
後発医薬品の供給不足、歯科の除外計算は3月末まで
厚生労働省は2026年9月28日、後発医薬品の供給不足を踏まえた診療報酬上の臨時取扱いを示しました。歯科では、地域支援・医薬品供給対応体制加算と地域支援・外来医薬品供給対応体制加算の後発医薬品使用割合を計算するとき、通知の別添2に該当する医薬品を算出対象から除外できます。2026年10月診療分から2027年3月31日までの取扱いです。
直接関係するのは、院内で医薬品を調剤し、これらの加算を届け出ている、または算定を検討している歯科医院・病院です。院外処方だけで運用し、対象加算を算定していない一般的な歯科診療所に、新しい一律の届出や処方制限が加わったわけではありません。
この記事では、後発医薬品の歯科向け臨時取扱いについて、対象医院、除外計算、9月診療分までとの違い、区分変更時の届出を確認順に整理します。
3行要約
- 2026年10月診療分から2027年3月31日まで、対象加算の後発医薬品使用割合を計算する際に、別添2の医薬品を除外できる臨時取扱いが適用されます。
- 対象は、歯科の地域支援・医薬品供給対応体制加算または地域支援・外来医薬品供給対応体制加算に関係する保険医療機関です。
- 除外する場合は別添2の全品目を対象とし、月ごとに適用を判断したうえで、加算区分が変わる場合は変更届などを確認します。
後発医薬品の歯科向け臨時取扱いで変わったこと
今回の変更点は、供給停止品目の影響で後発医薬品の使用割合が下がる場合に備え、指定品目を割合計算から外せるようにしたことです。診療報酬点数そのものや、患者へ処方できる医薬品の範囲を変更する通知ではありません。
2026年10月診療分から2027年3月31日まで適用
通知は2026年9月28日付で、2026年10月診療・調剤分から適用されます。終期は2027年3月31日です。近畿厚生局は2026年10月6日に歯科を含む対象施設基準と適用期間を案内しています。
9月診療分までの判定には2026年3月5日付事務連絡の別添2を使い、10月診療分以降は今回の別添2へ切り替えます。計算対象月と参照する品目表を取り違えないことが重要です。
対象は歯科の2つの加算
歯科で対象となるのは、病院・有床診療所向けの「地域支援・医薬品供給対応体制加算」と、診療所向けの「地域支援・外来医薬品供給対応体制加算」です。2026年度改定で新設され、前者は入院初日、後者は1処方につき算定する評価です。
施設基準では、当該医療機関で調剤した後発医薬品のある先発医薬品と後発医薬品に占める、後発医薬品の規格単位数量の割合が使われます。加算1は90%以上、加算2は85%以上90%未満、加算3は75%以上85%未満が概要資料で示されています。
後発医薬品の除外計算で守る3つのルール
臨時取扱いは、医院が都合のよい品目だけを選んで割合を調整する仕組みではありません。別添2、適用月、3か月平均の扱いをセットで確認します。
一部だけでなく別添2の全品目を除外する
通知の取扱いを使う場合、別添2に示された医薬品と同一成分・同一剤形の医薬品を算出対象から除外できます。ただし、別添2の全品目を除外する必要があり、一部の成分や医院で使った品目だけを選んで除外することは認められていません。
別添2には、歯科で処方する可能性があるザルトプロフェンやロキシスロマイシンを含む多数の品目が掲載されています。これらだけを抜き出して除外するのではなく、通知の一覧全体を計算担当者またはレセコンベンダーと照合します。
月ごとに適用でき、3か月平均では混在も可能
臨時取扱いは1か月ごとに適用できます。施設基準で直近3か月の新指標割合の平均を使う場合、その3か月に臨時取扱いを使う月と使わない月が混在しても差し支えないとされています。
実務では、各月について「旧一覧」「新一覧」「臨時取扱いを適用したか」を記録し、3か月平均を再計算できる状態にしておくと安全です。単に最終割合だけを保存すると、届出確認や院内監査で計算根拠を追いにくくなります。
計算と届出は4段階で確認する
- 現在の加算区分と届出控えを確認する。
- 対象月の別添2を使い、全品目を除外した月別割合を計算する。
- 必要に応じて、適用月と非適用月を含む直近3か月平均を計算する。
- 計算後の区分を届出内容と照合し、変更等の届出要否を判断する。
この順番にすると、対象外の医院が不要な計算を始めたり、再計算後の届出確認を忘れたりするのを防ぎやすくなります。
9月診療分までとの違いを確認する
今回の通知は、臨時取扱いの考え方を初めて導入したものではなく、2026年9月30日までの取扱いを、品目表を更新して継続するものです。前回の計算表をそのまま10月以降へ流用しないようにします。
Before / Afterで見る変更点
確認項目 | 2026年9月診療分まで | 2026年10月診療分以降 |
|---|---|---|
参照通知 | 2026年3月5日付事務連絡 | 2026年9月28日付事務連絡 |
除外対象 | 3月通知の別添2 | 9月28日通知の別添2 |
