業界情報

矯正相談、患者説明と広告表現の確認点

Selectdays CS担当者

日本歯科医師会は2026年5月18日の新着情報で、「お口のなんでも相談」に「矯正」を掲載したと案内しました。歯科医院にとっては、矯正相談を単なる見た目の相談ではなく、不正咬合、口腔習癖、費用・期間、保険適用、広告表現まで含めて見直す機会です。

特に矯正歯科は自由診療が多く、患者は装置、費用、期間、仕上がりのイメージを比較しながら医院を選びます。だからこそ、初回相談で言えることと精密検査後でなければ言えないことを分け、WebページやSNSでも誤解を招く表現を避ける必要があります。

この記事では、JDAの患者向け情報、日本矯正歯科学会の矯正治療情報と広告注意喚起、厚生労働省の医療広告規制ページを基に、歯科医院が今確認したい説明ポイントを整理します。

JDAが矯正の患者向け情報を新着掲載

今回のニュースの起点は、日本歯科医師会が患者向けに「矯正」の情報を追加したことです。医院では、患者が相談前にどのような情報へ触れているかを踏まえ、院内説明をそろえる材料になります。

2026年5月18日の新着情報で確認できること

日本歯科医師会トップページの新着情報では、2026年5月18日付で「お口のなんでも相談に『矯正』を掲載しました」と案内されています。ページ本体では、子どもでも大人でも、歯並びや上下のかみ合わせが不正にあることで口の健康に問題を引き起こす状態を「不正咬合」と説明しています。

ここで重要なのは、矯正を「見た目」だけの話にしないことです。歯並びへの関心が高まる一方で、患者は原因や治療目的を十分に理解していない場合があります。初回相談では、審美面と機能面を分けて説明する必要があります。

遺伝だけでなく口腔習癖も説明する

JDAのページは、不正咬合の要因として遺伝に加え、日頃の姿勢、頬づえ、口呼吸、指しゃぶりなどの口腔習癖、むし歯の放置、親知らず、口周りの筋肉の不調和などを挙げています。

医院側の説明では、「親の歯並びに似たから仕方がない」と終わらせず、現在の癖や生活背景、清掃状態、むし歯の放置、乳歯・永久歯の交換、顎の成長を確認する流れを示すと、患者や保護者が相談の意味を理解しやすくなります。

矯正相談でまず説明したい不正咬合

矯正相談では、診断名を急いで伝えるよりも、何を見ているのかを患者に分かる言葉で示すことが大切です。不正咬合の説明を先にそろえると、治療の必要性や限界も説明しやすくなります。

不正咬合は機能面の問題として説明する

日本矯正歯科学会の矯正歯科治療ページでは、不正咬合を、歯が不ぞろいだったり、上下の顎の歯並びが互いにきちんとかみ合わない状態として説明しています。放置した場合、食べ物をよく噛めない、歯周病になりやすい、口臭の原因になる、顎関節に負担をかけるなどの問題が出ることが示されています。

患者には、「きれいに並べるため」だけでなく、「噛む、磨く、発音する、顎に負担をかけにくくする」といった機能面の確認として説明すると、過度な審美訴求になりにくくなります。

診断前に治療効果を断定しない

矯正相談では、患者が「何カ月で終わるか」「抜歯しないでできるか」「マウスピースでできるか」を先に知りたがることがあります。しかし、歯の位置、顎骨、歯周状態、むし歯、補綴物、成長段階を確認しないまま断定すると、後で説明が食い違います。

初回相談では、可能性を広く示しつつ、最終的な治療計画は精密検査と診断後に決まると説明します。患者に安心感を与えるための断定が、結果的に誤解や不満につながらないようにします。

自由診療、費用、期間をどう伝えるか

矯正歯科は自由診療が多いため、治療内容だけでなく契約前の説明が重要です。費用、期間、通院頻度、追加費用、保定、転居時の扱いは、相談時点から確認項目に入れるべきです。

費用と期間は幅を持って説明する

日本矯正歯科学会のQ&Aでは、一般的な不正咬合の矯正歯科治療は、特殊な病気による場合を除いて健康保険が適用できないと説明されています。また、治療期間や費用は症例や医院によって差があるため、よく話を聞くよう案内されています。

医院では、総額だけでなく、相談料、検査診断料、装置料、調整料、保定装置、紛失・破損時、治療中断時、転院時の扱いを分けて示すと誤解を減らせます。期間も「最短」だけでなく、治療が長引く要因や通院間隔を説明する方が実務的です。

