
医療施設静態調査、歯科診療所の準備項目
令和8年医療施設静態調査は、2026年10月1日現在で開設しているすべての病院・診療所を対象に行われる基幹統計調査です。歯科診療所にも2026年9月中旬頃から調査票等が郵送され、オンライン調査票または紙の調査票で回答します。
歯科診療所で早めに準備したいのは、2026年9月中の実績と、2026年10月1日現在の体制を分けて集めることです。外来患者延数、初診患者数、処方数、保健事業、技工物委託、インプラント手術、在宅医療サービスは9月実績を確認します。一方、診療状況、設備、電子カルテ、電子カルテ情報共有サービス、医療安全体制、従事者数は10月1日時点で確認します。
この記事では、厚生労働省の実施通知、歯科診療所用の調査の手引き、歯科診療所票、e-Govの医療施設調査規則をもとに、院長・事務長・受付担当が調査票到着前に見ておく項目を整理します。
3行要約
- 令和8年医療施設静態調査は、2026年10月1日現在で開設しているすべての病院・診療所が対象です。
- 歯科診療所では、9月実績を集計する項目と10月1日現在で確認する項目を分けると回答漏れを減らせます。
- 2026年5月1日以降に開設した医療施設はオンライン調査を利用できないため、紙の調査票を管轄保健所へ提出します。
医療施設静態調査で歯科診療所がまず確認すること
最初に確認するのは、自院が対象か、いつの状態を回答するか、どの方法で提出するかです。令和8年調査は、2026年10月1日午前零時現在で開設しているすべての医療施設を対象にします。歯科診療所も対象に含まれます。
対象は2026年10月1日現在で開設している歯科診療所
厚生労働省の実施通知では、2026年10月1日午前零時現在に医療法に基づき開設の許可または届出を行っているすべての医療施設を対象としています。休止・休診中の扱いも歯科診療所票に記入欄があるため、診療していない状態でも自院判断で対象外と決めつけないことが重要です。
医療施設調査規則でも、静態調査はすべての医療施設について行うとされています。調査票が届いたら、まず管轄保健所や同封資料の案内に従って回答方法を確認します。
調査票は9月中旬頃に郵送、期日は10月1日
厚生労働省の案内では、対象の医療施設へ2026年9月中旬頃から調査票、調査の手引き、オンライン調査のお願い等が郵送されるとされています。調査期日は2026年10月1日です。
ここで注意したいのは、提出期限と調査期日は同じではないことです。実施通知では、保健所長が2026年10月31日までの間に設定される期限までに医療施設の管理者から調査票を提出させる扱いになっています。歯科診療所用手引きでも、具体的な提出期限は管轄保健所へ確認するよう案内されています。
9月中に集計しておく歯科診療所票の項目
歯科診療所票には、2026年9月中の実績を記入する項目が複数あります。10月1日に調査票を開いてから9月の数字を探すと、レセコン、予約台帳、会計、訪問診療記録、技工物委託記録を横断することになります。
外来患者、処方数、保健事業は9月実績で確認する
歯科診療所票では、2026年9月中の外来患者延数、そのうち初診患者数、院内処方数、院外処方箋交付回数を記入する欄があります。保健事業では、保健相談・指導、予防処置、自治体の委託検診、事業所等の委託検診、該当なしを選ぶ構成です。
受付・会計担当は、9月の診療終了後にレセコン集計と予約台帳を照合できるよう、集計担当と締め日を決めておくとスムーズです。調査票の数字は診療報酬請求そのものではありませんが、院内の記録と食い違うと保健所から照会される可能性があります。
技工物委託、インプラント、在宅医療サービスも対象になる
歯科診療所票には、技工物作成の委託状況、インプラント手術の実施状況、在宅医療サービスの実施状況もあります。技工物委託では、国内のみへの委託、一部または全部の工程を国外へ委託、委託していない、の選択に加え、国内委託先歯科技工所数を記入する欄があります。
インプラント手術は、2026年9月中に手術件数がない場合でも、実施している医院は実施件数欄に0件と記入する扱いが手引きに示されています。在宅医療サービスでは、訪問診療、訪問歯科衛生指導、居宅療養管理指導、介護保険施設や通所サービスの口腔関連提供など、診療録や訪問記録から確認する項目が並びます。
10月1日現在で確認する項目
2026年10月1日現在で確認する項目は、医院の基本情報、診療体制、電子化、医療安全、設備、人員です。これらは月次集計ではなく、調査期日時点の状態を回答する項目として扱います。
医療機関コードと法人番号を先に確認する
