
歯周病継続支援治療は6月に算定できる?2026年疑義解釈の要点
2026年5月8日、厚生労働省保険局医療課は「疑義解釈資料の送付について(その5)」を公表し、歯科診療報酬点数表関係として「歯周病継続支援治療」の移行時の取扱いを示しました。結論から言うと、2026年5月末までに歯周病安定期治療または歯周病重症化予防治療を算定していた患者について、2026年6月に歯周病継続支援治療を算定できるかは、口腔管理体制強化加算に係る施設基準の届出有無で分かれます。
令和8年度診療報酬改定は2026年6月1日施行です。5月まで旧項目で管理していた患者を6月以降どう扱うかは、予約、レセプト、患者説明のすべてに関わります。この記事では、一次情報で確認できる範囲に絞って、歯科医院が見るべき判断順を整理します。
2026年5月8日の疑義解釈で何が示されたか
今回の疑義解釈は、改定前後のまたぎ期間に起こりやすい算定判断を補うものです。歯科では、歯周病継続支援治療、新製有床義歯管理料、特定保険医療材料などの取扱いが示されました。
旧項目から新項目への移行が焦点
歯周病継続支援治療については、2026年5月末までに「歯周病安定期治療」または「歯周病重症化予防治療」を算定し、2026年6月以降に新しい「歯周病継続支援治療」を開始する場合の扱いが問われています。
厚生労働省の回答では、届出を行っている医院と行っていない医院で扱いが分かれます。ここでいう届出は、小児口腔機能管理料の注5に規定する口腔管理体制強化加算に係る施設基準の届出です。
2026年6月1日施行前に確認する理由
疑義解釈その5の冒頭では、令和8年度診療報酬改定に関係する取扱いが2026年6月1日から実施される前提で整理されています。つまり、5月中に旧項目を算定した患者の6月予約を組んでいる医院では、6月算定の可否を事前に分けておく必要があります。
特に、歯周病治療の継続管理は患者ごとの間隔管理が重要です。院内で「名称が変わっただけ」と扱うと、届出がない医院では算定時期を誤るおそれがあります。
歯周病継続支援治療とは何か
歯周病継続支援治療は、令和8年度診療報酬改定で歯周病安定期治療と歯周病重症化予防治療を整理・統合した項目です。単なる名称変更ではなく、点数や糖尿病患者に関する医科歯科連携の評価も見直されています。
歯周病安定期治療と重症化予防治療を統合
厚生労働省の歯科改定概要では、歯周病安定期治療と歯周病重症化予防治療を統合し、歯周病継続支援治療に改称すると説明されています。改定後の点数は、1歯以上10歯未満が170点、10歯以上20歯未満が200点、20歯以上が350点です。
歯周病継続支援治療は、一連の歯周病治療後に継続支援が必要な患者に対し、歯周組織の状態維持や重症化予防を目的として行う継続的な治療です。プラークコントロール、スケーリング、スケーリング・ルートプレーニング、咬合調整、機械的歯面清掃などが関係します。
点数と糖尿病患者の連携加算も見直し
糖尿病患者に関する評価も変わります。従来の歯周病ハイリスク患者加算は、重症化予防連携強化加算として見直され、他の保険医療機関からの情報に基づく歯周病継続支援治療と、主治医への治療内容・今後の治療方針等の情報提供が論点になります。
今回の疑義解釈その5では、重症化予防連携強化加算に関連して、診療情報等連携共有料1で情報提供を求める場合、また診療情報等連携共有料2で情報提供を行う場合のいずれも、算定要件を満たせば算定して差し支えないと示されました。
6月に算定できる医院と待つ必要がある医院
実務上の中心は、2026年6月に歯周病継続支援治療を算定できるかです。判断の出発点は、口腔管理体制強化加算に係る施設基準の届出があるかどうかです。
口腔管理体制強化加算の届出がある場合
小児口腔機能管理料の注5に規定する口腔管理体制強化加算に係る施設基準の届出を行っている保険医療機関では、2026年5月末までに旧項目を算定していても、2026年6月に歯周病継続支援治療を算定して差し支えないとされています。
このため、届出済みの医院では、5月までの歯周病安定期治療または歯周病重症化予防治療の患者リストを抽出し、6月以降の予約・算定予定を新項目に置き換える準備が必要です。名称の置き換えだけでなく、点数、加算、医科連携の記録も併せて確認します。
届出がない場合は前回実施月からの間隔を確認
口腔管理体制強化加算に係る施設基準の届出を行っていない保険医療機関では、前回実施月の翌月の初日から起算して2月を経過した日以降に算定するとされています。
