
医療機器保険適用9月、歯科材料の確認点
厚生労働省は2026年8月31日、保医発0831第2号「医療機器の保険適用について」を発出し、2026年9月1日から新たに保険適用となる医療機器・材料を示しました。歯科欄では、デジタル印象採得装置、歯科用多目的超音波治療器、歯科用合着・接着材料、3Dプリント有床義歯材料、純チタン2種、CAD/CAMブリッジ用材料などが確認対象になります。
対象は、9月以降に新しい口腔スキャナ、超音波治療器、接着材料、チタン、CAD/CAM・3Dプリント関連材料を採用する歯科医院です。通知に載ったことは重要ですが、それだけで個別の算定可否や院内運用が自動的に決まるわけではありません。自院の使用製品、診療行為、材料区分、レセコン反映状況を分けて確認します。
この記事では、厚労省通知、診療報酬情報提供サービス、材料価格基準、PMDAの一般的名称情報をもとに、歯科医院が最初に見る順番を整理します。まず9月1日適用分の有無を確認し、次にレセコン、材料台帳、技工所連携、患者説明資料へ落とし込んでください。
3行要約
- 事実:2026年8月31日付通知で、2026年9月1日から保険適用となる歯科関連の医療機器・材料が示されました。
- 対象:口腔スキャナ、歯科用接着材料、3Dプリント有床義歯材料、純チタン、CAD/CAMブリッジ材料を扱う医院は確認対象です。
- 対応:通知、特定器材マスター、レセコン反映、製品コード、技工所からの材料情報を9月診療分として照合します。
今回の医療機器保険適用で変わったこと
今回の通知は、2026年9月1日から新たに保険適用となる機器・材料を示すものです。歯科医院にとっては、材料を新しく買うかどうかだけでなく、すでに技工所経由で扱う製品が該当していないかを確認する必要があります。
A2とB1で確認する部署が変わる
通知では、A2(特定包括)とB1(個別評価)という区分が出てきます。A2は特定の診療報酬項目に包括的に評価される区分、B1は材料価格が個別に設定される区分です。A2の機器は診療行為や機器採用の確認、B1の材料は材料名、単位、償還価格、レセコン・特定器材マスターの確認が中心になります。
2026年9月1日適用分として見る
保医発0831第2号は2026年8月31日付で、適用開始日は2026年9月1日です。8月診療分ではなく、9月診療分からの確認対象として扱います。請求担当は、月次更新のなかで特定器材マスターの反映日とレセコン側の取り込み状況を確認してください。
対象となる歯科医院
すべての歯科医院が同じ深さで対応する必要はありません。影響が大きいのは、デジタル印象、CAD/CAM、3Dプリント義歯、チタン、接着材料、超音波治療器を実際に使う医院です。
口腔スキャナやCAD/CAMを使う医院
通知の歯科欄では、i900、i900 Wirelessなどがデジタル印象採得装置として掲載されています。PMDAの一般的名称情報では、デジタル印象採得装置はCAD/CAMに用いる三次元形状データを取得するものと整理されています。院内では、導入機器名、製品コード、診療行為との関係、データ管理手順を確認します。
補綴や義歯で新材料を使う医院
B1の歯科欄では、3次元プリント有床義歯歯冠部用材料、3次元プリント有床義歯義歯床用材料、純チタン2種、CAD/CAMブリッジ用材料などが確認できます。これらは、院内だけで完結せず、歯科技工所から製品名、材料名、ロット情報、使用単位を受け取る運用が必要になりやすい項目です。
歯科材料ごとに見る確認ポイント
歯科材料は、製品名が同じように見えても機能区分や価格が違う場合があります。通知の販売名だけで判断せず、材料価格基準、特定器材マスター、製品コードをセットで確認するのが安全です。
3Dプリント有床義歯材料は歯冠部と義歯床を分ける
材料価格基準では、3次元プリント有床義歯歯冠部用材料は1歯59円、3次元プリント有床義歯義歯床用材料は1顎2,026円とされています。今回通知でも、S-WAVEプリントデンチャーティース、S-WAVEプリントデンチャーベース、Shining3D Dental関連材料が掲載されています。歯冠部と義歯床を一括りにせず、単位と材料名を分けて確認してください。
純チタンとCAD/CAMブリッジ用材料は単位を確認する
今回通知には、デンタルチタンが純チタン2種として、KZR-CADファイバーブロック シンボーがCAD/CAMブリッジ用材料として掲載されています。材料価格基準では、純チタン2種は1g36円、CAD/CAMブリッジ用材料は1個11,700円です。請求担当は、技工指示書や納品書で単位が確認できる形になっているかを見ます。
接着材料は用途と機能区分を混同しない
スーパーボンドEXは、歯科用合着・接着材料Iの標準型、ダイレクトボンド用ボンディング材などとして掲載されています。材料価格基準では、歯科用合着・接着材料Iの標準型は1g461円です。商品名だけで請求処理を進めず、用途、機能区分、レセコン上の材料名を合わせて確認します。