歯科診療所用手引きでは、医療機関コードが令和8年調査の新規項目として説明されています。診療報酬明細書等で記載している7桁の医療機関コードを記入し、自由診療のみの施設は医療機関コードがないため記入不要とされています。
法人番号は国税庁から指定された13桁の番号を記入し、個人開設の施設は記入不要とされています。調査票に印字済みの情報がある場合でも、所在地、施設名、開設者、社会保険診療等の状況に誤りがないかを確認します。
電子カルテと電子カルテ情報共有サービスは別項目
歯科診療所票では、診療録電子化、つまり電子カルテの状況と、電子カルテ情報共有サービスの導入状況が別々に問われます。手引きでは、レセプト処理用コンピュータのみ使用している場合は「電子化している」には該当しないとされています。
電子カルテ情報共有サービスについては、全国の医療機関や薬局が患者の診療情報を電子的に共有できる仕組みとして説明され、令和8年度冬頃を目途に全国的な運用開始を進めているものとされています。導入している、今後導入する予定がある、導入する予定なしを、電子カルテの有無と混同しないように確認します。
医療安全体制と歯科設備は責任者・台数まで見る
医療安全体制では、医療安全体制全般、院内感染防止対策、医療機器安全管理、医薬品安全管理、医療放射線安全管理の責任者について、歯科医師、歯科衛生士、その他、配置していない等の選択肢で確認する構成です。
歯科設備では、歯科診療台、デンタル・パノラマX線装置、歯科用CT装置、手術用顕微鏡、滅菌機器、ポータブル歯科ユニット、歯科用CAD/CAM装置、デジタル印象採得装置、口腔外バキュームなどが並びます。歯科診療台は台数も記入するため、設備台帳と実際の設置状況を合わせて確認します。
従事者数と常勤換算で迷いやすい点
従事者数は、2026年10月1日24時現在に当該医療施設に在籍する者を計上します。歯科医師、医師、歯科衛生士、歯科技工士、薬剤師、看護師、准看護師、歯科業務補助者、事務職員、その他の職員など、職種ごとに確認します。
常勤・非常勤の実人員と常勤換算を分ける
歯科診療所票では、常勤と非常勤の実人員、非常勤の常勤換算人数を分けて記入します。手引きでは、1週間の勤務時間を、その施設で定めた1週間の勤務時間で割り、小数点以下第2位を四捨五入する考え方が示されています。
雇用形態の呼び名だけで判断せず、医療機関が定める1週間の所定労働時間を満たしているかで整理します。非常勤スタッフが複数いる医院では、9月中に勤務表と雇用条件を確認し、10月1日時点の在籍者で最終確認する流れが現実的です。
長期不在者、休業者、代替者の扱いに注意する
手引きでは、2026年10月1日の欠勤者であっても在籍している人員は計上し、同日の採用者は計上する一方、退職者は計上しないとされています。長期にわたって勤務していない者は原則として計上しない扱いですが、産前・産後休業、育児休業、介護休業を取得している者は計上するとされています。
休業中の者に代替者がいる場合は、代替者を計上します。人事台帳、雇用契約書、シフト表だけでなく、休業・代替勤務の状況も合わせて確認しておくと、記入時の迷いを減らせます。
院内対応チェックリスト
- 調査票が届く前に、院長、事務長、受付、訪問診療担当、労務担当の役割を決める。
- 2026年9月中の外来患者延数、初診患者数、院内処方数、院外処方箋交付回数を集計できる状態にする。
- 保健事業、技工物委託、インプラント手術、在宅医療サービスの9月実績を記録から確認する。
- 医療機関コード、法人番号、所在地、施設名、開設者、社会保険診療等の状況を確認する。
- 電子カルテと電子カルテ情報共有サービスの導入状況を別々に確認する。
- 医療安全体制の各責任者と、歯科設備の保有状況・歯科診療台数を確認する。
- 2026年10月1日現在の従事者数、常勤・非常勤、非常勤の常勤換算を確認する。
- 2026年5月1日以降に開設した施設は、オンライン回答ではなく紙提出になる点を確認する。
- 管轄保健所が定める提出期限を同封資料または保健所への照会で確認する。
調査票到着前に作る確認順
実務では、まず9月実績の集計項目を受付・会計・訪問診療担当に分け、次に10月1日現在の状態を院長・事務長・労務担当で確認する順番が扱いやすいです。最後に、調査票と手引きに沿って、オンライン回答または紙提出のどちらで出すかを決めます。
2026年9月中旬頃に厚生労働省ページへ掲載予定とされている利用ガイド、常勤換算シート、オンライン調査FAQは、公開後に必ず確認します。未掲載の資料を前提に院内ルールを固定せず、調査票到着後に最終確認する余地を残しておきます。
