医薬品販売制度調査、歯科問診の確認点
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医薬品販売制度調査、歯科問診の確認点

Selectdays CS担当者

厚生労働省は2026年8月7日、令和7年度「医薬品販売制度実態把握調査」の結果を公表しました。これは薬局・店舗販売業やインターネット販売における販売ルールの遵守状況を調べたもので、歯科医院の診療報酬や届出を直接変える通知ではありません。

ただし、歯科医院には実務上の意味があります。歯痛、抜歯後の疼痛、かぜ症状、睡眠、アレルギーなどを理由に、患者が一般用医薬品や市販の鎮痛薬を自己購入していることがあるためです。販売時の説明や確認にばらつきが残るなら、医院側の問診でも「市販薬は使っていないはず」と決めつけない確認が必要です。

この記事では、今回の調査結果を、歯科医院の問診票、受付確認、歯科衛生士の予診、処方前確認にどう落とし込むかを整理します。OTC類似薬の保険給付見直しやセルフメディケーション税制とは分けて読みます。

3行要約

  • 厚労省は2026年8月7日、令和7年度医薬品販売制度実態把握調査を公表しました。
  • 調査では、要指導医薬品や第1類医薬品の本人確認、文書提供、理解確認、濫用リスク薬の複数購入対応に課題が残っています。
  • 歯科医院では、市販薬、ネット購入薬、鎮痛薬、かぜ薬、睡眠改善薬などを問診で明示的に確認しましょう。

医薬品販売制度調査で何が分かったか

今回の調査は、薬局・店舗販売業が医薬品販売時に適切な説明や確認を行っているかを見るものです。歯科医院は販売業者ではありませんが、患者が購入した一般用医薬品を診療前に把握する立場として、結果を問診運用に反映できます。

調査対象は店舗販売1,506件とネット販売257件

概要資料によると、店舗販売の調査対象は全国の薬局・店舗販売業1,506件で、調査期間は2025年12月から2026年1月です。インターネット販売の調査対象は257件で、調査期間は2025年12月から2026年2月です。

調査対象には、要指導医薬品、第1類医薬品、第2類医薬品などが含まれます。歯科で関係しやすいのは、患者が自己判断で買う鎮痛薬、かぜ薬、外用薬、眠気や咳に関係する薬などです。

歯科医院の新しい届出や算定変更ではない

今回の資料は統計・調査結果であり、歯科医院向けの施設基準通知や疑義解釈ではありません。したがって、この公表だけで歯科医院に新しい届出や算定ルールが生じたとは読めません。

実務上の読み方は、販売制度の課題を踏まえ、歯科診療の前に患者の自己購入薬をどう拾うかです。特に抜歯や小外科処置、鎮痛薬・抗菌薬を処方する場面では、一般用医薬品の併用確認が重要になります。

歯科医院が注目したい3つの数字

調査結果は細かいですが、歯科医院が問診運用へ落とすなら、本人・使用者確認、情報提供の理解確認、濫用等のおそれのある医薬品の複数購入対応の3点を見れば十分です。

要指導医薬品では本人確認が73.6%

要指導医薬品について、購入者が使用しようとする本人かどうかの確認は73.6%でした。一方、使用者の年齢、症状、他の医薬品の使用状況などの確認は96.8%とされています。

歯科医院では、この差を「薬局で必ず本人確認まで済んでいる」と考えない材料として使えます。家族が買った薬、ネットで買った薬、以前買って残っていた薬を、患者本人が服用している可能性があります。

第1類医薬品の理解確認は65.4%

第1類医薬品では、使用者の状況確認が94.8%、文書による情報提供が76.7%、情報提供された内容を理解したかどうか等の確認が65.4%でした。情報提供が行われても、患者が理解しているかまでは別問題です。

歯科医院で処方前に確認したいのは、患者が「説明を受けたか」だけではありません。薬名、服用量、服用回数、最後に飲んだ時刻、副作用歴、他の薬との併用を確認する方が診療には役立ちます。