例えば、2026年5月に旧項目を実施した患者であれば、起算点は2026年6月1日です。2月を経過した日以降という文言に従えば、2026年8月1日以降が一つの目安になります。ただし、個別の請求判断では、管轄の地方厚生局や審査支払機関の案内も確認してください。
医院で確認したい実務対応
今回の疑義解釈は、院内で患者ごとに確認すれば対応しやすい内容です。逆に、全患者を一律に6月移行として扱うと誤りが起きやすくなります。
患者リストと予約月を照合する
まず、2026年5月までに歯周病安定期治療または歯周病重症化予防治療を算定した患者を抽出します。次に、口腔管理体制強化加算の届出状況を確認し、6月に歯周病継続支援治療を算定できる患者と、間隔を空ける必要がある患者を分けます。
院内で見たい項目は、前回実施月、6月以降の予約日、算定予定項目、口腔管理体制強化加算の届出有無、医科からの情報提供の有無です。レセコン上の名称変更だけでなく、患者単位の前回実施月を確認することが重要です。
医科連携の情報提供と記録を確認する
糖尿病患者で重症化予防連携強化加算を検討する場合は、他の保険医療機関からの情報に基づいているか、治療内容や今後の治療方針等を主治医へ情報提供しているかを確認します。
疑義解釈その5では、診療情報等連携共有料1・2との関係も示されています。ただし「算定要件を満たす場合」が前提です。情報提供を依頼した日、受け取った情報、歯周病継続支援治療の実施内容、返書の内容は、後から追える形で残しておく必要があります。
今後の疑義解釈で追うべき点
2026年6月施行後は、実際の請求事例に応じて追加の疑義解釈が出る可能性があります。歯科医院では、厚生労働省の令和8年度診療報酬改定ページと、管轄地方厚生局の通知一覧を継続して確認するのが現実的です。
追加Q&Aと地方厚生局の案内を確認する
東海北陸厚生局や九州厚生局など、地方厚生局のページでも疑義解釈その5の掲載が確認できます。管轄厚生局によって問い合わせフォームや掲載場所が異なるため、院内で確認先を決めておくと、6月以降の運用確認が早くなります。
今回のポイントは、旧項目から新項目へ移る患者を「届出あり」「届出なし」で分けることです。2026年6月の算定前にこの分類を済ませておけば、レセプト時の確認負担を減らせます。
FAQ
Q1. 2026年5月に歯周病安定期治療を算定した患者は、全員6月に歯周病継続支援治療を算定できますか。
いいえ。口腔管理体制強化加算に係る施設基準の届出を行っている保険医療機関では6月算定が可能とされていますが、届出がない場合は前回実施月の翌月初日から起算して2月を経過した日以降の扱いになります。
Q2. 歯周病重症化予防治療を5月に算定していた患者も同じ扱いですか。
同じ疑義解釈の対象です。2026年5月末までに歯周病安定期治療または歯周病重症化予防治療を算定し、6月以降に歯周病継続支援治療を開始する場合の取扱いとして示されています。
Q3. 重症化予防連携強化加算と診療情報等連携共有料は併算定できますか。
疑義解釈その5では、診療情報等連携共有料1により情報提供を求める場合、診療情報等連携共有料2により情報提供を行う場合のいずれも、算定要件を満たす場合は算定して差し支えないとされています。
Q4. 患者にはどう説明すればよいですか。
制度上の名称や算定項目が変わっても、歯周病の状態維持や重症化予防のための継続管理である点を説明します。来院間隔や請求上の扱いが変わる患者には、医院の届出状況と算定ルールに沿って個別に説明するのが安全です。
出典
- 厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その5)」(2026年5月8日)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】」(2026年3月5日版)
- 厚生労働省「歯科診療報酬点数表に関する事項」(0501訂正後)
- 東海北陸厚生局「疑義解釈資料関係」(2026年5月13日更新)
- 九州厚生局「診療報酬改定に関する疑義解釈資料について」(2026年5月12日)
- 厚生労働省「令和4年歯科疾患実態調査の結果(概要)」(2023年6月29日)
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