対象・時点・担当を分ける判断表
区分 | 確認する時点 | 主な項目 | 院内担当の例 |
|---|---|---|---|
9月実績 | 2026年9月中 | 外来患者延数、初診患者数、処方数、保健事業、技工物委託、インプラント手術、在宅医療サービス | 受付、会計、訪問診療担当、院長 |
10月1日現在 | 2026年10月1日現在 | 診療状況、診療科目、電子カルテ、電子カルテ情報共有サービス、医療安全体制、歯科設備 | 院長、事務長、医療安全管理担当 |
従事者数 | 2026年10月1日24時現在 | 職種別の常勤・非常勤実人員、非常勤の常勤換算、休業者・代替者の扱い | 院長、労務担当、事務長 |
提出方法 | 調査票到着後 | オンライン回答または紙提出、2026年5月1日以降開設施設の紙提出、管轄保健所の期限 | 事務長、受付、院長 |
新規開設医院はオンライン回答不可の条件を確認する
厚生労働省の案内では、2026年5月1日以降に開設された医療施設はオンライン調査を利用できず、紙の調査票を管轄保健所へ提出する扱いです。新規開設、承継、移転をした医院では、開設日と届出状況を先に確認します。
オンライン回答が使える医院でも、調査対象者IDと初期パスワードは手元に届く紙の調査票等で確認します。ログイン情報を院内で共有しすぎず、回答担当者と確認者を分けて管理するのが実務上は安全です。
今後確認すべき資料と次の動き
令和8年9月1日時点では、厚生労働省ページ上で利用ガイド、常勤換算シート、オンライン調査FAQが2026年9月中旬頃掲載予定とされています。歯科診療所は、これらが出た段階で院内の回答手順を更新します。
次に見る一次情報
次に確認する資料は、厚生労働省の令和8年医療施設静態調査ページ、歯科診療所用の利用ガイド、歯科診療所用常勤換算シート、オンライン調査FAQ、同封される調査票と管轄保健所の提出期限案内です。
調査そのものは診療報酬の算定可否を変える通知ではありません。ただし、医療行政や診療報酬改定の基礎資料として利用される調査であり、回答漏れや不正確な記入を避けるため、9月実績と10月1日時点の確認を早めに切り分けておく価値があります。
FAQ
医療施設静態調査は歯科診療所も回答が必要ですか
はい。令和8年10月1日午前零時現在で開設しているすべての病院・診療所が対象で、歯科診療所用の調査票と手引きも用意されています。調査票が届いたら、同封資料と管轄保健所の案内に従って回答します。
提出期限は2026年10月1日ですか
いいえ。2026年10月1日は調査期日です。施設から管轄保健所への提出期限は、2026年10月31日までの範囲で自治体側が定める日とされています。具体的な期限は同封資料または管轄保健所で確認します。
レセコンを使っていれば電子カルテありでよいですか
手引きでは、レセプト処理用コンピュータのみ使用している場合は「電子化している」には該当しないとされています。電子カルテの状況と、電子カルテ情報共有サービスの導入状況は別項目として確認します。
2026年5月1日以降に開設した歯科診療所はオンライン回答できますか
厚生労働省の案内では、2026年5月1日以降に開設された医療施設はオンライン調査を利用できないため、紙の調査票で管轄保健所へ提出する扱いです。
出典
[1] 令和8年医療施設静態調査へのご協力をお願いします|厚生労働省|2026年6月30日
該当箇所: 調査票郵送時期、調査期日、調査客体、オンライン回答、歯科診療所用手引き
[2] 令和8年医療施設静態調査の実施について(通知)(政統発0703第5号)|厚生労働省|2026年7月3日
該当箇所: 2 調査の対象、3 調査の期日、5 調査の方法、7 調査票の審査及び提出
[3] 令和8年医療施設静態調査に関する事務の処理基準について(通知)(政統発0703第6号)|厚生労働省|2026年7月3日
該当箇所: 法定受託事務、処理基準
[4] 令和8年医療施設静態調査 調査の手引き[歯科診療所用]|厚生労働省|2026年7月3日
該当箇所: 回答方法、提出先、報告義務、新規項目、常勤換算、歯科診療所票の記入要領
[5] 医療施設静態調査 歯科診療所票(令和8年)|厚生労働省|2026年7月3日
該当箇所: 歯科診療所票の各調査項目
[6] 医療施設調査規則|e-Gov法令検索
該当箇所: 第1条、第2条、第3条の2、第4条、第6条、第9条
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