濫用等のおそれのある医薬品は複数購入対応を見る

概要資料では、濫用等のおそれのある医薬品を複数購入しようとした場合、店舗販売で「質問等されずに購入できた」が13.2%、インターネット販売で9.5%ありました。対象成分として、エフェドリン、コデイン、ジヒドロコデイン、ブロモバレリル尿素、プソイドエフェドリン、メチルエフェドリンが示されています。

歯科医院では、これらを成分名で患者に聞くより、「かぜ薬、咳止め、鼻炎薬、眠気を伴う薬を複数買っていないか」「短期間で量が増えていないか」と聞く方が現実的です。必要に応じて薬局や主治医への相談を促します。

一般用医薬品を歯科問診で確認する理由

市販薬は患者が自分で買えるため、問診票に明示しないと申告から漏れやすい項目です。歯科医院では「処方薬だけ」ではなく、「市販薬・ネット購入薬・家族が買った薬」まで含めて確認します。

JDAは他の薬や既往歴を歯科主治医へ伝えるよう説明している

日本歯科医師会の患者向け資料では、薬剤アレルギー、喘息、腎障害・肝障害、妊娠中または授乳中、他の薬を服用していることを歯科主治医に伝えるよう説明しています。これは市販薬の確認にもそのまま使える考え方です。

たとえば抜歯前に、患者が市販鎮痛薬をすでに何回も服用している場合、歯科処方の鎮痛薬と重複するおそれがあります。喘息、腎障害、胃腸障害、抗凝固薬内服などがある患者では、より慎重な確認が必要です。

PMDAは市販薬でも薬剤師等への相談を促している

PMDAの患者向けQ&Aでは、市販薬を選ぶ際、治療中、妊娠・授乳中、アレルギーがある場合などは薬剤師などに相談するよう説明しています。また、要指導医薬品や第1類医薬品では、薬剤師から適正使用に必要な説明を受けることが重要です。

歯科医院側は、患者が相談済みかを確認しつつ、相談内容が診療に必要な情報として足りているかを見ます。薬局での相談は販売時の安全確認、歯科医院での問診は処置・処方前の安全確認と分けて考えると整理しやすくなります。

歯科医院の問診・予診チェックリスト

  • 問診票に「処方薬」だけでなく「市販薬・一般用医薬品・ネット購入薬・サプリメント」を明記する。
  • 歯痛や腫れで来院した患者には、来院前に飲んだ鎮痛薬、かぜ薬、咳止め、鼻炎薬、睡眠改善薬を確認する。
  • 薬名が分からない場合は、箱、添付文書、写真、購入履歴、お薬手帳、薬局アプリを見せてもらう。
  • 最後に飲んだ時刻、1日の服用回数、複数商品の併用、家族が買った薬の使用を確認する。
  • 喘息、腎障害・肝障害、胃腸障害、妊娠・授乳、抗凝固薬、薬剤アレルギーを処方前に再確認する。
  • 薬局で相談していない、説明内容を覚えていない、量が増えている場合は、薬剤師や主治医への相談を案内する。

チェックリストは、受付だけで完結させない方が安全です。受付では薬の有無を拾い、歯科衛生士の予診では服用状況を整理し、歯科医師が処置・処方前に最終確認する流れにすると、短時間でも抜けを減らせます。

受付で聞く言葉を具体化する

「お薬はありますか」だけでは、患者が処方薬だけを思い浮かべることがあります。受付では、「市販の痛み止め、かぜ薬、咳止め、鼻炎薬、ネットで買った薬、サプリメントも含めてありますか」と聞く方が実務的です。

歯科衛生士は服用状況を整理する

歯科衛生士の予診では、薬剤名が不明でも、何のために、いつから、どれくらい飲んでいるかを整理できます。歯痛で鎮痛薬を反復している患者、眠気のある薬を飲んでいる患者、複数の市販薬を重ねている患者は、歯科医師へ確実に共有します。

患者説明で混同しないポイント

今回の調査は、一般用医薬品の販売制度に関する結果です。歯科医院では、患者から市販薬やOTCという言葉が出たときに、保険給付見直しや税制と混同しない説明が必要です。

OTC類似薬の保険給付見直しとは別の話

2026年夏時点では、OTC類似薬の保険給付見直しも別途議論されています。しかし、今回の医薬品販売制度実態把握調査は、薬局・店舗・インターネット販売で販売ルールが守られているかを調べたものです。

