医療用手袋、歯科診療所の4週間分要請確認点
厚生労働省は2026年7月22日の新着情報で、「中東情勢を踏まえた医療用手袋の放出について」を掲載しました。全体として直ちに供給が不足する状況ではない一方、一部の医療機関で手袋の確保が困難になっているとして、国備蓄の医療用手袋を確保困難な医療機関向けに放出する案内です。
歯科診療所で特に見たいのは、2026年7月15日版の事務連絡とQ&Aです。2026年7月29日(水)17時要請受付締め分から、購入可能数の考え方が「1週間の想定消費量」の2週間分から4週間分へ変わります。対象には診療所が含まれ、都道府県案内では歯科診療所も対象として明記されています。
この記事では、医療用手袋の放出について、歯科診療所がG-MISで要請する前に確認したい在庫量、週消費量、購入見込み量、サイズ指定、アスクル登録、院内担当の分け方を整理します。
3行要約
- 厚労省は2026年7月22日、医療用手袋の放出案内を新着情報へ掲載し、5000万枚の国備蓄放出と要請手順を示しました。
- 2026年7月29日17時締め分から、購入可能数は1週間の想定消費量の4週間分を基準に1000枚単位で決まります。
- 歯科診療所は、G-MIS要請前に在庫量、週消費量、購入見込み量、サイズ別必要数、アスクル登録情報を確認しましょう。
医療用手袋の放出で何が変わったか
今回の実務上の更新点は、国備蓄の医療用手袋を要請できる流れが整理され、販売枚数の考え方が4週間分へ広がったことです。歯科診療所にとっては、単なるニュースではなく、在庫確認と発注判断の基準をそろえる話になります。
7月29日17時締め分から4週間分に変更
2026年7月15日付の厚労省事務連絡では、第11弾受付分、つまり2026年7月29日(水)17時要請受付締め分から、購入可能数を「1週間の想定消費量」の4週間分に応じた枚数へ変更すると示されています。販売枚数は1000枚単位で切り上げられます。
たとえば、1週間の想定消費量が600枚なら、4週間分は2400枚です。この場合、1000枚単位で切り上げるため、3000枚まで購入できる整理になります。厚労省Q&Aと宮城県案内はいずれも、4週間分への変更と1000枚単位の考え方を示しています。
歯科診療所も対象として確認する
厚労省Q&Aでは、すべての病院、診療所、訪問看護事業所、薬局、助産所が要請可能とされています。福岡県や宮城県の案内では、対象となる診療所に歯科を含むことが明記されています。
歯科は唾液や血液に接する処置が多く、日常診療で医療用手袋を継続的に使います。日本歯科医師会の感染症予防講習会教材でも、歯科診療は唾液や血液が飛散しやすく、鋭利な器具や再使用器具も多いため、医療関連感染対策への留意が必要とされています。したがって、在庫確保は発注担当だけでなく、感染対策の院内運用として扱うのが現実的です。
医療用手袋を要請できる条件
医療用手袋の放出は、全医院が通常在庫を増やすために使う制度ではありません。Q&Aでは、在庫量、1週間の想定消費量、1週間の購入見込み量を基に、配布「要」かどうかを判断する仕組みが示されています。
在庫量と購入見込み量の計算式
配布「要」となる条件は、在庫量が「1週間の想定消費量から1週間の購入見込み量を引いた数」の4週間分を下回る場合です。式にすると、在庫量 <(1週間の想定消費量 - 1週間の購入見込み量)×4 です。
この式で重要なのは、購入見込み量に今回の備蓄放出で購入できる分を含めないことです。Q&Aでは、通常の市中で確保できる見込み分を記入するとされています。歯科診療所では、卸から通常どおり入る見込みの箱数と、実際に診療室で消費する枚数を分けて確認してください。
サイズ別不足がある場合の見方
Q&Aでは、Lサイズは大量にある一方でSサイズが全くなく、1か月以内に診療へ支障が出る可能性がある場合は、Sサイズの在庫量のみを記載する例が示されています。歯科診療所では、単純な合計在庫だけでなく、S、M、Lのサイズ別に見ることが大切です。
販売は1セット1000枚、10箱が最小単位で、セット単位でサイズ指定が可能です。複数セットを購入できる場合は、Sを2セット、Mを1セットのようにサイズごとに割り振れるため、院内の実使用に合わせた確認が必要です。
歯科診療所のG-MIS要請手順
