう説明できるかを準備しておくことです。

具体的な政策手段もまだ示されていない

現段階では、支援策が新規開設支援中心になるのか、承継支援、勤務医誘導、訪問歯科支援まで含むのかは確定していません。歯科は医科と同じ制度設計をそのまま当てはめにくいため、地域事情を踏まえた別設計になる可能性があります。

この点からも、医院は噂ベースで動くより、厚労省の検討会資料を追いながら、自院の診療機能や地域貢献を整理しておく方が合理的です。外来のみの競争論に閉じず、地域に不足している機能をどう補えるかを言語化しておくと、今後の変化に対応しやすくなります。

FAQ

今回の報告案で都市部の歯科開業はすぐ制限されますか

いいえ。2026年3月19日の報告案は、偏在指標を公表し、今後の検討方向を整理した段階です。少数地域・過多地域の正式定義や、具体的な政策手段はまだ決まっていません。

地方での開業や承継は追い風になりますか

可能性はありますが、現時点で一律に断定はできません。ただし、報告案は高齢化地域で新規参入がないと診療所減少が進む可能性に触れており、承継支援や地域機能維持の議論と結びつく余地はあります。

今のうちに医院ができる準備は何ですか

商圏分析を人口比だけで終えず、院長年齢、承継のしやすさ、訪問歯科の供給、病院歯科との連携、公衆衛生活動の担い手不足まで広げて把握することです。自院が地域で補える機能を整理しておくと、今後の制度変化にも対応しやすくなります。

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