したがって、患者に「歯科の痛み止めが保険から外れる調査です」と説明してはいけません。この記事で扱う実務対応は、一般用医薬品を安全確認のために問診で拾うことです。

セルフメディケーション税制とも分ける

セルフメディケーション税制は、市販薬購入と所得控除に関する制度です。今回の調査は税制対象商品の話ではありません。歯科医院では、税制上の対象可否を判断するのではなく、診療上必要な服薬情報を確認します。

患者から「この薬は控除対象ですか」と聞かれた場合は、購入時の表示、レシート、薬局、税務相談先で確認してもらいます。医院では「服用して診療に影響するか」を確認する、と役割を切り分けます。

院内で使える確認表

一般用医薬品の確認は、薬剤分類を正確に暗記するより、患者の行動と診療リスクで整理する方が運用に乗ります。次の表を問診票やスタッフ共有メモのたたき台にできます。

市販薬確認の判断表

確認場面

聞くこと

歯科で見る理由

次の対応

歯痛・腫れで初診

市販鎮痛薬を何回飲んだか

処方鎮痛薬との重複や過量を避ける

薬名・時刻・回数を歯科医師へ共有

抜歯・小外科前

かぜ薬、咳止め、鼻炎薬、眠気のある薬の使用

併用薬、眠気、体調、処置後説明に関係する

必要なら処置可否や処方内容を再確認

高齢患者・多剤服用

処方薬以外の市販薬、漢方、サプリメント

服薬全体像と相互作用を見落としにくくする

お薬手帳・薬局アプリ・実物確認へ

短期間で複数購入

同じ系統の薬を複数買っていないか

濫用リスクや副作用リスクを拾う

薬剤師、主治医、公的相談窓口へつなぐ

この表は、医院が市販薬の販売可否を判断するものではありません。歯科治療と処方の前に、患者の服薬状況を短時間で把握するための実務整理です。

患者向けの短い説明文例

「市販薬も、歯科で出す痛み止めや抗菌薬と重なることがあります。安全に治療するため、今日までに飲んだ市販の痛み止め、かぜ薬、咳止め、鼻炎薬、サプリメントも教えてください。薬名が分からなければ、箱や写真でも構いません。」

次に確認すべき資料

今回の調査結果だけで院内ルールを過度に変える必要はありません。ただし、販売制度の改正や指定濫用防止医薬品の運用は今後も更新される可能性があるため、公式情報を継続して確認します。

厚労省とPMDAの更新を追う

厚労省の医薬品販売制度ページ、医薬品販売制度実態把握調査、指定濫用防止医薬品に関する通知・Q&A、PMDAの一般用医薬品・要指導医薬品の患者向け情報を確認対象にします。医院内では、受付説明文や問診票を年1回程度見直す運用にすると負担が少なくなります。

歯科職能団体の周知が出たら反映する

日本歯科医師会などから、今回調査結果や一般用医薬品の確認に関する歯科医院向け周知が出た場合は、問診票やスタッフ教育へ反映します。現時点では、既存の薬剤情報を背景にしながら、医院独自の問診運用を整える段階です。

FAQ

今回の調査で歯科医院の届出や算定は変わりましたか

変わったとは読めません。今回の資料は医薬品販売制度の遵守状況に関する調査結果であり、歯科医院向けの診療報酬通知や施設基準通知ではありません。医院では、一般用医薬品を問診で確認する実務改善として扱います。

市販薬を飲んでいる患者には何を聞けばよいですか

薬名、目的、服用量、服用回数、最後に飲んだ時刻、他の薬との併用、薬剤師等への相談有無を確認します。薬名が分からない場合は、箱、添付文書、写真、購入履歴、お薬手帳、薬局アプリを見せてもらいます。

薬局に相談してもらうべき場面はどこですか

患者が薬名や服用量を把握していない場合、複数の市販薬を重ねている場合、説明内容を覚えていない場合、短期間で購入量が増えている場合は、薬剤師や主治医への相談を促します。歯科医院では、処置・処方に必要な情報を確認したうえで、販売や適正使用の相談先へつなぎます。

出典

Writer Profile

Selectdays カスタマーサクセス担当

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