保険適用になる場合を一般論で済ませない

矯正歯科治療には、顎変形症など保険診療の対象になる場合があります。一方で、多くの一般的な矯正治療は自由診療です。患者が「矯正は保険がきくのか」と聞いたときに、単に「基本は自費です」とだけ答えると、例外の説明が不足します。

自院で保険適用症例に対応していない場合や、指定自立支援医療機関・顎口腔機能診断施設などの要件が関わる場合は、どこまで自院で判断できるか、必要に応じてどの医療機関へ紹介するかを決めておくと案内が安定します。

医院サイトとSNSの広告表現を点検する

矯正相談の入口は、いまや医院サイト、検索広告、SNS、症例写真であることが多くなっています。患者説明を丁寧にしていても、入口の表示が誤解を招けば信頼を損ないます。

JOSは2026年4月に広告表示の注意喚起を掲載

日本矯正歯科学会は2026年4月1日、「医療広告および表示に関する法令遵守について」を掲載しました。同文書では、医療機関の広告・表示について、医療法、景品表示法、厚生労働省の医療広告ガイドライン等に基づき、適正性と透明性がより一層求められているとしています。

また、患者や一般の方に誤解を与えるおそれのある表示、事実と異なる表現、誇大な表現を慎むことが求められると注意喚起しています。矯正歯科では、治療期間、価格、症例写真、装置の特徴を強く打ち出しやすいため、特に確認が必要です。

厚労省の医療広告規制ページを確認する

厚生労働省の医療広告規制ページには、医療広告ガイドライン、医療広告等ガイドラインに関するQ&A、医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書第6版、医療広告ネットパトロール、相談窓口が掲載されています。

医院サイトでは、ビフォーアフター写真、治療前後の説明、費用、治療期間、リスク、副作用、未承認医療機器の扱い、キャンペーン表示を点検します。「短期間で完了」「痛くない」「必ず抜歯しない」「安い」など、患者が効果や安全性を過度に期待する表現は避けるべきです。

院内で今すぐ見直したい項目

今回の資料は、新しい算定ルールではありません。実務で役立てるには、初回相談、診断後説明、契約前説明、Web表示を分けて棚卸しするのが現実的です。

初回相談の説明シートを作る

初回相談では、患者の主訴、不正咬合の可能性、口腔習癖、むし歯や歯周状態、治療の大まかな選択肢、精密検査後に決まる項目を整理します。ここで治療結果を約束するのではなく、診断に進むための情報をそろえる位置づけにします。

説明シートには、自由診療が多いこと、保険適用の例外、費用の構成、治療期間の個別差、保定の必要性、転居や中断時の扱いを入れておくと、スタッフ間の説明のぶれを減らせます。

Web担当者と臨床側で表示を一緒に見る

広告表現の確認は、Web担当者だけでは判断しきれません。臨床側が「この症例写真は同じ結果を保証しているように見えないか」「この装置説明は適応を広く見せすぎていないか」「費用表示に追加費用の説明があるか」を確認する必要があります。

とくにSNSでは、短い投稿ほど断定的になりやすくなります。投稿前に、効果、期間、費用、痛み、装置の適応について、患者が誤解しない表現になっているかをチェックする運用を作ると安全です。

FAQ

JDAの矯正ページ掲載で診療報酬や届出は変わりますか

変わりません。2026年5月18日のJDA新着は患者向け情報の掲載案内であり、診療報酬や施設基準を変更する通知ではありません。

矯正相談では何を最初に説明すべきですか

まず、不正咬合が見た目だけでなく噛む、磨く、発音する、顎に負担をかけにくくする機能面にも関わることを説明します。そのうえで、個別の治療計画は精密検査後に決まると伝えます。

矯正歯科はすべて自由診療ですか

すべてではありません。一般的な矯正治療は自由診療が多い一方、顎変形症など保険診療の対象になる場合があります。個別の適用可否は診断と医療機関の施設要件を確認する必要があります。

医院サイトで特に注意すべき表現は何ですか

治療効果、治療期間、費用、痛み、装置の適応を断定する表現です。症例写真や短期間・低価格の訴求では、リスク、副作用、個別差、追加費用の説明が不足していないかを確認してください。

出典

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Selectdays カスタマーサクセス担当

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