
熊本地震の保険診療特例、歯科医院の確認点
厚生労働省と九州厚生局は、令和8年熊本地震に伴う保険診療関係等の取扱いを2026年8月下旬に更新しました。歯科医院では、被災患者を受け入れる際の資格確認、一部負担金、義歯等の歯科診療、レセプト請求時の記録を通常時と分けて確認する必要があります。
対象は、熊本県内の被災患者を診る歯科医院だけではありません。避難先や一時滞在先で受診する患者を受け入れる医院、義歯の紛失・破損や治療継続の相談を受ける医院、受付でマイナ保険証や資格確認書が確認できないケースに備える医院も確認対象です。
この記事では、2026年8月26日付の特例措置期間、2026年8月27日付の一部負担金等の取扱い、2026年8月25日付のオンライン資格確認緊急時機能を、歯科医院の院内対応順に整理します。個別患者の免除・猶予は保険者や通知の対象範囲で変わるため、最終判断は必ず最新の公式資料で確認してください。
3行要約
- 事実:厚労省と九州厚生局は、令和8年熊本地震に伴う保険診療特例、一部負担金、義歯等の歯科診療を含む取扱いを2026年8月下旬に掲載しました。
- 対象:被災地の歯科医院だけでなく、避難先で被災患者を受け入れる医院も、受付・資格確認・請求の手順を確認する必要があります。
- 対応:まず通知一覧を確認し、患者申告、資格確認、一部負担金、義歯等の診療記録、レセプト摘要欄の順に院内ルールをそろえます。
熊本地震の保険診療特例で変わったこと
今回のポイントは、災害発生直後の個別取扱いに加えて、特例措置の期間や窓口負担、歯科診療上の注意点をまとめて確認できる状態になったことです。厚労省の令和8年熊本地震ページには、医療保険関連として保険診療関係等の特例措置の期間、一部負担金等の取扱い、義歯等の歯科診療を含む事務連絡が掲載されています。
8月下旬に見るべき更新
厚労省ページでは、2026年8月26日付で「令和8年熊本地震の被災に伴う保険診療関係等の特例措置の期間について」が掲載されています。さらに2026年8月27日付で一部負担金等の取扱い、2026年8月18日付で義歯等の歯科診療を含む取扱いが掲載されています。
歯科医院では、ひとつの通知だけを見るのではなく、患者の窓口対応、診療内容、請求処理に関係する通知を分けて確認します。受付は資格確認と一部負担金、歯科医師は治療継続と義歯等の診療、請求担当はレセプト記載と保険者確認を見る、という分担が実務的です。
通常時の保険診療と混同しない
災害時特例は、通常の保険診療ルールがすべて不要になるという意味ではありません。本人確認、保険者情報、被災状況、一部負担金の扱い、請求時の記録は、資料上確認できる範囲で残す必要があります。
受付で「保険証がないので受診できません」と即答すると、特例対象の患者を誤って断るおそれがあります。一方で「全員無料です」と説明すると、対象外の患者や保険者確認が必要なケースで誤案内になります。院内では、通常時と災害時の確認票を分けておくことが重要です。
対象となる歯科医院と患者
対象確認では、医院所在地だけでなく、患者がどこから避難してきたか、どの保険に加入しているか、地震被害により資格確認や一部負担金の支払いが難しい状況かを分けて見ます。被災地外の歯科医院でも、避難患者を受け入れる場合は確認が必要です。
被災地外の医院も対象になり得る
災害時の受診では、患者が自宅近くのかかりつけ歯科医院に通えないことがあります。避難先で急性症状、義歯破損、補綴物脱離、口腔内トラブルを訴えて来院する患者では、保険資格や一部負担金の確認方法が通常と異なる可能性があります。
そのため、熊本県外や被災市町村外の医院でも、受付マニュアルに「令和8年熊本地震関連の患者申告があった場合」の確認先を入れておくと、初動の迷いを減らせます。
患者説明では対象外も明確にする
患者から「被災したので窓口負担は不要か」と聞かれた場合、医院側は対象災害、保険者、被災状況、通知の対象範囲を確認します。資料で確認できないまま免除を断定せず、必要に応じて保険者や自治体の案内を確認する説明にします。
患者説明では、「確認できる範囲で手続きします」「保険者ごとに扱いが異なる場合があります」「後日確認書類が必要になる場合があります」といった限定を付けると、後日の請求確認につなげやすくなります。
一部負担金と資格確認で先に見ること
受付で最初にそろえるべきなのは、一部負担金をどう扱うか、保険資格をどう確認するか、確認できなかった情報をどこに記録するかです。厚労省は2026年8月25日付で、マイナ保険証が利用できない場合のオンライン資格確認等システムの緊急時医療情報・資格確認機能のアクティブ化も公表しています。
オンライン資格確認の緊急時機能を確認する
停電、通信障害、カード不携帯、避難などで通常の資格確認が難しいケースでは、オンライン資格確認の緊急時機能が関係する場合があります。医院では、誰が端末を操作するか、確認結果をどのようにカルテや受付メモへ残すかを事前に決めます。
ただし、緊急時機能があることと、すべての患者の資格や負担が自動的に確定することは別です。確認できた情報、患者申告、未確認事項を分けて記録し、請求担当が後で追える状態にします。
一部負担金は保険者と対象範囲を確認する
熊本県のページでは、令和8年熊本地震により被災された方に係る一部負担金等の取扱いが周知されています。歯科医院では、窓口で免除や猶予の対象かどうかを即断しすぎず、保険者、対象者、確認書類、期間を確認します。
院内処理では、受付担当が患者申告を記録し、請求担当が通知・保険者情報と照合し、院長または管理者が例外対応を確認する流れにすると、患者対応と請求確認を分けられます。