要請手順は、G-MISだけで完結しません。厚労省ページでは、G-MISで週次調査に回答して緊急配布要請を行い、あわせてアスクルの購入サイトで必要情報を登録する流れが示されています。
G-MISとアスクル登録の順番
基本の流れは、G-MISの週次調査回答と緊急配布要請、アスクル購入サイトでの必要情報登録、アスクルからの購入案内メール受領、メール記載URLからの購入手続です。Q&Aでは、アスクルの必要情報登録はG-MIS要請前でも可能とされていますが、G-MISでの要請とアスクル登録の両方が必要です。
要請受付は毎週水曜日17時締めで続いています。宮城県案内では、水曜17時から翌週水曜17時締め、金曜日までに国・都道府県が内容確認、購入手続後に順次配送という流れが示されています。地域の受付補足は都道府県で異なる可能性があるため、所在地の案内も確認してください。
メールと医療機関コードの確認
Q&Aでは、アスクル登録時にG-MIS上の医療機関コード10桁が必要とされています。保険医療機関コードとは別に、G-MIS画面で確認するコードである点に注意が必要です。
購入案内メールは、要請締切日の翌週半ばに届く予定とされています。医療機関コードやメールアドレスが誤っていると案内メールが届かないことがあるため、発注担当だけでなく事務長か院長も登録内容を確認しておくと安全です。メール受信設定や迷惑メール振り分けも、G-MIS要請前に確認しておきましょう。
院内で今すぐ確認すること
歯科診療所の初動は、急いで発注量を増やすことではなく、要請が必要な状態かを判断できる数字をそろえることです。公式資料は、在庫と消費量に基づく要請を求めており、感覚的な不足感だけでは判断しにくい設計になっています。
発注担当と感染対策担当で分ける
発注担当は、サイズ別在庫、通常仕入れの購入見込み量、アスクル登録、購入案内メールを確認します。感染対策担当は、診療内容ごとの使用量、訪問歯科での持ち出し分、外科処置や歯周処置が集中する日の消費量を確認します。
院長または事務長は、G-MISログイン情報、医療機関コード、所在地の都道府県窓口、G-MIS操作が難しい場合の相談先を管理します。誰か1人の記憶に任せると、水曜17時の締切前に数字がそろわない可能性があります。
患者説明は診療制限と混同しない
厚労省は、全体として直ちに供給が不足する状況ではない一方、一部の医療機関で確保困難が生じていると説明しています。したがって、今回の資料だけを根拠に「診療が止まる」と患者へ伝えるのは行き過ぎです。
患者から質問された場合は、「感染対策に必要な医療用手袋の在庫を確認し、必要に応じて国の放出制度も含めて確保手順を整えています」といった説明が現実的です。予約調整が必要なほどの不足がある場合は、実際の在庫と入荷予定を基に個別に説明してください。
医療用手袋の院内確認チェックリスト
- サイズ別に、現在庫をS、M、Lで数える。
- 1週間の想定消費量を、通常診療、外科処置、訪問歯科、滅菌・清掃で分けて見積もる。
- 通常仕入れで1週間に購入できる見込み量を、卸への確認結果で記録する。
- 在庫量 <(1週間の想定消費量 - 1週間の購入見込み量)×4 に該当するか確認する。
- G-MISログインID、医療機関コード10桁、週次調査画面、緊急配布要請画面を確認する。
- アスクル購入サイトの登録情報、メールアドレス、受信設定、担当者不在時の代理者を確認する。
- 水曜17時締めに間に合うよう、毎週火曜または水曜午前に院内在庫を更新する。
チェックリストは、発注用の在庫表とは別に、G-MIS要請判断用として残すと使いやすくなります。特に週消費量は、患者数だけでなく処置内容で変わるため、メインテナンス中心の日と外科処置が多い日を混ぜて平均化しすぎないようにしてください。
注意点と今後確認する資料
今回の制度は、確保困難な医療機関へ医療用手袋を届けるための仕組みです。歯科診療所は、対象になる可能性を確認しつつ、過剰発注や条件未確認の要請にならないよう注意する必要があります。
有償販売であり過剰発注の制度ではない
地方自治体案内では、本件は無償配布ではなく有償販売であること、転売をしないことが示されています。Q&Aでは、近隣の医療機関等への無償譲渡は可能とされていますが、実費弁償を含む転売のような扱いは避けるべきです。
