
SaMDフォーラム、歯科ソフト導入の確認点
厚生労働省は2026年8月20日、新着情報として「第6回 SaMD産学官連携フォーラム」を掲載しました。フォーラム自体は新しい義務や診療報酬改定ではありませんが、歯科医院にとっては、AI画像解析、インプラント治療計画支援、CAD/CAM連携、診断補助ソフトを導入する前に、医療機器プログラムとしての位置づけを確認するよい機会です。
歯科医院では、予約・会計・患者説明の一般ソフトと、診断や治療計画に関わる医療機器プログラムが同じ「DXツール」として語られがちです。しかし、使用目的、承認・認証・届出の有無、出力結果の扱い、バージョン更新時の説明は分けて確認する必要があります。
この記事では、2026年9月16日開催予定のSaMDフォーラムの位置づけを踏まえ、歯科医院が歯科ソフトを導入・更新するときに見るべき確認点を、PMDAの医療機器プログラム資料や歯科用プログラム関連資料に沿って整理します。
3行要約
- 厚労省は2026年8月20日、第6回SaMD産学官連携フォーラムを新着掲載しました。
- 歯科医院では、AI画像解析やインプラント計画支援などが医療機器プログラムに当たるかを製品ごとに確認する必要があります。
- 導入前に、使用目的、承認等の情報、診療録への記録、バージョン更新、患者説明をベンダーへ確認してください。
SaMD 歯科で今回確認したいこと
今回のニュースは、歯科医院に直接の新ルールを課すものではありません。まず押さえるべきなのは、SaMDが話題になるほど、医院側にも「そのソフトを何の目的で使うのか」を説明できる準備が求められるという点です。
フォーラムは制度改正ではなく情報収集の機会
AMEDの開催案内では、第6回 SaMD産学官連携フォーラムは2026年9月16日に開催予定で、参加登録締切は2026年9月9日とされています。講演資料や当日の議論は、2026年8月21日時点ではまだ記事内で断定できません。したがって、この記事では「フォーラムで何かが決まった」とは書かず、既存のPMDA資料に基づく導入前チェックとして整理します。
歯科ソフトでも医療機器プログラムに当たる場合がある
PMDAは医療機器プログラムに関する相談、審査、関連通知をまとめており、関連通知には歯科用プログラムの医療機器該当性に関する資料も含まれています。また、PMDAは歯科インプラント用治療計画支援プログラムに関する審査ポイントも公開しています。歯科領域でも、画像や計測、治療計画を扱うソフトは一般的な業務ツールと同じ扱いとは限りません。
医療機器プログラムと一般ソフトを分ける
歯科医院の実務では、すべてのソフトをSaMDとして扱う必要はありません。重要なのは、患者の診断、治療計画、治療支援に関係する機能かどうかを、販売資料の印象ではなく、使用目的と製品情報で確認することです。
対象になりやすい機能を先に見る
AIがX線画像や口腔内画像を解析する、インプラント埋入位置の計画を支援する、CTや口腔内スキャンデータから治療計画に使う情報を出す、といった機能は要確認です。反対に、予約管理、会計、院内チャット、単なる説明資料作成など、診断や治療方針に直接使わない機能は、通常は別の観点で管理します。
「AI搭載」という言葉だけで判断しない
AIやクラウドという表示は、医療機器該当性そのものを示す言葉ではありません。確認すべきなのは、ソフトが何を入力し、何を出力し、その出力を診断・治療計画にどう使う設計なのかです。ベンダーには、製品の使用目的、医療機器としての承認・認証・届出の有無、添付文書や取扱説明書、対象となるデータや患者条件を確認します。
歯科医院で優先して確認する導入前チェック
- 導入予定ソフトの使用目的を、診断補助、治療計画支援、患者説明、業務管理のどれかに分ける。
- 医療機器プログラムに該当するか、承認・認証・届出の有無、番号、一般的名称をベンダーに確認する。
- 対象となる入力データを確認する。X線、CT、口腔内スキャン、口腔内写真、患者基本情報などを分ける。
- 出力結果を誰が確認し、最終判断を誰が行うかを院内ルールにする。
- バージョン更新、クラウド更新、AIモデル更新があったときの通知方法と記録方法を確認する。
- 診療録、画像管理システム、患者説明資料に何を残すかを決める。
このチェックは、導入直前だけではなく、既に使っているソフトの更新時にも行います。特にクラウド型やAI機能付きのサービスでは、画面表示やアルゴリズム、連携機能が更新されることがあります。医院側で「いつ、どの機能を、どの範囲で使っていたか」を説明できる状態にしておくことが重要です。
ベンダーに確認する項目を定型化する
見積書やパンフレットだけでは、医療機器該当性や使用目的が分からない場合があります。導入担当者は、承認等の情報、添付文書、使用目的、禁忌・注意、保守範囲、障害時の対応、データ保存場所、バージョン履歴を同じ書式で確認すると、院内比較がしやすくなります。