終期 | 2026年9月30日 | 2027年3月31日 |
選択除外 | 不可 | 不可。全品目を除外 |
計算ロジックが同じでも、品目一覧は同じとは限りません。2026年9月分と10月分をまたぐ3か月平均では、各月に対応する通知を分けて管理します。
後発医薬品の臨時取扱いが歯科医院に与える影響
影響の大きさは、対象加算の届出状況と院内調剤の有無で異なります。まず自院が対象加算を算定しているかを確認し、該当する場合だけ割合の再計算へ進みます。
一般歯科診療所は外来加算の届出状況を確認する
無床の歯科診療所では、主に地域支援・外来医薬品供給対応体制加算が確認対象です。院外処方のみで、当該加算を届け出ていない医院は、今回の割合計算を新たに始める必要があるとは通知に書かれていません。
一方、院内調剤を行い加算を算定している医院は、2026年10月分から新しい別添2で計算した結果と、臨時取扱いを使わない通常計算を比較し、届出区分への影響を確認します。
区分変更や基準未達なら届出が必要
臨時取扱いを使った結果、加算区分が変わる場合や基準を満たさなくなる場合は、2026年3月5日付の基本診療料・特掲診療料の施設基準通知に従い、変更などの届出が必要です。その際は、今回の除外方法で算出した割合を記載して差し支えないとされています。
「除外できるから届出は不要」とは限りません。再計算後の区分と現在の届出を照合し、管轄の地方厚生局の様式・提出方法を確認してください。
歯科医院の実務対応チェックリスト
- 地域支援・医薬品供給対応体制加算、または地域支援・外来医薬品供給対応体制加算の届出・算定状況を確認する。
- 院内調剤の医薬品データから、2026年10月診療分以降の新指標割合を通常計算と臨時取扱いの両方で試算する。
- 臨時取扱いを使う月は、9月28日通知の別添2に対応する全品目を除外し、一部だけを選ばない。
- 直近3か月平均を使う場合は、月ごとの適用有無と参照した別添2の版を記録する。
- 再計算後に加算区分の変更または基準未達が生じる場合は、地方厚生局への変更届などを確認する。
- 計算表、対象品目一覧、レセコン出力、届出控えを同じ保管場所にまとめる。
誤解しやすい注意点
今回の臨時取扱いは、供給不足の影響を施設基準の使用割合へ反映するための計算ルールです。処方、採用、患者説明の通常ルールと混同しないようにします。
後発医薬品を処方できなくなる通知ではない
通知は、別添2に該当する医薬品を後発医薬品使用割合の算出対象から除外できるとしています。別添2掲載薬の処方禁止、使用中止、保険適用除外を定めたものではありません。供給状況や代替薬の判断は、卸、薬局、添付文書、医療用医薬品供給状況報告など別の情報で確認します。
患者ごとの処方実績だけでは判断しない
除外対象は、別添2に示す医薬品と同一成分・同一剤形の医薬品です。患者ごと、薬剤ごとに有利なものだけを外す計算ではありません。レセコンが自動対応している場合でも、別添2の版、適用開始月、全品目除外の仕様をベンダーへ確認します。
よくある質問
すべての歯科医院が計算を変更する必要がありますか
いいえ。直接対象となるのは、歯科の地域支援・医薬品供給対応体制加算または地域支援・外来医薬品供給対応体制加算の使用割合を計算する保険医療機関です。対象加算を算定していない医院に、一律の再計算義務が示された通知ではありません。
別添2のうち自院で使う薬だけを除外できますか
できません。臨時取扱いを使う場合は、別添2に示された全品目を新指標割合の算出対象から除外します。一部成分だけの除外は認められていません。
3か月平均の全月で同じ方法を使う必要がありますか
いいえ。通知は月ごとの適用を認めており、直近3か月に適用月と非適用月が混在しても差し支えないとしています。ただし、月ごとの計算根拠を残す必要があります。
まず誰が何を確認すればよいですか
院長または届出担当が対象加算の届出状況を確認し、請求・レセコン担当が2026年10月分の品目表と計算仕様を確認します。区分変更が見込まれる場合は、管轄の地方厚生局へ提出様式と期限を確認します。
出典
- 厚生労働省保険局医療課「後発医薬品の出荷停止等を踏まえた診療報酬上の臨時的な取扱いについて」(2026年9月28日、本文p.1-2、別添1 p.3、別添2 p.4-7)
- 近畿厚生局「後発医薬品の出荷停止等を踏まえた診療報酬上の臨時的な取扱いについて」(2026年10月6日、歯科の対象加算・適用期間)
- 厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】」(2026年3月5日版、p.101)
- 厚生労働省「『新指標の割合の算出に当たって対象となる後発医薬品』等について」(2026年3月5日、保医発0305第12号)
Selectdays カスタマーサクセス担当
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