また、要請が不要な場合はG-MIS週次調査の回答は不要とされています。自院が条件を満たすかを先に確認し、必要な場合に要請するという順番で進めるのが、資料に沿った対応です。
所在地の都道府県案内も見る
G-MISの操作が難しい場合、Q&Aでは各都道府県へ相談するよう示されています。G-MIS未登録、医療機関コード不明、PC操作が難しい場合の代替案内は都道府県で差が出る可能性があります。
次に確認すべき一次情報は、厚労省の医療用手袋放出ページ、2026年7月15日版Q&Aの更新有無、所在地の都道府県ページ、G-MIS操作マニュアルです。歯科診療所では、発注担当が厚労省ページを、事務長が都道府県ページを、感染対策担当が院内使用量を確認する分担にすると、締切前の判断が早くなります。
FAQ
歯科診療所は医療用手袋の放出対象ですか
厚労省Q&Aでは、すべての病院、診療所、訪問看護事業所、薬局、助産所が要請可能とされています。福岡県や宮城県の案内では、診療所に歯科を含むことが明記されています。ただし、実際に要請できるかは在庫量、週消費量、購入見込み量に基づく条件確認が必要です。
何枚まで購入できますか
2026年7月29日17時締め分からは、G-MIS週次調査で入力した1週間の想定消費量の4週間分を基に、1000枚単位で切り上げた枚数が購入可能数になります。最小販売単位は1000枚、10箱です。
G-MIS要請だけで購入できますか
できません。厚労省資料では、G-MISで週次調査回答と緊急配布要請を行い、あわせてアスクル購入サイトで必要情報登録を行う流れが示されています。両方の手続きが必要です。
今すぐ全医院が週次調査へ回答すべきですか
Q&Aでは、緊急配布要請を行わない場合、つまり要請不要の場合はG-MIS週次調査に回答する必要はないとされています。まず自院の在庫量と不足見込みを確認し、条件に該当する可能性がある場合に手続きへ進むのが適切です。
出典
- 厚生労働省「中東情勢を踏まえた医療用手袋の放出について」2026年7月22日掲載 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_73131.html
- 厚生労働省「中東情勢を踏まえた医療用手袋の備蓄放出における販売枚数の変更について(周知)」2026年7月15日 https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001724112.pdf
- 厚生労働省「中東情勢を踏まえた医療用手袋の放出に関する医療機関向けQ&A(2026年7月15日時点版)」2026年7月15日 https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001724118.pdf
- 厚生労働省「中東情勢関連対策ワンストップポータル」2026年6月1日更新 https://www.mhlw.go.jp/stf/chuto-josei.html
- 厚生労働省「医療施設における院内感染の防止について」2005年2月1日 https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/02/tp0202-1.html
- 日本歯科医師会「令和7年度 歯科医療関係者感染症予防講習会 eラーニング教材」 https://www.jda.or.jp/dentist/program/e-leaning.html
- 福岡県「中東情勢を踏まえた医療用手袋(国備蓄)の放出について」2026年7月3日更新 https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/tyuutoujyosei-iryouyoutebukuro.html
- 宮城県「中東情勢を踏まえた医療用手袋の放出(販売)について」2026年7月22日確認 https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/iryou/tebukuro.html
Selectdays カスタマーサクセス担当
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