前回の8月適用分との違い
前回の保医発0731第2号は2026年8月1日適用分、今回の保医発0831第2号は2026年9月1日適用分です。毎月の通知は、前月分の延長ではなく、その月の適用開始日と掲載品目を個別に見る必要があります。
Before / Afterで見る院内対応
確認項目 | 2026年8月分まで | 2026年9月1日以降 | 医院での対応 |
|---|---|---|---|
通知 | 保医発0731第2号の8月1日適用分を確認 | 保医発0831第2号の9月1日適用分を確認 | 9月診療分の採用品目と照合する |
マスター | 既存の特定器材マスターを前提に運用 | 特定器材マスターの2026年8月31日更新を確認 | レセコン取り込み日と更新内容を確認する |
材料台帳 | 既存材料名・ロット管理を継続 | 新規または追加品目の製品コードを確認 | 納品書、技工指示書、診療録保存情報をそろえる |
院内で使う確認チェックリスト
- 2026年9月1日以降に使用する歯科機器・材料が、保医発0831第2号の歯科欄に載っているか確認する。
- A2(特定包括)かB1(個別評価)かを分け、確認担当を院長、請求担当、材料担当、技工連携担当に割り振る。
- 特定器材マスターの2026年8月31日更新がレセコンに反映されているか確認する。
- 製品名、製品コード、機能区分、単位、償還価格を材料台帳へ追記する。
- 技工所から、材料名、製品コード、ロット情報、使用単位を受け取れる運用になっているか確認する。
- 患者説明資料にCAD/CAM、3Dプリント義歯、チタン、接着材料の名称を出している場合は、保険適用日と説明表現を更新する。
このチェックリストは、通知を読んだ後に院内へ落とすための実務順です。通知の掲載品目が自院の採用品と一致しない場合は、深い対応は不要ですが、レセコン更新と技工所からの情報受領ルールだけは確認しておくと月末請求で迷いにくくなります。
レセコン確認は月初に終わらせる
診療報酬情報提供サービスでは、特定器材マスターが2026年8月31日に更新されています。レセコンベンダー側の反映タイミングは医院ごとに異なる可能性があるため、月末ではなく9月診療分の早い段階で取り込み状況を確認します。
注意点と判断に迷う点
今回の通知は、保険適用の開始日や品目を示す資料です。個別症例で算定できるか、どの診療行為に紐づくか、施設基準や記録要件を満たすかは、別の通知、留意事項、疑義解釈、レセコン設定と合わせて判断する必要があります。
通知掲載だけで算定可否を断定しない
「通知に載った」ことと「自院のその症例で算定できる」ことは同じではありません。使用する製品、診療行為、材料区分、患者の状態、記録内容がそろって初めて請求実務の確認に進めます。記事上も、今回の情報を算定保証としては扱いません。
技工所経由の材料情報を院内に残す
3Dプリント義歯材料、チタン、CAD/CAMブリッジ材料は、医院が材料そのものを直接管理しない場面があります。その場合でも、請求や患者説明で必要になる情報は院内に残る形にしておく必要があります。技工指示書、納品書、診療録のどこに情報を残すかを決めてください。
FAQ
Q. 今回の医療機器保険適用で、すべての歯科医院に対応が必要ですか。
A. いいえ。該当する機器・材料を使わない医院では、深い材料台帳更新は不要です。ただし、レセコンや特定器材マスターの更新状況は確認しておくと安全です。
Q. 9月1日からすぐ算定してよいと考えてよいですか。
A. 通知上の保険適用開始日は2026年9月1日ですが、個別の算定可否は診療行為、材料区分、記録、施設基準、レセコン反映状況によって変わります。通知掲載だけで断定しないでください。
Q. 歯科技工所から何を受け取ればよいですか。
A. 少なくとも、材料名、製品名、製品コード、使用単位、ロット等の管理情報を確認できる形にするのが実務的です。どの書類に残すかは、技工所と医院の運用で決めます。
出典
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について(令和8年4月以降の改正分)」医療機器・体外診断用医薬品欄。
- 厚生労働省「医療機器の保険適用について」保医発0831第2号、2026年8月31日、本文および別紙「2. 歯科」。
- 厚生労働省法令等データベース「特定保険医療材料及びその材料価格(材料価格基準)」歯科材料の機能区分・価格。
- 診療報酬情報提供サービス「告示・通知に関するご案内」特定保険医療材料の最新告示・通知。
- 診療報酬情報提供サービス「令和8年度診療報酬改定のページ」特定器材マスター更新日。
- PMDA 医療機器基準等情報提供ホームページ「デジタル印象採得装置」一般的名称、クラス、定義。
Selectdays カスタマーサクセス担当
Selectdaysの実運用のサポートを担当しています。店舗のDX化に関するお悩み解決のノウハウを発信します。
