業界情報

同一労働同一賃金改正、歯科医院の確認点

Selectdays CS担当者

厚生労働省は2026年7月15日の人事労務マガジン特集第246号で、「同一労働同一賃金」に関する改正省令・告示の周知を掲載しました。歯科医院がまず押さえたいのは、令和8年改正により、パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れる際の労働条件明示事項や、待遇差の説明方法、手当・賞与・休暇などの点検範囲が具体化される点です。

施行・適用は2026年10月1日です。非常勤の歯科衛生士、歯科助手、受付、滅菌・清掃担当、契約職員を雇っている医院では、最低賃金の確認だけでなく、正社員との待遇差を説明できる資料、労働条件通知書、手当・賞与・休暇の支給基準を早めに見直す必要があります。

この記事では、厚生労働省とe-Govの一次情報を基に、歯科医院の院長・事務長・労務担当が2026年10月1日までに確認したい実務を整理します。

3行要約

  • 同一労働同一賃金の施行規則・告示が改正され、2026年10月1日から施行・適用されます。
  • 歯科医院では、非常勤・有期の歯科衛生士、歯科助手、受付、滅菌担当の労働条件通知書と待遇差説明が確認対象になります。
  • 今すぐの対応は、雇用形態別の職務、手当、賞与、休暇、福利厚生、正社員転換ルートを一覧化することです。

今回の同一労働同一賃金改正で変わること

今回の改正は、歯科医院に新しい診療報酬や施設基準を追加するものではありません。雇用形態にかかわらない公正な待遇を進めるため、パートタイム・有期雇用労働者への説明と待遇点検をより具体的に求める労務管理上の改正です。

2026年10月1日から施行・適用される

厚生労働省の同一労働同一賃金特集ページでは、パートタイム・有期雇用労働者の待遇改善を進めるため、同一労働同一賃金に関する施行規則と告示が改正され、2026年10月1日に施行・適用されると説明されています。

主な改正事項は、雇い入れ時の労働条件明示事項の追加、同一労働同一賃金ガイドラインの改正、雇用管理の改善等に関する措置内容の改正です。歯科医院では、採用時、契約更新時、待遇差の説明を求められた時の資料を分けて準備します。

歯科医院では非常勤・有期職員が中心になる

パートタイム・有期雇用労働法の対象は、名称ではなく働き方で判断します。パート、アルバイト、嘱託、契約社員、臨時職員、準社員などの呼び方にかかわらず、通常の労働者より所定労働時間が短い職員や、期間の定めのある労働契約を結ぶ職員は確認対象です。

歯科医院では、非常勤の歯科衛生士、夕方だけの受付、滅菌・清掃の短時間スタッフ、試用期間後に有期契約を更新している歯科助手などが該当しやすい職員です。常勤・非常勤の呼び方だけで判断せず、労働時間と契約期間を確認します。

労働条件通知書で追加される明示事項

2026年10月1日以降にパートタイム・有期雇用労働者を雇い入れる場合、労働条件通知書で、待遇の相違の内容・理由等について説明を求めることができる旨を明示する必要があります。

説明を求められる旨を採用時に書く

厚生労働省のリーフレットでは、現行の明示事項である昇給、退職手当、賞与、相談窓口に加え、新たに「待遇の相違等に関する説明を求めることができる旨」が加わると示されています。違反した場合は10万円以下の過料の対象になる旨も示されています。

歯科医院では、採用時に使っている労働条件通知書、雇用契約書、求人媒体から自動生成される契約書、紹介会社経由の書式を確認してください。院内の古いWordファイルだけでなく、クラウド労務ソフトや社労士事務所のテンプレートも差し替え対象です。

説明窓口を院内で決める

通知書に書くだけでは運用が止まります。説明を求める窓口として、院長、事務長、労務担当、外部社労士のどこが一次対応するかを決めておく必要があります。

受付で質問を受けた職員がその場で判断しないよう、院内では「待遇差に関する説明は労務担当へつなぐ」と共有します。回答前に、正社員との職務内容、責任範囲、配置変更の有無、勤務時間、契約更新の状況を確認できるようにしておくと、説明のブレを減らせます。