義歯等の歯科診療で記録すること
歯科では、災害により義歯や補綴物を紛失・破損した患者、通院先を変えざるを得ない患者、治療途中で避難した患者への対応が出やすくなります。厚労省と九州厚生局の一覧には、義歯等の歯科診療を含む取扱いが掲載されているため、補綴・義歯・応急処置の記録を通常より丁寧に残します。
義歯の紛失・破損は経緯を残す
患者が地震で義歯を失った、避難中に破損した、以前の歯科医院に通えないと説明した場合、口頭説明だけで処理せず、発生時期、被災状況、前回作製や修理の把握状況、応急対応の内容をカルテに残します。
資料上確認できない算定可否を記事内で断定することはできません。実務では、診療内容、患者申告、参照した通知、請求時の確認先をセットで残し、疑義がある場合は最新の事務連絡や保険者確認へつなぎます。
転院・避難先受診では治療継続情報を分ける
避難先での受診では、患者が治療経過や前医の情報を十分に持っていないことがあります。初診・再診の扱い、補綴物の状態、投薬、感染症や全身疾患、前医への照会可否を通常より細かく確認します。
歯科医師は診療上の必要性を、受付は本人・資格確認を、請求担当は災害時取扱いの根拠を分けて記録します。この分担により、患者対応を遅らせず、後日の返戻・照会にも備えやすくなります。
歯科医院向け院内チェックリスト
- 厚労省「令和8年熊本地震について」と九州厚生局「令和8年熊本地震関連情報」を院内共有フォルダまたは受付マニュアルに登録する。
- 患者から令和8年熊本地震に関する申告があった場合の受付確認票を用意する。
- 保険証、マイナ保険証、資格確認書が確認できない場合の代替確認手順を決める。
- オンライン資格確認の緊急時医療情報・資格確認機能を誰が確認するか決める。
- 一部負担金の免除・猶予は、保険者、対象者、期間、確認書類を分けて記録する。
- 義歯の紛失・破損、補綴物脱離、治療中断、避難先受診では、患者申告と診療上の必要性をカルテに残す。
- レセプト請求時に参照した通知名、確認日、未確認事項を請求担当が追える場所に残す。
このチェックリストは、災害時の歯科診療を止めないための院内確認順です。算定可否や一部負担金免除の最終判断を置き換えるものではないため、必ず厚労省、地方厚生局、保険者の最新資料と照合してください。
受付、診療、請求で担当を分ける
院内で最も混乱しやすいのは、受付が患者説明をしながら、診療上の判断と請求判断まで抱えてしまう状態です。受付は本人確認と患者申告、歯科医師は診療必要性と治療記録、請求担当は通知・保険者・レセプト確認に分けます。
小規模医院でも、同じ担当者が複数業務を行う場合は、確認順だけは分けて記録します。これにより、後日通知が追加された場合にも、どの患者が再確認対象か追いやすくなります。
注意点と次に確認すべき資料
今回の記事は、2026年8月30日朝時点で確認できる公式資料に基づく整理です。災害対応では、対象地域、期間、一部負担金、保険者別取扱いが追加更新されることがあります。医院では、この記事だけで運用を固定せず、受付マニュアルに確認日を残してください。
特例期間と対象者は更新され得る
2026年8月26日付の事務連絡は、特例措置の期間を確認するうえで重要です。ただし、個別患者の扱いは、保険者、被災状況、受診日、通知の適用範囲で変わります。患者ごとに「いつの通知を見たか」を残すことが、後日の請求確認に役立ちます。
次に見るべき一次情報
次回は、厚労省の令和8年熊本地震ページ、九州厚生局の関連情報、熊本県の一部負担金等ページ、加入保険者の免除・猶予案内を確認します。歯科医師会や自治体から追加の歯科保健医療支援情報が出た場合は、患者説明や避難所支援の文脈で別記事として整理できます。
FAQ
Q. 被災地外の歯科医院でも確認が必要ですか。
A. 必要になる場合があります。避難先で被災患者を受け入れる医院では、通常の資格確認や一部負担金の扱いと異なる可能性があるため、厚労省と地方厚生局の通知を確認してください。
Q. 保険証やマイナ保険証がない患者は受診できませんか。
A. そのように即断しないでください。災害時には資格確認が困難な場合の取扱いが示されることがあります。患者申告、確認できた情報、未確認事項を分けて記録し、最新通知に沿って対応します。
Q. 一部負担金は全員免除になりますか。
A. 全員免除とは限りません。対象者、対象期間、保険者、確認書類などで扱いが変わる可能性があります。窓口では断定せず、熊本県、保険者、厚労省通知を確認します。
Q. 義歯を地震で失った患者の再製作はどう扱いますか。
A. 本文だけで個別の算定可否は断定できません。発生経緯、被災状況、前回作製・修理の把握状況、診療上の必要性、参照した通知をカルテと請求メモに残し、疑義があれば最新の事務連絡や保険者確認につなげます。
出典
- 厚生労働省「令和8年熊本地震について」2026年8月27日確認。該当箇所: 医療保険、保険診療関係等の特例措置、一部負担金、義歯等の歯科診療。
- 九州厚生局「令和8年熊本地震関連情報」2026年8月26日確認。該当箇所: 2. 保険診療関係等。
- 熊本県「令和8年熊本地震により被災された方に係る一部負担金等の取扱いについて」2026年8月28日確認。該当箇所: 一部負担金等の取扱い。
- 厚生労働省「令和8年熊本地震の発生に伴いマイナ保険証が利用できない場合におけるオンライン資格確認等システムの緊急時医療情報・資格確認機能のアクティブ化について」2026年8月25日確認。
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