最終判断は歯科医師が行う前提を崩さない
診断補助や治療計画支援のソフトは、医院の判断を置き換えるものとして説明しない方が安全です。患者説明では、ソフトの出力を参考にしつつ、最終的な診断・治療方針は歯科医師が決定することを、院内の説明文や同意書の運用と合わせて確認します。
SaMD導入前の判断表
歯科医院で混乱しやすいのは、すべてのデジタルツールを同じ重さで扱ってしまうことです。次の表で、まず確認の優先度を分けてください。
対象 / 対象外 / 要確認を分ける
ソフトの例 | 医院での扱い | 最初に確認すること |
|---|---|---|
予約、会計、院内チャット | 通常の業務システムとして管理 | 個人情報、セキュリティ、運用権限、障害時対応 |
患者説明用の汎用資料作成 | 要件次第で確認 | 診断や治療計画を自動提示する機能がないか |
X線・CT・口腔内画像の解析支援 | 要確認 | 医療機器該当性、承認等、使用目的、対象画像 |
インプラント治療計画支援 | 重点確認 | PMDA資料、承認等、入力データ、計画結果の扱い |
AIが診断名やリスクを提示する機能 | 重点確認 | 最終判断者、根拠資料、添付文書、患者説明 |
CAD/CAMや技工連携ソフト | 機能ごとに確認 | 設計支援、加工指示、医療機器該当性、責任分界 |
この表は、法的な該当性を医院だけで確定するものではありません。個別製品の該当性は、PMDA資料、添付文書、製造販売業者の説明、必要に応じた専門家確認で判断します。
院内運用で注意する点
SaMDや医療機器プログラムを導入するときは、購入判断だけでなく、日々の運用も決めておく必要があります。特に、誰が結果を見るのか、どこに記録するのか、更新時に誰へ共有するのかが曖昧だと、便利なソフトほど属人的に使われます。
診療録と画像管理の記録を決める
ソフトの出力結果を診療に使った場合は、少なくとも使用した資料、画像、計画結果、歯科医師の判断を追える形にしておくのが実務的です。画像管理システムやカルテに自動連携される場合でも、どの情報が保存され、どの情報が一時表示だけなのかを確認してください。
バージョン更新を院内共有する
クラウド型ソフトやAI機能付きソフトでは、更新内容が診療フローに影響することがあります。ベンダーから更新通知が来たときは、院長、担当歯科医師、歯科衛生士、受付・事務のうち誰に共有するかを決めます。更新履歴、変更点、操作教育の有無を残しておくと、後から説明しやすくなります。
よくある質問
SaMDフォーラムで歯科医院の義務が新しく決まったのですか
2026年8月21日時点で確認できる資料からは、今回のフォーラム告知だけで歯科医院に新しい義務が生じたとは読めません。開催案内をきっかけに、導入済み・検討中のソフトの確認項目を整理する位置づけです。
予約管理や会計ソフトもSaMDとして確認すべきですか
診断、治療計画、治療支援に使わない一般的な業務ソフトは、通常はSaMDの確認よりも個人情報保護、セキュリティ、障害時対応、契約条件を優先します。ただし、同じ製品に診断補助や画像解析機能が追加されている場合は、その機能単位で確認してください。
ベンダーに何を聞けばよいですか
まず、医療機器プログラムに該当するか、承認・認証・届出の有無、使用目的、対象データ、添付文書、バージョン更新時の通知方法を確認します。回答が曖昧な場合は、製品名、一般的名称、承認等の番号、PMDAや添付文書の確認先を求めてください。
出典
[1] 第6回 SaMD産学官連携フォーラム|厚生労働省|2026年8月20日
該当箇所: 新着掲載、フォーラム案内。
[2] 第6回 SaMD産学官連携フォーラム|AMED|2026年7月21日
該当箇所: 開催日時、参加登録締切、主催・共催。
[3] 医療機器プログラムについて|PMDA
該当箇所: 医療機器プログラムの相談、審査、関連通知。
[4] 医療機器プログラムの承認審査に関するガイダンス等について|PMDA
該当箇所: 医療機器プログラムの審査ポイント、歯科インプラント用治療計画支援プログラム。
[5] 歯科インプラント用治療計画支援プログラムに関する審査ポイント|PMDA|2022年10月28日
該当箇所: 歯科インプラント用治療計画支援プログラムの審査観点。
[6] 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律|e-Gov法令検索
該当箇所: 医療機器の法令上の前提。
[7] 歯科情報の利活用及び標準化普及事業|日本歯科医師会
該当箇所: 歯科DX・データ標準化の背景。
Selectdays カスタマーサクセス担当
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