手当・賞与・休暇の待遇差を点検する

今回の改正では、ガイドラインに追加された待遇項目も重要です。歯科医院では、基本給だけでなく、賞与、退職手当、家族手当、住宅手当、夏季冬季休暇、病気休職、福利厚生の扱いまで確認します。

正社員だけの手当は目的から説明できるか

厚生労働省のリーフレットは、賞与・退職手当の目的には、労務の対価の後払い、功労報償など複数の目的が含まれると説明しています。その目的がパートタイム・有期雇用労働者にも当てはまる場合、正社員との働き方や役割の違いに応じた均衡のとれた内容になっているか確認が必要です。

歯科医院では、資格手当、皆勤手当、役職手当、土曜出勤手当、訪問診療同行手当、院内研修手当なども整理対象になります。手当名だけで判断せず、その手当が何の目的で、誰のどの職務に対して支給されるのかを書き出します。

休暇と福利厚生も対象から外さない

リーフレットでは、夏季冬季休暇、病気休職期間に係る給与保障、褒賞、福利厚生施設についても、待遇差の点検対象として示されています。小規模な歯科医院では福利厚生施設がない場合もありますが、休憩室、更衣室、駐車場、制服貸与、研修費補助、健康診断補助など、院内で実際に差が出やすい項目を確認します。

正社員には研修費を全額補助するが非常勤には補助しない、正社員だけ駐車場を使える、短時間職員には夏季休暇を付けない、といった運用がある場合は、その理由を職務内容や勤務実態から説明できるかを確認します。

待遇差の説明方法を準備する

改正Q&Aでは、待遇差の内容等を説明する際、資料を活用して口頭で説明する方法、または説明事項を全て記載した分かりやすい資料を交付する方法が示されています。歯科医院では、口頭説明だけに頼らず、職員別に確認できる資料を作る方が安全です。

説明資料は職務と待遇を並べて作る

説明資料は、法令文をそのまま貼るより、院内の実態が分かる表にします。職種、雇用形態、職務内容、責任の程度、配置変更の範囲、支給している手当、賞与、休暇、福利厚生、正社員転換の機会を横並びにすると、説明しやすくなります。

例えば、常勤歯科衛生士と週2日の非常勤歯科衛生士で、メンテナンス業務は同じでも、院内管理、後輩指導、訪問診療の責任、シフト変更の範囲が違う場合があります。差があるなら、その差と待遇の関係を具体的に説明できるようにしておきます。

説明を求めた職員への不利益取扱いは禁止される

パートタイム・有期雇用労働法では、短時間・有期雇用労働者が待遇差の内容や理由について説明を求めることができ、事業主は説明しなければならないとされています。また、説明を求めたことを理由に不利益な取扱いをしてはいけません。

歯科医院では、質問した職員をシフトから外す、契約更新に不利に扱う、職場内で問題視する、と受け取られる運用を避ける必要があります。説明対応の記録は、質問日時、回答者、渡した資料、回答要旨を短く残す形が現実的です。

歯科医院向けの院内チェックリスト

  • 非常勤、有期、短時間、契約更新中の職員を職種別に一覧化する。
  • 2026年10月1日以降に使う労働条件通知書へ、待遇差説明を求められる旨を入れる。
  • 正社員と非常勤・有期職員の職務内容、責任、配置変更の範囲を表にする。
  • 賞与、退職手当、資格手当、皆勤手当、住宅手当、研修費補助、休暇、駐車場などの扱いを点検する。
  • 待遇差の説明を求められた時の窓口、回答期限、説明資料、記録方法を決める。
  • 正社員転換を希望する職員への面談や情報提供の方法を確認する。

