
無歯科医地区755地区、地域歯科の確認点
厚生労働省は2026年7月30日、令和7年度無医地区等及び無歯科医地区等調査の結果を公表しました。歯科医院が押さえるべき数字は、令和7年10月末日時点の無歯科医地区が755地区、無歯科医地区人口が150,171人だったことです。
この調査は診療報酬や施設基準を直接変える通知ではありません。ただし、訪問歯科、病院歯科、行政、地域歯科医師会との連携を考える基礎資料になります。2026年6月時点では公表延期だったため、今回から院内資料や地域会議では令和7年度の確定値を使えます。
この記事では、全国値をただ紹介するのではなく、歯科医院が自院の診療圏、訪問対応、紹介先、相談導線をどう見直すかに絞って整理します。
3行要約
- 厚生労働省は2026年7月30日、令和7年度無歯科医地区等調査の結果を公表しました。
- 令和7年10月末日時点で、無歯科医地区は755地区、人口は150,171人です。
- 歯科医院は、最新値を地域連携の基礎資料として使い、訪問範囲・紹介先・相談受付を棚卸しします。
無歯科医地区の最新結果で見るべき数字
今回の無歯科医地区等調査は、地域の歯科アクセスを読むための統計です。全国値は改善傾向を示しますが、課題が解消したとまでは読めません。
令和7年度は755地区、150,171人
厚生労働省の報道発表では、令和7年度の無歯科医地区は755地区、無歯科医地区人口は150,171人とされています。無歯科医地区に準じる地区は431地区、人口は103,632人です。
前回の令和4年度調査では、無歯科医地区は784地区、人口は188,647人でした。単純比較では地区数は29地区、人口は38,476人減っています。ただし、全国合計だけで自院地域の課題を判断するのは危険です。都道府県別・地区別の状況は、詳細表や自治体資料と突き合わせる必要があります。
公表日、調査年度、調査時点を分ける
今回の記事で混同しやすいのは日付です。公表日は2026年7月30日、調査年度は令和7年度、調査時点は令和7年10月末日です。
院内資料や地域会議の資料では、「2026年7月30日公表」「令和7年10月末日時点」と分けて書くと誤解を減らせます。特に、令和7年度という表現だけでは、いつの実態を示す数字なのかが伝わりにくくなります。
前回の延期記事から変わったこと
2026年6月時点では、令和7年度調査は数値精査のため公表延期と案内されていました。今回の更新で、延期中の扱いから確定値を使う段階へ変わりました。
令和4年度の暫定参照から令和7年度結果へ
延期中は、令和4年度結果を暫定的な基礎資料として扱う必要がありました。今回の公表後は、令和7年度結果を使って地域の説明を更新できます。
たとえば、歯科医師会の会議資料、行政との打ち合わせ資料、訪問歯科の院内共有資料では、古い数値を残したままにしないことが大切です。数字が更新されても、地域歯科の論点は「医院があるか」だけではなく、「通えるか」「訪問で届くか」「必要時に紹介できるか」まで含めて考えます。
診療報酬や施設基準の変更ではない
この調査結果だけで、診療報酬の算定要件、施設基準、届出様式が変わるわけではありません。記事や院内説明で「制度変更」「新しい届出が必要」と書くと誤解になります。
一方で、地域歯科医療提供体制を考える材料としては重要です。訪問歯科の依頼が増えやすい地域、病院歯科との後方連携が必要な地域、行政相談につなぐケースが多い地域では、最新統計を背景資料として確認しておく意味があります。
歯科医院が確認する実務対応
- 自院の住所地や訪問範囲の周辺に、無歯科医地区またはそれに準じる地区があるか確認する。
- 訪問歯科で対応できる曜日、範囲、処置、緊急時の限界を一覧化する。
- 病院歯科、地域包括支援センター、保健所、市町村、歯科医師会の連絡先を院内で共有する。
- 義歯、口腔清掃、摂食嚥下、障害児・者歯科など、相談内容別に院内対応と紹介先を分ける。
- 地域会議や行政協力で使う資料は、令和4年度値から令和7年度値へ更新する。
無歯科医地区の統計は、医院単独で全てを担うための資料ではありません。むしろ、自院で受ける相談、自院では難しい症例、地域へつなぐ症例を切り分けるために使います。
訪問歯科の対応範囲を数字と結びつける
訪問歯科を行っている医院は、訪問可能距離だけでなく、移動時間、スタッフ配置、器材、処置内容、医科・介護との連携先を整理します。無歯科医地区の近隣では、来院できない患者からの相談が増える可能性があります。