職種別に見たい確認表

職種・働き方

確認する待遇

歯科医院での注意点

非常勤歯科衛生士

時給、資格手当、賞与、研修費、訪問同行手当

業務内容が常勤と近い場合、責任範囲や配置変更の違いを説明できるようにする

歯科助手・受付

基本給、皆勤手当、賞与、夏季冬季休暇

正社員だけに出している手当や休暇の目的を確認する

滅菌・清掃担当

時給、休憩室、更衣室、駐車場、制服

短時間でも福利厚生の利用条件に不合理な差がないかを見る

契約更新中の有期職員

病気休職、褒賞、退職手当、正社員転換

継続勤務が見込まれる場合の待遇差説明を用意する

正社員転換と相談体制も見直す

改正Q&Aでは、正社員転換推進措置を講ずるに当たり、通常の労働者への転換制度を設けるとともに複数の措置を講ずることが望ましいこと、面談やメール等によりパートタイム・有期雇用労働者の意向を確認し、意向に配慮する旨が追加されています。

非常勤から常勤への道筋を見える化する

歯科医院では、育児や介護で短時間勤務を選んでいる歯科衛生士が、将来常勤へ戻りたい場合があります。制度として常勤転換の申出方法、必要な勤務日数、担当業務、評価面談、試用期間の有無を整理しておくと、説明しやすくなります。

「人手が足りたら考える」だけでは、正社員転換の機会が見えません。常勤募集時に非常勤職員へ案内する、年1回面談で意向確認する、院内チャットやメールで募集情報を共有するなど、医院規模に合う方法を決めます。

外部相談先を院内で把握する

厚生労働省は、働き方改革推進支援センター、キャリアアップ助成金、職務分析・職務評価の導入支援なども案内しています。歯科医院がすぐ助成金を使えるとは限りませんが、就業規則や賃金体系の見直しに迷う場合の相談先として確認しておく価値があります。

特に、複数医院を運営する法人や、非常勤歯科衛生士が多い医院では、院内判断だけで進めず、社労士や公的相談窓口と照合しながら進める方が安全です。

注意点と次に見る資料

今回の改正は、すべての待遇を正社員と同一にしなければならないという意味ではありません。一方で、「正社員確保のため」「昔からそうしている」という理由だけで、待遇差が当然に認められるわけでもありません。

同一かどうかではなく不合理な差かを見る

Q&Aでは、職務内容等が異なる場合でも、その違いを考慮して均衡のとれた待遇にすることが求められると説明されています。また、正社員人材の確保や定着を図る目的があることだけで、待遇差が直ちに不合理ではないと当然に認められるものではないとされています。

歯科医院では、待遇差をなくすことだけを目標にするのではなく、各待遇の目的、職務内容、責任、配置変更、勤務実態を基に説明できる状態を作ることが重要です。

次に確認する一次情報

次に確認したいのは、厚生労働省の同一労働同一賃金特集ページ、改正対応のモデル労働条件通知書、同一労働同一賃金ガイドライン新旧対照表、改正Q&A、都道府県労働局や働き方改革推進支援センターの案内です。2026年10月1日の施行・適用までに、院内書式と説明資料を更新してください。

FAQ

歯科医院でも同一労働同一賃金改正の対象になりますか

対象になります。医院の規模や業種ではなく、パートタイム労働者や有期雇用労働者を雇用しているかが確認の入口です。非常勤歯科衛生士、歯科助手、受付、契約職員がいる医院は確認してください。

非常勤にも正社員と同じ賞与を必ず出す必要がありますか

この記事だけで一律には断定できません。賞与の目的、職務内容、責任、配置変更の範囲、勤務実態などを踏まえて、不合理な待遇差になっていないかを確認します。必要に応じて社労士や公的相談窓口へ確認してください。

2026年10月1日までに最初にやることは何ですか

まず、非常勤・有期職員を一覧化し、労働条件通知書の様式、正社員との待遇差、説明窓口、手当・賞与・休暇・福利厚生の支給基準を確認します。その後、改正対応のモデル労働条件通知書へ差し替えます。

出典

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Selectdays カスタマーサクセス担当

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