ただし、全国統計だけで「必ず相談が増える」とは断定できません。自院の診療圏、交通事情、介護施設の分布、地域包括支援センターからの相談実績を合わせて見ることが現実的です。
受付と歯科衛生士が聞く項目をそろえる
アクセス課題のある患者では、痛みや義歯不調だけでなく、移動手段、付き添い、介護認定、通院中の医科疾患、食事の困りごとを確認する必要があります。
受付と歯科衛生士が聞き取る項目をそろえておくと、訪問対応、自院受診、病院歯科紹介、行政相談のどれにつなぐか判断しやすくなります。統計を読んだ後の実務は、相談票や問診票の見直しまで落とすと効果が出ます。
地域連携で読み違えやすい点
無歯科医地区が減ったからといって、地域歯科の課題が消えたとは限りません。通院困難、交通手段、介護状況、病院歯科の受け皿、訪問歯科の人員は、地区数だけでは判断できないためです。
全国値だけで自院地域を判断しない
令和7年度の全国値では、無歯科医地区数と人口は前回より減少しています。しかし、自院の県や近隣市町村で同じ傾向とは限りません。
医院が確認すべきなのは、全国順位ではなく、自院がどの患者導線を担うかです。地域の詳細表、自治体の歯科保健計画、地域歯科医師会の事業、介護・障害福祉の相談ルートを合わせて確認します。
「医院がない」と「歯科に届かない」は同じではない
無歯科医地区の問題は、単に歯科医院の有無だけではありません。近くに医院があっても、公共交通、山間部、介護負担、認知症、障害、家族支援の有無によって、実際には受診しにくい患者がいます。
そのため、患者説明では「通えないなら受診できない」で終わらせず、訪問歯科、介護側の相談窓口、行政相談、病院歯科への紹介など、次の選択肢を示すことが重要です。
無歯科医地区の確認順チェックリスト
- 令和7年度調査の全国値と、必要に応じて都道府県別表を確認する。
- 自院の外来患者、訪問患者、施設患者の住所エリアを大まかに把握する。
- 訪問歯科で対応できる処置と、病院歯科へ紹介する処置を分ける。
- 受付・歯科衛生士・歯科医師で、通院困難患者の聞き取り項目を統一する。
- 地域包括支援センター、保健所、市町村、歯科医師会の連絡先を更新する。
- 行政や地域会議で使う資料の数値を、令和7年度結果へ差し替える。
この確認順の目的は、統計を読むだけで終わらせないことです。無歯科医地区の数字を見たら、自院の診療圏でどの相談を受け、どの相談を他機関へつなぐかまで決めます。
院内共有では担当者を決める
院内共有では、院長が統計を確認し、訪問歯科担当が対応範囲を整理し、受付が相談時の聞き取り項目を確認する、と担当を分けます。担当が曖昧なままだと、地域から相談が来たときに対応が遅れます。
資料は大きな報告書のまま共有するより、数字、対象地域、自院の対応、紹介先、未確認事項の5項目に絞ると実務で使いやすくなります。
よくある疑問
無歯科医地区等調査で診療報酬は変わりますか
この調査結果だけで診療報酬や施設基準が直接変わるわけではありません。地域歯科医療提供体制を考えるための統計資料として扱います。
令和4年度の数字はもう使わない方がよいですか
最新状況を説明する場合は、令和7年度結果を優先します。ただし、前回との差分を説明するときは、令和4年度結果との比較が有用です。
都市部の歯科医院には関係ありませんか
無関係とは言えません。都市部でも、近隣の通院困難患者、介護施設、病院歯科との連携、障害児・者歯科の相談導線を担うことがあります。自院が直接無歯科医地区にない場合でも、地域連携の中で役割を確認しておく意味があります。
まず何を見ればよいですか
まず厚生労働省の令和7年度調査結果で全国値と調査時点を確認します。次に、自院の都道府県・市町村、歯科医師会、自治体の歯科保健事業の情報を確認し、自院の訪問範囲と紹介先へ落とし込みます。
出典
- 厚生労働省「令和7年度無医地区等及び無歯科医地区等調査の結果を公表します」2026年7月30日
- 厚生労働省「無歯科医地区等調査」2026年7月30日確認
- e-Stat「無医地区等及び無歯科医地区等調査」2026年7月30日確認
- 厚生労働省「令和4年度無医地区等及び無歯科医地区等調査の結果を公表します」2023年7月28日
Selectdays カスタマーサクセス担当
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